介護福祉オンライン早稲田

介護福祉の課題を解決するWebマガジンです。

介護ビジネスは独り勝ちを続けるのか?大手業者が生き残るワケ

 

f:id:mamoruyo:20190406011148j:plain

 

 

ブラックと称される一方、やりがいを感じている人も多い介護業界。2018年は「老人福祉・介護事業」の倒産が106件と戦国時代は始まっています。そして介護ビジネスには次のような一筋縄ではいかない課題があります。

 

  1. 3年ごとの報酬
  2. 改定人材不足
  3. 入所者確保の苦慮
  4. 同業他社との競争
  5. 法律・規制の縛り   

 

 

この記事では介護大手各社のビジネス戦略や年収、働きやすさなどをリサーチしその結果をまとめてみました。

 

 

目次

 

 

ブランド強し!ベネッセスタイルケア

f:id:mamoruyo:20190607163051j:plain



 

ベネッセグループの中でも、介護施設と保育園を運営しているのがベネッセスタイルケアです。

 

Q太「なんで進研ゼミが介護?」

博士「ベネッセ会長の家族が介護が必要になってな。家にきた介護士の働きをみて、これはスゴイ。将来は介護だ!と会長がビジネスを思いついたそうじゃ」

 

 

 全国に介護施設を擁するベネッセ。介護職員の人数もハンパないです。2018年現在で、1万7054人!各施設での正社員の比率も高いです。

 

Q太「ベネッセ福利厚生とかよさそう」

博士「こんな手当てがあったゾ」

 

 

  • 医療費補助 2万
  • 保育手当  12万
  • インフルエンザ予防接種 3000円
  • 市販薬補助 5000円
  • JTB宿泊費 9000円

 

 

f:id:mamoruyo:20190521212719j:plain

 

博士「ほかにもこどもちゃれんじゼミが30%オフじゃ」

Q太「いらね~」

 

 

ベネッセスタイルケア平均年収は、35歳で、およそ350万円

 

Q太「350万かあ・・・」

博士「実はベネッセグループでは

格段に安いんだ」

Q太「!!」

 

 

ベネッセホールディングの平均年収は903万円(会社四季報より)

 

博士「年収が2倍も違うのなら進研ゼミへの就職を目指すわな」

Q太「排泄介助もしなくてすむしね」

博士「・・・」

 

 ベネッセのビジネス戦略は?

 

Q太「ベネッセは勝ち組なの?」

博士「生き残るため手は打っているよ」

Q太「たとえば?」

博士「“地域ドミナント戦略”じゃな」

Q太「なにソレ??」

 

 

地域ドミナント戦略とは、既に施設があってライバルがいない地域に、積極的に介護施設(在宅・居住の両方)をつくること。ライバル会社も力を入れています。

 

 

日本郵便とタッグ!?

Q太「ベネッセと日本郵便?」

博士「日本郵便が社宅の空き地に介護付有料老人ホームと保育園の複合施設を作るんだが、その運営をベネッセがやるそうじゃ」

Q太「郵便局が介護に乗り出してるってこと?」

博士「日本郵便は全国にたくさんの不動産を持っとる。遊休地を有効に使うために高齢者ビジネスもやるんじゃろう」

 

 

実は郵便局も今「みまもり訪問サービス」に力を入れています。これは郵便局員が定期的に(毎月1回/30分程度)高齢者宅を訪問するサービスです。

 

Q太「やるな郵便局。で、ねだんは?」

博士「月額2500円(税抜き)と

   ビミョーな価格設定をしておる」

 

 

 

f:id:mamoruyo:20190326174750j:plain

 

老人ホームでの年金ビジネス

ベネッセは太陽生命と組んで老人ホームの入居者に向けた「長生きリスク」に備える団体年金を発売しました。入居長期化に伴う金銭的負担の軽減を目指すそうで満87歳以下の入居者に提案するそうです。

 

Q太「民間の老人ホームではだいたい毎月20万から40万くらい費用がかかるからね」

博士「利用が長くなると資金面での不安から退去する高齢者も多いんじゃ」

Q太「介護保険以外の収入源をどう確保していくかが介護事業の課題かもね」

 

「学研」も介護業界に参入!
 

2018年9月、学研は介護大手のメディカル・ケア・サービスを買収。教育と医療福祉を両軸に赤ちゃんからお年寄りまでカバーする「地域包括ケア」の実現を掲げている。

 

博士「学研の弱さはサ高住をメインにした認知症グループホーム。そのグループホームに強いメディカル社を買収したことで一気に居室数は2倍強になったのだ」

Q太「まさに介護戦国時代だ!」

 

介護事故


ベネッセスタイルケアといえば2016年に運営する介護施設で人工呼吸器が停止して68歳の入居者が死亡。ホーム長と看護師が業務過失致死の疑いで書類送検された。

 

Q太「介護は命と向き合う現場だけに、責任も重いよね」

博士「現場は一生懸命にやっているが何が起こるかわからない」

Q太「せっかく人の役に立ちたいと思っても会社が守ってくれないとやる気も失せるしね」

博士「利益ばかり追求してもダメなのが介護じゃ。数字ばかり見ている経営者は駆逐されていくじゃろうな」

 

 

ベネッセスタイルケアまとめ

 

ベネッセでは人材確保に向けて高い給与を提示しているという話も聞きます。ベネッセの弱みとしては、他の介護大手に比べてAIやICTなどの取組みは遅れている印象を受けます。また、介護保険収入以外の収入源の確保も出遅れている感があります。

 

ブランドイメージが先行していますが、二番煎じにならないようなビジネス戦略が今後、介護サバイバルを生き残れるかどうかのカギになりそうです。

 

 

 

 豊富な実績!ツクイ

 
介護業界の大手「ツクイ」。全国に展開するデイサービスを主軸にして最近は有料老人ホーム・サ高住も積極的に展開しています。訪問入浴サービス事業のスタートから35年以上に渡って介護事業をしている老舗ですね。2012年には東証一部に上場。売上・利益ともに順調に推移しています。

 

平均年収404万円でも格差あり 

 

ツクイの従業員は連5004名、単4822名(2019.4.02現在)。平均年齢は42.3歳で、平均年収は404万円(会社四季報より)。介護業界でみれば高い方ですが、本社、地方によっても格差アリ。老舗が給料アップに動かないと他業種から優秀な人材は入ってこないのでツクイさんには頑張って欲しいです。

 

ツクイは安定感はあるし勤務制度もしっかりしているので管理職になると満足度は高いようです。福利厚生ではツクイ倶楽部があり予防接種や結婚祝いなどでお金が少しもらえるそうですよ。


ツクイのビジネス戦略は?

 

2025年にむけてツクイが目指しているのは3つ。

 

  1. デイサービス圧倒的No1の地位を盤石化
  2. ツクイの考える地域包括ケアの確立
  3. 従業員の幸せの実現

ビジネス的にはもっと戦略的に動いているようです。

 

多層化エリア構想

 

ツクイが効率化として推進しているのが 全国区約80市町村を「多層化エリア」として選定。エリア内における出店の多様化を図ること。

 

多層化エリア(地域ドミナント戦略)とは既にツクイの施設があってライバルがいない地域に積極的に介護施設(在宅・居住の両方)をつくること。

 

いわゆるコンビニみたいなやり方です。それに伴って人材の確保にも力を入れてます。採用・育成・待遇を高めて人材を確保していくそうです。

 

葬儀・終活サービスにも参入

 

ツクイは葬儀関連や終末期などの手続きを自分で考えて準備する「終活」ビジネスにも乗り出していました。これは「エンディングサポート」と呼ばれ、去年から開始しています。エンディングサポートはその人らしい人生の最期を迎えられるように介護スタッフが一緒に考えてくれるサービスです。

 

「エンディング入浴」

 

湯灌で納棺までの時間を家族で一緒に見送るそうです。 利用者さんには気持ちよく旅立ってもらいたい。とはいえ正直ビビりそうですね苦笑

 

介護のスケッター

 

ツクイが人手不足解消策として導入しているのが新職種の「ケアサポーター」。ケアサポーターは食事の配膳や片付け、事務作業など周辺業務を行います。雇用形態はパートで1回あたり半日程度の勤務。ディサービスや認知症対応のグループホーム向けの募集もしています。

 

具体的には高校生がアルバイトに来て利用者の転倒予防のトレーニングの手伝いや入浴後にドライヤーで髪を乾かせたりします。

 

 横浜Fマリノスのスポンサー


サッカーJリーグの横浜F・マリノスと2019年2月にスポンサー契約。地域の健康増進や障がい者スポーツ普及などで連携しています。こういう取組は、いいですね~!三世代、四世代の家族も多くなってくるのでサッカーの力で介護のイメージアップを図ってもらいたいです。

 

 ツクイまとめ

 

介護業界大手としてもっともっと頑張って欲しいツクイ。有料老人ホームでは業界12位と出遅れており大都市圏の競争は厳しいです。今後は、デイサービスのシェアをさらに盤石にしながら得意の地域で住まい系施設を増やしそうです。

 

注目は人材確保に伴う介護士の年収アップ。ベネッセも介護職の囲い込みを進めているので各大手企業が優秀な人材の確保に乗り出せば必然的に給与はupしていくでしょう。介護保険収入以外の収入源を確保していけば平均年収600万も夢じゃない!?

 

 

 

地球と人を結ぶ!セントケア・グループ
 

小規模多機能型、グループホーム、デイサービス、ケアマネジメント、訪問介護など幅広く展開するセントケア・グループ。セントケアの評判としては。

 

良い点…女性管理職の活躍、オフィス環境がキレイ、社内制度が整っている、雇用が安定

 悪い点…トップダウン、評価制度が厳しい。祝日出勤、仕事量が多い

 

 

博士「会社の評価としては業界大手で一部上場企業なので安心感はある」

介子「給料は?」

博士「平均年収は514万じゃな」

 

新サービスは共働きをケア?
 

博士「セントケアの面白いサービスには介護保険外(自費)のプライベートケアサービスがある」

介子「プライベートケア?」

博士「外出時の見守り、病院の付き添い、自宅での身の回りの世話などサポートするサービスだ」

介子「ニーズはありそうね」

博士「一人暮らしの老人宅への定期的な見守りや話し相手。また共働きの夫婦では産前産後のお手伝いもしてくれるそうじゃぞ」

介子「赤ちゃんの世話も!?」

博士「それはNGじゃ」

介子「(チッ)」

博士「おまえ相手おらんやろ」

介子「・・・」

 

*費用は45分から60分未満が3600円(税抜き)

 

セントケアはロボットで勝負!?

 

博士「セントケアは介護ロボットの企画・販売事業を展開しておる」

介子「ガンダム?ガンダム?」

博士「その名も服薬支援ロボ」

介子「服薬支援?!」

博士「クスリの飲みすぎ、飲み忘れ、誤嚥を防止してくれるようじゃ」

介子「すごい」

博士「ちなみにお値段は、約12万円」

介子「高っ!」

 

訪問看護の戦略

 

 博士「セントケアは2017年、訪問看護事業のミレニアを子会社化した」

介子「介護じゃなくて看護?」

博士「訪問看護ステーションは2012年の報酬改定で当時約6200カ所だったのが2016年には9000カ所まで急増した」

介子「儲かるの?」

博士「在宅医療のニーズは高い。M&Aでエリア内のサービスを強化しながら効率化を図ろうとしているのだろう」

 介子「医療と介護はさらに近づくのね」

 

認知症のミニ保険でビジネス拡大
 

博士「2018年はエーザイと組んで一定の条件で認知症と診断された際に一時金を支払う少額短期保険(ミニ保険)を共同開発した」

介子「認知症の保険かあ」

博士「これからの介護はやはり認知症がキーワード。3年間で2万4000件の契約獲得を目指すそうじゃ」

 

保険料は60歳の男性で一時金を80万円と設定した場合は月650円。更新により満100歳まで継続可能です。

 

セントケアまとめ

 

博士「セントケアの徹底的な効率化の推進のひとつが介護ロボットの展開じゃと、わしは睨んどる」

介子「そうなん!?」

博士「そして訪問看護事業を買収してエリア内でのサービス強化を図るのも良い策じゃな」

介子「ロボットと看護か・・・」

 

 

セントケアは、2019年3月の組織変更で新規事業をゼロから立ち上げる事業開発部と成長軌道に乗せるための支援を行う新規事業支援部の二つに分けてビジネス戦略の動きを加速させています。

 

 

 

人間尊重!SOMPOケア

 

業界大手のSOMPOケアでは効率化の推進として入居者の表情を読み取り状態変化を把握する「ICT」を全施設で導入しています。

ICTとは「Information and CommunicationTechnology」の略で「情報通信技術」と訳されます。表情を読み取るICTとは、どういうことなのか?

 

ニュースリリースを見るとSOMPOケアネクストが認知症ケアの一環として取組んでいるキーワードが浮かび上がってきました。

 

表情スケール

 

表情スケールとは、介護記録をつける時に入居者の表情を「顔文字」で入力するもの。簡単に言えばラインスタンプの介護版です。

 

認知症ケアのスキルの向上を目指してSOMPOが実施しているのが認知症症状を疑似体験できる「バーチャルリアリティ」を使った研修。職員が中核症状を体験することで認知症の人の置かれた立場や不安、とまどいを体験で捉えることができます。

 

 AIベンチャーとの資本業務提携
 

2018年、SOMPOはAIベンチャー、エクサウィザーズと資本業務提携。エクサウィザーズは日本国内で唯一、エマニチュードの正規事業ライセンスを保有する会社です。

 

SOMPOはエクサウィザーズと組んで、AIを活用した認知症ケア技法や、認知症の早期発見・予防に関するサービスの開発を進めるとしています。

 

SOMPOはAIを活用して熟練者のケア技能を初心者に学習させるという狙いがありそうです。いわゆる「コーチングAI」ですね。教育サービスを共同開発し、介護だけではない業界にも進出するという思惑も見え隠れします。

 

介護と保険の「W収入」を狙う
 

SOMPOは2017年、介護度が改善した場合に保険を給付する保険を国内で初めて商品化しました。まさに本領発揮。介護保険収入以外の収入源を本業の「保険」で確保するわけです。

 

SOMPO傘下のリンククロスでは限定告知認知症一時金特約として、MCIや認知症を一時金で保障します。MCIとは、軽度認知障害のこと。万が一、介護を必要となった場合は、そのままSOMPOの介護サービスへと流す戦略のようです。

 

SOMPOまとめ
 

SOMPOホールディングスをリサーチして見てきたのは「認知症」を大きな収益源に育てようとするビジネス戦略です。将来的には認知症になる高齢者が1000万人をこえると推計され「認知症(予防)」対策は喫緊の課題です。

 

筆者もグループホームで働きながら認知症予防の重要性は痛感しています。

 

今後も介護各社は厚労省の動向を見ながら「認知症予防」ビジネスを強化。さらに、その知見を武器にして海外での介護事業の拡大を図りそうですね。