ツナガレ介護福祉ケア

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自閉症スペクトラム障害の3つの特徴~簡単にいうと、どういう見分け方

f:id:mamoruyo:20201225195427p:plain 実は、新生児の100人に1人は自閉症であると考えられています。日本の人口が1億2600万人なので、ざっと126万人が自閉症の可能性があるわけです。自閉症は発達障害のひとつで主に3つのタイプに分けられます。それは「自閉症スペクトラム障害」、「ADHD(注意欠如・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つです。

障がい者支援の現場でも自閉症の利用者さんは多いです。最新のDSM-5以降、自閉症はアスペルガーなどと統一されて呼び名は「自閉症スペクトラム障害」と総称されています。

 

 

自閉症の特徴とは?

自閉症の主な特性には、①コミュニケーション障害、②こだわり行動、③社会性障害があります。自閉症の方は、学校や仕事場で違和感のある行動が見られます。しかし、この違和感の捉え方には個人差があります。ある人には気になっても、ある人は気にならなかったり。

例えば、1日中ピアノを弾いている音楽家がいても気にはなりませんが、1日中カスタネットを叩いている子どもがいると違和感を覚える人は多いでしょう。自閉症も年齢や職種などで容認されているケースはあります。

自閉症の方は多くの場合、周囲から「浮いた存在」となります。その理由に「空気が読めない」があります。周囲が迷惑だと感じていても、自分の好きなことだけに熱中する。こうした空気が読めないことは、コミュニケーション能力の欠如ともいえます。

コミュニケーション障害

  自閉症の特徴のひとつにコミュニケーション障がい、いわゆる「コミュ障」があります。コミュニケーション障害は「理解が難しい」「発信が難しい」「やりとりが難しい」が挙げられます。具体的な行動には、次のようなものがあります。

  • 指示してもすぐに行動ができずに、違う行動をする。
  • 同じ指示をしているのに分かる時とダメなときがある。
  • 相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • 「ちょっと」や「ゆっくり」など曖昧な言葉が理解できない
  • 冗談やダジャレが理解できない

コミュニケーション障害だと、誰に何を伝えたらいいのか悩みます。他にも次のような行動がみられます。

  • CMやアニメの言葉は言えるのに、伝える手段で言葉を使えない。
  • 指差しや、相手の手を取って伝える。
  • 相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • お決まりのセリフが多い。

自閉症傾向の人は「気持ち」や「心」など見えないものが苦手です。忘れやすく処理速度も他人に合わせられません。情報が多いとパニックになることもあります。

自閉症というと知的レベルが低いイメージがありますが、高機能自閉症やアスペルガー症候群など、むしろ知的能力には問題がないケースもあります。それだけに診断が難しい障害でもあります。

こだわり行動

最近はメディアで報じられることも増えたので、自閉症といえば「興味のかたより」や「こだわり」が強いと知っている方も多いです。しかも日常生活の中で無数のこだわりを持つ人もいます。たとえばトイレがある場所に行くと全部の便器を使う。シャンプーは1回で全部使い切らないと納得しない・など。こうした方は「物の一部に対する強い興味」「帯同・反復的な行動」「変化への対応が難しい」などの行動が見られます。

一部の強い興味の対処法

自閉症の方は興味や関心が強くて狭い人が多いです。ひとつに興味が向くとそれ以外は目に入りません。例えばテレビのスイッチに興味がいくと家にあるテレビのスイッチを全てオンにして回ったり、フェミレスで好きなジュースを見つけると何度でも飲みに行ったりします。

集中力は高く、他のことに注意がいかなくなる傾向もあります。ジュースを待っている人がいても、かまわずに何度もその場でジュースを注いで飲むこともあります。他にも次のような行動が見られます。

  • 標識やロゴ、テレビCМ、電車などの一部に執着する。
  • 自分が興味のないことは、全く関心を示さない。
  • 細かいことが異常に気になる。
  • 声をかけても聞こえていないように振る舞うことがある。

こうした行動が見られた場合に怒ったり注意すると逆効果です。こだわり行動が見られたときは危険性のない場合はそのままにしておく。その時の行動をチェックして分析する。興味のある物を活用しながら、好ましい行動につなげていくと、問題行動が軽減するケースが多いです。

また決められたルールを変更することに拒否反応を示すこともあります。自分の手順、日課、道順などの「自分ルール」が多いので、ズレが生じるとフラッシュバックのような混乱が生じます。変化への対応が難しいのも自閉症の特徴です。その行動をまとめると次のようになります。

  • 自分のルールを変えられることに抵抗がある。
  • 必要があっても変更できない。
  • 人が変わったり、場所が変わることを嫌がる
  • 活動の途中で止められると対応できない。

社会性の障害

自閉症で問題となるのは社会性の障害です。人との関わりが一方的で相手の気持ちに関係なく行動し、周囲にどのようにみられるのかを気にしない方が多いです。相手の表情や気持ちを読みとく事が苦手で、一緒に映画を見ても心を通わすことが苦手で共感することができなかったりします。

  • 同世代の人と上手に付き合うことが苦手
  • 年齢相応の常識が見についていない。
  • 待つのが苦手で、自由時間を上手に使えない
  • その場にふさわしい行動がとれない
  • 周囲に合わせて行動ができない

自閉症のNG行動

自閉症の診断基準として、対人関係の形成が難しい「社会性の障害」、言葉の発達に遅れのある「言語コミュニケーションの障害」、想像力や柔軟性が乏しく進化を嫌う「想像力の障害」の3つがあります。
対応のポイントとして、指示は短く複数やることがあっても、1つ1つの行動に対して個別に指示を出すことが良いとされています。つまり簡潔に伝えたい事だけを伝える方法です。「○○したら△△してあげる」といった条件付きの提示は理解出来ない可能性が高いです。また「いい子にしていたら」という漠然とした基準を理解する事が難しい場合もあります。

「○○して△△して□□して・・・・・」と一度に複数の指示を出しても順序良くこなす事が難しい場合がありますので、一つ一つ「○○しましょう」と指示を出し、それが終わってから「△△しましょう」と次の指示を出す方法が適しています。

自閉症の特性を理解しよう

自閉症の特性を見ていくと、周囲にも当てはまる人がいるかもしれません。今回はおおまかに自閉症の特性をまとめてみましたが、その特性があるからといって大きな問題があるわけではありません。問題になるのは、自閉症があることで本人や周囲が困ることです。

介入方法としては、環境、行動、薬物の組み合わせが効果的です。早期発見、早期治療が重要ですが、診断は慎重に行われる必要があります。気になる方は信頼できる専門機関に相談することをおすすめします。本日もありがとうございました。