最近、話題になっているのが「ロジハラ」というハラスメントです。ロジハラとは「ロジカル(ロジック)・ハラスメント」の略で、論法・論理をふりかざして相手を追い込むハラスメントのことです。
理詰めで、いやおうを言わさない力、威力によって相手をねじふせます。一体、どのような被害を受けるのか。3つの特徴について解説します。
①ロジックで相手を叩きのめす
世の中には「ロジック命」とばかりに、正論を吐き、相手を叩きのめそうとする人は少なくありません。こうした傾向は相手よりも優位に立とうと思われる人に多く見られます。
ロジハラを指摘された人からは「正しいことを言っているのに何が悪いんだ」という言い分が聞かれます。高学歴を自負する人やエリート意識の高い人から、ロジックハラスメントを受けたというケースは少なくありません。
②正論を押し付ける
例えば、ホリエモンと餃子店主のトラブルがあります。
堀江氏は21日に広島県内の飲食店を訪れた時に、同行者がマスクを着用していなかったため、店主から入店を拒否された。堀江氏、店舗双方がネットで経緯を書き込み、その内容が異なっていたため、ネット上で論争となっていた。(参照:gooニュース)
入店拒否をした店主に対して、マスク着用の是非について「独自の正論」で追い詰めたというホリエモン。ホリエモンが良い、店主が悪いという話ではなく、ポイントは「独自の正論」をホリエモンが押し付けようとしたことではないでしょうか。
ディベートがあるように物事は異なる立場から主張することが可能です。問題なのは、自身が持っている理論を振りかざして相手を追い詰めること。
「こういうルールでやってます」という相手に対して、「いいや、それはおかしいだろ」と聞く耳を持たずに論破しようとする。それによって相手が不快感を覚えて、嫌悪感を抱く場合は、ロジハラとされています。つまりホリエモンのとった行動も、ロジハラといわれる特徴です。
③負けず嫌いで、共感力が低い
ロジハラの特徴としてはプライドが高く、負けず嫌いなタイプがあげられます。なんとなく自分の方が間違っていると思っていても認めたくない人が少なくありません。たぶん、相手の主張を認めることは「負け」と思っているタイプかもしれません。
ここで注意したいのは「モラハラ」と「正論」とは違うことです。正しいことを相手に伝えるのは悪いことではありません。問題なのは「独自の正論」で相手を論破して悦に入るタイプです。
「(俺はお前より出来るんだから文句言わずに俺のいうことをきけ!)」という声が相手にも伝わるから、論破された方はハラスメントと感じてしまうのです。
要は伝え方、言い方もあるのかな……と思います。相手を論破しないとバカにされてしまう、という屈折した心理が働くことがあるかもしれません。
相手がミスをしたとしても、一方的に意見を押し付けるのではなく歩み寄る姿勢や妥協点を見つけることは大切です。相手の気持ちを思いやり、相手の意見を聞き入れて話し合う。そうした共感力に欠けている人が多いのも、ロジハラをする人の特徴です。
テレビのワイドナショーで注目されることに。
ロジハラは、2020年10月11日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)などで話題となりました。仕事でミスをしたら「上司からなんでミスしたのか説明して」と理由が分かっているのにいわざわざ相手に言わせるのはロジハラではないのか……というテーマ。
正しい指摘でも相手を思いやる気持ちがないのは良くないこと?正論をぶつけて相手を困らせて優位に立とうとするのはハラスメントではないのか?という議論だったようです。このロジハラについて乙武洋匡さんはツイッターで、こうつぶやきました。
なんでもハラスメントだなあ。こんなものがまかり通ったら、すべてに感情が優先される歪んだ社会になってしまう。むしろ世間の空気に流されずに正論を言ってくれる存在は大切にすべきでしょ。
つまり、正論までもハラスメントとして捉えられたら、それはそれで変でしょ!という内容でした。こうしたツイッターの盛り上がりから「ロジハラ」というワードが注目されました。
独自の正論は正義なのか?
正論で相手を論破することで、自分の優秀さを認めさせようとする。論破することに生きがいを感じている。世の中には意外とそういう考えの人は多いです。親子関係、夫婦関係、友達関係でもロジハラが生じることはあります。
自分の意見を正義にしたい。そうした気持ちは誰にだってあります。ただ独自の正論を振りかざし、相手を追い詰めて不快にさせる危険性はあります。相手の尊厳を傷つけずに双方の成長につながるような議論をする。
言うは易く行うは難し……ではありますが、わたし自身、気をつけたいと思います。本日もありがとうございました。