2019年度の概算医療費
厚生労働省は8月28日、2019年度の概算医療費の動向を公表しました。これは、病気やケガの治療で全国の医療機関に支払われた費用です。医療費の総額は3年連続で過去最高を更新して43.6兆円となりました。前の年度と比べておよそ1兆円も増えています。この記事では調査結果のポイントと6つの医療費の種類を解説していきます。
75歳以上は医療費が4倍に
令和元年になっても医療費は増え続けています。高齢化の進展などもあり、医療費は 43兆6000億円!前年度に比べて約 1 兆円増えています。また国民1人当たりの医療費は34万5000円。前の年度よりも8000円増えました。
興味深いのは医療費が高くなる年齢です。75歳未満は約22万円ですが、75歳以上になると約95万円にはねあがります。つまり、75歳が元気の分かれ道といえそうです。
入院は17兆6000億円
医療費の内訳を診療種類別にみると入院 17.6 兆円、入院外 14.9 兆円、歯科 3.0 兆円、調剤 7.7 兆円となっています。診療種類別で構成割合をみると入院は40.5%、入院外は34.1%、歯科 6.9%、調剤 17.8%。くすりの割合が高いことがわかります。
医療費の伸び率は+2.4%でした。診療種別にみると入院+2.0%、入院外+2.0%、歯科+1.9%、調剤+3.6%となっています。これは2019年度の数字なので、コロカ渦の2020年にはどう変わるか注目です。
歯科の受診は増えている?
医療機関を受診した延患者数に相当する受診延日数の伸び率は▲0.8%でした。診療種別にみると、入院▲0.3%、入院外▲1.4%、歯科+0.3%となっています。歯科の受診延日数は伸びています。1日当たり医療費の伸び率は+3.2%。診療種別にみると入院+2.3%、入院外+3.5%、歯科+1.7%、調剤+3.7%でした。
医療費の6つの種類
医療費と一口にいっても、医科や歯科にかかった診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費などがあります。医療費は後期高齢者医療制度や公費負担医療制度による給付などが知られていますが、これらに伴って自己負担などで支払った費用を合計したものとなります。
年々、増大していく医療費に将来の不安を抱えている若い世代は多いですが、医療費を診療種類別に見ると次の6つに区分することができます。
①医科診療医療費
医科診療にかかる診療費です。
②歯科診療医療費
歯科診療にかかる診療費です。
③薬局調剤医療費
処方箋により保険薬局を通じて支給される薬剤等の額です。価格が安い後発医薬品、いわゆるジェネリックの昨年度末の使用割合は、数量ベースで80.4%と前の年度より2.7ポイント増えています。
④入院時食事・生活医療費
入院時食事療養費、食事療養標準負担額、入院時生活療養費および生活療養標準負担額の合計額です。
⑤訪問看護医療費
訪問看護療養費および基本利用料の合計額です。
⑥療養費等
健康保険等の給付対象となる柔道整復師・はり師等による治療費、移送費、補装具等の費用です。
まとめ
医療費は過去最高の43.6兆円と増加しています。医療費には看護や療養費もあります。介護される方が増えれば当然、こちらも増加します。もちろん病気にならないことが一番ですが、医療費増加を防ぐためには予防も必要です。75歳を境に医療費ははねがあります。そのため75歳を目安にして健康予防に取り組むのもよいかもしれませんね。本日もありがとうございました。
<参考文献>