全国から児童相談所に寄せられている虐待の相談件数は2000年代以降、7倍に急増しています。しかし担当者の数は2倍程度しか増えていません。
この記事では、児童虐待の種類や取材する中で明らかになった虐待者としての母親の闇についてまとめました。
児童虐待の定義と種類とは
児童虐待には「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(保護者の怠慢・拒否)」「心理的虐待」の4つの種類があります。それぞれの定義を説明します。
①身体的虐待
殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する等
②性的虐待
子どもへの性的行為、性行為を見せる、性器を触る・触らせる、ポルノの被写体にする等
③ネグレクト(保護の怠慢・拒否)
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない等
④心理的虐待
言葉による脅し、無視、兄弟での差別扱い、子どもの目の前で家族に暴力を振るう等
虐待SOSが多いのは?
相談内容で最も多いのは、心理的虐待です。次に身体的虐待、ネグレクト、性的虐待と続きます(児童虐待相談所調べ)
虐待される年齢で最も多いのは小学生です。
次いで3歳から学齢前と続きます。この場合、虐待者は母親が最も多く、半数以上を占めています。
「児童虐待」の相談窓口は?
児童相談所が主たる窓口になります。
虐待の種類や程度によって、市町村と児童相談所が連携・協働します。
「しつけ」の虐待
しつけと称しての虐待ですが、この場合は親権を制限しなければなりません。
なかなか境界線が難しかったのですが、2012年の民法改正で親権の一時停止制度が導入されることになりました。
「子どもの利益を著しく害するとき」は最長2年までの停止期間を定めることができるようになりました。
虐待の現場に遭遇してしまったら?
虐待の場面に遭遇したときには「一人で対応しない方が良い」と専門家は言います。
虐待は複雑に絡み合っているケースがあり、個人の主観で物事を判断すると重要な真実を見過ごす可能性が高いからです。
事案について関係者と連携を取りながら冷静に対処します。
虐待を点で捉えるのではなく、過去、現在、未来への線として捉えると何をすべきかが見えてくるように考えます。
虐待する側の心理はどのようなものか?
取材をすると子供を虐待する母親は完璧主義者の傾向があります。
表面的には幸せそうに見えながら、内面ではストレスをため込んでいる。
そのストレスのはけ口として、子どもに当たるケースが多々あります。
完璧主義者は、他人に弱みを見せることを怖がります。
そのため相談者がなく、一人で悩み苦しむ傾向があります。
そのような状態から虐待が常習化することもあるので、まず大切なのは孤独の連鎖を断ち切ることがです。
相談された側は当事者だけでなく家庭環境等にも気を配り、相談に乗る、話を聞くことも虐待防止の有用な対策になると考えます。
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