戦士を養成する教育機関
スパルタ教育。その歴史はギリシャ時代に遡ります。
古代ギリシャは都市国家(ポリス)の集まりによって形成されていました。
教育は市民を育成することが目的でした。
その時代、特徴的だった教育が「スパルタ」と「アテナイ(アテネ)」です。
アテナイといえば、あのソクラテスですよね。
スパルタの訓練内容
スパルタ教育の特徴は、一言でいえばポリスを守る戦士の養成です。
そのため厳格な鍛錬主義の教育を行いました。
ポリスとは都市国家であり独自の思想が息づく国です。
その内容は身体を鍛練するための体操を重視して、読み書きや算術は最低限のものでした。
7歳になると家庭を離れて、共同の教育所で教育を受けます。
北朝鮮では空手などの武道に力を入れており、素手で人を殺せる猛者が多くいるとも伝えられています。
こうしたスパルタ教育を導入する独裁国家は意外と多いです。
洗脳とも捉えられる教育思想は独裁者にとって都合のよい戦士を作りやすいのでしょう。
盲目的な戦士は時に独裁者の暴走を手助けし、危ない国の闇となります。
日本でいえば忍者との類似性は高いかもしれません。
ソクラテスの「無知の知」
無知の知
スパルタ教育と一線を画する古代ギリシャの教育に「アテナイ」があります。
その特徴は、文化の中心として発展し、文法教授から地理学や幾何学などの学問が誕生したことです。
内容は、体操による調和的発達と音楽による美的情操の育成など。
16歳になると国立の体育場(ギムナシオン)で身体を鍛えました。
アテナイの教育者として有名なのが、ソクラテスです。
彼はアテナイで重視されていた「ソフィスト」と呼ばれる教師を厳しく批判しました。
ソフィストとは、政治で弁論を行うための修辞学や雄弁術に長けた教師のこと。
ソフィストを巨大化させたイメージとしては群衆の前で熱弁するヒトラーといったところでしょうか。
しかし、ソクラテスは「無知の知」を重視して、子どもたちに無知を自覚させるような問答を行いました。
無知の知とは、「知らないことを知っている」と自らの無知を自覚することにより、真の知識を求めるようになる考え方です。
思想家、プラトンの功績
無知の知を説いたソクラテスの思想を継承し、発展させたのがプラトンです。
プラトンはソクラテスを主人公とした対話篇による著書を多く残しました。
面白いのは「国家篇(ポリティア)」の教育論です。
プラトンは理想国家を目指し、アテナイの郊外に学塾アカデメイアを開設しました。
さらにプラトンの弟子のアリストテレスは、このアカデメイアで学びました。
アリストテレスは芸術的なプラトンとは異なり、理論的に学問の領域を分類しました。
まとめ
古代のギリシャ時代は、国家都市(ポリス)を存続させるために教育がありました。
しかし教育を受けられるのは、選ばれし若者だけでした。
古代では子供は家庭のものではなく「神の子」とされていました。
古来、日本では子育てを「植物の栽培」と同じように考えていましたが、古代ギリシャでは「動物飼育」と同じように考える傾向がありました。
これはキリスト教の性悪説に基づくものと言われています。
性悪説とは、人間は生まれながらに罪を背負って生きているという考え方ですよね。
つまり躾をして善い人間にしていくという感じでしょうか。
ですから、この頃は子どもの独自性を認めて、保護して尊重するという考えは毛頭ありませんでした。
アリエスによると、子どもを大切にし1つの魂を持ったかけがえのない存在と考えるようになったのは17世紀ごろからとされています。
スパルタとアテナイという二つの教育。
今の世界で人々がもとめているのは果たしてどちらなのでしょう。
本日もありがとうございました。