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世界初!慶応大で成功、脊髄損傷の人工シナプス~再生医療の特徴や効果、歩ける可能性とは?

 

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デオシーク

 

世界初!人工シナプスコネクターの開発に成功

 

2020年8月、嬉しいニュースが入ってきました。

 

それは慶應義塾大学などのグループが、脊髄損傷の治療に効果のある「人工シナプスコネクター」の開発に世界で初めて成功したというもの。

 

このニュースは、僕の担当している障害のある発明家の方も注目しています。

 

脊髄損傷により30年以上、車イスで過ごしている高齢の方。それでも病気を治したい強い意志は持ち続けています。

 

今回報じられたのは、人工的に作り出したたんぱく質を注射することで、切れてしまった神経の機能を回復させる研究です。

 

すでにマウスを使った実験に成功しているそうです。

 

慶大グループでは「安全性や効果についての確認をさらに進め、脊髄損傷やアルツハイマー病などの治療薬開発につなげたい」と話しています。

 

そもそも頚髄損傷とはどんな病気なのか、どのくらいの患者がいるのか?

 

人工シナプスの特徴や効果について簡単に解説していきます。

 

 

脊髄損傷とは?スノーボーダーや俳優、滝川英治の闘い

 

ドラマ撮影中に自転車から落ち、脊髄損傷を負った俳優・滝川英治さん。

 

懸命にリハビリに励み、パラスポーツ番組のMCで仕事復帰を果たしました。

 

プロスノーボーダーの岡本圭司さんも脊髄損傷の大怪我をしました。

 

手術を経てリハビリを続行しながら雪上に復帰しました。

 

脊髄損傷とは「外傷などによる脊髄の損傷で知覚・運動・自律神経系の麻痺を呈する病態」です。

 

日本の患者数は10万人以上、加えて毎年約5000人の患者が発生しています。

 

しかし、いまだに有効な治療法は確立されていません。

 

それでも近年基礎研究が進歩して、中枢神経系も適切な環境が整えば再生することが明らかになりました。

 

世界中では、さまざまな治療法が臨床試験に入りつつあります。

 

 

日本でも神経幹細胞,嗅神経鞘細胞,骨髄細胞などを用いた細胞移植療法のほか,顆粒球コロニー刺激因子や肝細胞増殖因子などの薬剤が臨床応用される可能性がある.

 

 

 

中枢神経系の特徴と役割とは

 

日常の中で新しいことを記憶したり、学習したり、身体を動かすことを私たちは何気なくしています。

 

しかし、これはとても複雑な仕組みで成り立っています。

 

この時に重要な役割をしているのが、脳や脊髄などの中枢神経系です。

 

中枢神経系では、膨大な神経細胞が集まり、結びつき複雑でありながらも法則性のあるルールに基づいてネットワークを構成しています。

 

そのネットワークにおいて、神経細胞間を接続する特殊なつなぎ目を「シナプス」と呼びます。

 

 

 

 

 

シナプスの可能性や伝達とは

 

シナプスでは、シナプス前部から後部に向かって情報伝達されます。

 

情報を出力する神経細胞はシナプス前部から神経伝達物質を放出。後部の神経細胞がそれを受けることで情報が伝わります。

 

このような情報伝達の場を構築するのが、シナプスオーガナイザーと称される分子です。

 

シナプスオーガナイザーは、分子のコネクターとして機能したり、情報伝達に関する分子をシナプスに集めたりする役割をします。

 

シナプスは発達期に多くつくられます。

 

しかし、情報伝達があまり行われないシナプスは除去され、逆に入力が多い神経回路では数や機能の増強が行われます。

 

生涯にわたって形成、維持、再構築が行われるシナプスは、私たちが物事を記憶したり、忘れたり、繰り返しの練習で上手に運動ができるようになる重要なキーでもあるのです。

 

 

発達障害やアルツハイマーとシナプスの関係

 

近年、自閉症などの発達障害やアルツハイマー病などにおいて、シナプスの数や機能の異常、シナプスオーガナイザーの遺伝子変異が多数報告されています。

 

僕自身も発達障害のケアをしているのでシナプスと精神・精神疾患との関連性は大変、興味のあるところです。

 

いくつかの精神・神経疾患はシナプスの減少に起因することが強く示唆されています。

 

分子メカニズムの解明やその過程を制御する方法の開発は、今後、有用な治療薬を生み出すためにも不可欠です。

 

 

加齢臭

 

慶応大学による脊髄損傷、人工シナプス開発

 

今回、慶応大と愛知医大のチームはシナプスが切れても人工的に組み合わせたタンパク質を用いてつなぎ直すことにマウス実験で成功しました。

 

成功させたのは、慶應義塾大学医学部生理学教室の柚﨑通介教授、鈴木邦道助教を中心とする研究チームです。

 

研究チームには、愛知医科大学の笹倉寛之博士、武内恒成教授とイギリス、ドイツの研究者らも参加しています。

 

愛知医科大学には脊髄損傷センターがあります。

 

高度医療に力を入れている印象がありますね。

 

愛知医科大学の主な対象疾患を載せておきます。

 

 

腰部脊柱管狭窄症,腰椎すべり症,腰部椎間板ヘルニア,腰椎分離症,変性側彎症,黄色靱帯骨化症,後縦靱帯骨化症,頚椎症性神経根症,頚椎症性脊髄症,頚椎椎間板ヘルニア,脊椎脊髄腫瘍,脊髄血管奇形,頭蓋頚椎移行部病変など,あらゆる脊椎脊髄疾患を対象としています。

 

 

研究グループは先行研究の成果をもとに、シナプスの結合を促進させる効果が期待できる新しい人工タンパク質「CPTX」を開発しました。

 

そしてシナプスの減少や異常を伴う小脳失調、アルツハイマー病、脊髄損傷のモデルマウスに投与し、効果を検証したそうです。

 

すると数日以内にシナプスが再形成され、協調運動の改善、学習・記憶機能の回復、まひした後ろ足の運動機能の回復など、著しい改善が確認できたといいます。

 

これは、本当にすごいことです!

 

 

 

ライフプラン診断LP

 

 再生医療の可能性と「CPTX」

 

 

今回の研究は、従来の精神・神経疾患における薬物治療とは全く視点の異なる「神経回路の再接続」というアプローチの可能性を示すものです。

 

神経細胞と神経細胞のつなぎ目であるシナプスは、人体組織の働きによって発達期から生涯にわたって形成、維持、再構築のサイクルが維持されます。

 

今回のポイントとなるのは「CPTX」という人工的なたんぱく質です。

 

このたんぱく質を後ろ足がまひして歩けなくなったマウスに注射したところ、2か月ほどで、正常なマウスの8割程度まで改善して、歩けるようになったといいます。

 

開発が進めば、脊髄損傷で歩けなくなった方が再び歩けるようになる可能性は高まります。

 

さらに、アルツハイマー病を再現したマウスの脳に注射したら、記憶力が改善したというのも大きな成果です。

 

自閉スペクトラム症、統合失調症、アルツハイマー病など多くの精神・神経疾患の発症は、シナプスの数や機能に異常があることが一因と考えられています。

 

このたんぱく質によってシナプス異常が是正され、けがや病気などで損傷した神経伝達の回路が回復される日も近いかもしれません。

 

介護障害分野に大きな影響を及ぼしそうな今回の研究。

 

今後も注目していきたいと思います。

 

 

本日もありがとうございました。

サトシ(@satoshi_Jp0415でした。

 

 <参考文献>

 

・慶應義塾大学 “A synthetic synaptic organizer protein restores glutamatergic neuronal circuits”(人工シナプスオーガナイザーたんぱく質がグルタミン酸作動性神経回路を回復させる)

 

 

 

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