ツナガレ介護福祉ケア

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カサンドラ症候群の意味とは?「アスペルガー」の特徴と子育て~ツナガレケア

 

カサンドラ症候群とは、アスペルガーのパートナーを持つ女性が、精神的苦悩や疲弊を抱え、自らの精神的なサポートが必要になる状態のことです。アスペルガー(アスペ)と呼ばれる男性には、次の特徴があります。3つ以上当てはまったら要警戒です。

  • 自分の興味のあることに没頭する
  • 感情よりも、論理的思考を優先する
  • コミュニケーション能力は極めて低い
  • 自己中心的な人

 

 

アスペルガー夫

アスペの男性は、自分の興味のあることには努力を惜しみません。そのため、社会的な成功者も多いです。例えば大学教授や医者、IT企業の経営者、大企業のエリート社員、キャリア官僚など。職場でも優秀とされる男性が実はアスペだったりします。

地位や名誉もあるエリート。そんなアスペ男性と結婚した女性は、結婚後に「会話が成り立たない」「何を考えているのかわからない」という問題に直面します。こうした悩みを相談しても、夫が優秀なために周囲からは理解されずに心身に不調をきたしたり、ストレスで押しつぶされたりと悲劇に陥るケースがあります。

カサンドラ症候群とは

カサンドラは「Cassandra Affective deprivation Disorder」の略です。一般的にアスペルガーのパートナーもつ女性が陥りやすい、精神的な抑うつ状態のことをさします。

カサンドラは、愛情剥奪症候群と訳されることもありますが、研究論文はまだまだ少ないです。ここでは書籍などからカサンドラのルーツを簡単に紹介します。

起源はギリシャ神話

そもそも「カサンドラ」とはギリシャ神話に登場する王女の名前です。彼女は太陽の神、アポロンに求愛されます。誰もがうらやむ完璧な男性との生活。しかし現実は違いました。不安や孤独、焦燥感にさいなまれる日々。周囲に助けを求めても、アポロンの偉大さから、カサンドラの話を誰一人信じようとせず、彼女は非業の死を遂げるのです。

現代版のカサンドラ

カサンドラの悲劇を現代風の物語にしてみました。エリートだけどアスペの夫と、知らず知らずにカサンドラのような状況に追い込まれる妻。今回は、大企業に勤める男性と結婚した女性のケースを紹介します。

幸せな生活

OLとして働く菜々緒(28歳)。

ある日、友だちの紹介で大企業のエリート社員、涼真(32歳)と出会います。

涼真は一流大学の理系出身で優しくさわやかな好青年。実家は資産家で趣味はサーフィン。仲間も多いという非の打ち所がない男性です。

何度かデートを重ねた後、菜々緒は涼真から「きみはなんて素敵な女性なんだ。一生大切にしたい」とプロポーズされました。

才気あふれる涼真の告白を断れる女性がいるでしょうか。

菜々緒は涼真の実家が所有する高級マンションでの新婚生活をはじめます。しばらくすると子どもも授かり、幸せな日々が続きました。

厳しい現実

結婚から数年経った頃。涼真の仕事はますます忙しくなります。

休日は家族と過ごしてくれると思っていた菜々緒ですが、涼真は気分転換を理由に趣味のサーフィンや仕事仲間と遊びに出かけてしまいます。

育児は全て菜々緒にまかせっきり。そして子どもの3歳児健診に大きな出来事が起こります。子供に軽い障害がみられると「おまえの遺伝子が悪い」とキレて、菜々緒を責めはじめたのです。

あまりにも身勝手な言い分に憤った菜々緒は、涼真の母親に相談します。

これまで優しく接してくれていた姑。しかし、涼真の不満を口にすると「息子はそんな子ではない。あなたの被害妄想よ」と態度が一変したのです。

理解してもらえない

菜々緒は孤独でした。こんな結婚生活を夢見ていたわけではありません。

完璧な夫、裕福な暮らし、誰もがうらやむ環境…。友達や実家、ママ友に相談しても、涼真のウラの顔を信じてくれる人はいません。むしろ「あんな完璧な旦那さんなのだから、ちょっとくらい我慢しなさい」と、菜々緒を叱責する人もいました。

「もう誰も信じられない」

日ごとに菜々緒の闇は深くなっていきます。

一筋の光

菜々緒は偶然、近くに開業した心療内科を見つけました。

迷いながらも、勇気をだしてカウンセリングを受けることにしました。

落ち着いた室内、若い女医の先生は親身に話を聞いてくれました。誰にも話したことのない心の闇を明かしていくと、少しずつ心のモヤが晴れていくようでした。

何回かのカウンセリングの後、やはり涼真はアスペルガーなのだと確信しました。

「このままでは全員が不幸になる。彼に変わってもらうしかない」

菜々緒は、夫の涼真に一緒にカウンセリングを受けてほしいとお願いしました。

妻の提案に戸惑いながらも、涼真は優しい笑顔で頷いてくれました。

「よかった。これで幸せになれる」

菜々緒は久しぶりに熟睡することができました。

カサンドラの悲劇

菜々緒の提案を受け入れた涼真。しかし本心は違いました。プライドの高い彼は、自身に問題があることを認めてはいなかったのです。それどころか菜々緒のいないところで、周囲にこう言い触れ回ったのです。

「妻がおかしくなった」

対外的にはエリートとして多くの人々に尊敬されている涼真。その言葉を誰もが信じました。菜々緒は周囲の人々から冷たい目で見られはじめます。

ますます心の闇は深くなり、偏頭痛や抑うつ、無気力、自律神経失調症など心身に不調をきたすようになっていく菜々緒…。

そんな母親の姿を部屋の隅で、自閉症の子どもがじっと見つめていました。

カサンドラ症候群の対処法

対外的に高い評価を得ている男性は、アスペルガーであっても、なんとなく周囲に許されてしまうことがあります。また理論型の夫の場合、妻が不満を口にしても、非を認めずに言い負かされてしまうケースは少なくありません。

誰にも理解してもらえない。こうした状態に置かれた妻は自己評価が消失し、心が折れてしまうことも多いです。カサンドラ症候群が疑われる場合は、心理カウンセラーへの相談や、同じような悩みを抱える自助グループに参加して心の悩みを解き放つことが何より大切です。

カサンドラの悲劇を防ぐためには、身近に信頼して相談できる年上の友人をつくることをおすすめします。本日もありがとうございました。