全国の社会福祉法人の数は?
全国に福祉施設を経営する社会福祉法人は一体どれくらいあるのでしょう。調べてみると、およそ2万法人に上りました。こうした法人では様々な社会福祉サービスが行われています。対象となるのは高齢者だけでなく、子どもや障がい者、生活に困窮している方などです。
サービスを行う根拠となるのは法律です。社会福祉関連の法律は複雑です。逆に考えれば法律を理解しておけば、適切なサービスが受けられることになります。主な法律は6つあります。それは「生活保護法」「児童福祉法」「母子および父子並びに寡婦福祉法」「身体障害者福祉法」「老人福祉法」です。この記事では法律に紐付いた知っておきたい施設の種類を説明していきます。
生活保護法の施設
生活保護とは、いわゆる「生保(せいほ)」です。生命保険の呼び名と間違えてしまうため、ナマポなどと呼ばれることもあります。福祉の現場にいると生活保護は身近にあります。生活保護とは資産や能力などすべてを使っても生活に困っている人に、国が経済的な援助を行う制度のことです。具体的には8種類あります。
- 生活保護
- 教育扶助
- 住宅扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
生活保護法によって活用できる施設は5つあります。
①救護施設
救護施設とは、身体や精神の障害、生きづらさを抱えて日常生活を営むことが困難な方に活用していただく施設です。
②更生施設
身体や精神の理由で、養護や生活指導を必要とする方を入所させて生活扶助を行います。更生施設は犯罪や非行のある人を一定の期間保護し社会復帰を助ける役割を担っています。
③医療保護施設
医療を必要とする方に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設です。
④授産施設
身体や精神、世帯の事情により就業能力の限られている方に、就労や技能の修得に必要な機会を与えます。心身に障害があり一般企業に就職することが難しい人の自立を支援します。
⑤宿所提供施設
住まいのない世帯に対して住宅扶助を行うことを目的とする施設です。単身用と世帯用の2種類があります。
児童福祉法の施設
児童福祉法は、子どもの健やかな成長と最低限度の生活を保障するために制定された法律です。児童福祉法第7条に規定されている施設が以下になります。
①助産施設
保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により入院助産を受けることができない妊産婦を入所させて、助産を受けさせることを目的とする施設です。
②乳児院
乳児を入院させて、これを養育し、あわせて退院した方へ相談や援助を行うことを目的とする施設です。
③母子生活支援施設
配偶者のない方や、その人の児童を入所させて保護します。また生活を支援し、退所した後の相談や援助も行います。
④保育所
保育を必要とする乳児・幼児、その他の児童を日々、保護者のもとから通わせて保育を行うことを目的とします。保育所は児童福祉法に基づく施設です。
⑤児童厚生施設
児童に健全な遊びを与え、その健全育成を図る目的で設置された施設です。児童遊園や児童館などがあります。これらの施設に配置されているのが、児童の指導に当たる児童厚生員です。
⑥児童養護施設
保護者のいない児童や、虐待されている児童などを入所させて、これを養護する施設です。あわせて対処した方にも相談や自立支援を行います。
⑦障害児入所施設
障がい児を入所させて、支援を行うことを目的とします。福祉サービスをメインとした福祉型と、治療を行う医療型があります。
⑧児童発達支援センター
児童発達支援センターは、障がい児を日々、保護者のもとから通わせて支援します。日常生活の基本的な動作指導、独立自活に必要な知識技能を身につけていただきます。また集団生活への適応訓練を行うのが、福祉型児童発達支援センターです。
⑧児童心理治療施設
児童心理治療施設では、心理的問題を抱えていたり、日常生活の多岐にわたり支障のある子どもたちを支援します。医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を中心に学校教育との緊密な連携による総合的な治療・支援を行います。
⑨児童自立支援施設
児童理事率支援施設は、不良行為を行ったり、そのおそれがある児童や家庭環境などの理由で生活指導が必要な児童を入所させる施設です。施設では必要な指導を行い、自立を支援することを目的としています。子どもの日常の生活を支えながら、学校に代わっての学科や職業指導なども行います。退所後も必要な相談や援助を行います。
⑩児童家庭支援センター
児童家庭支援センターは子ども、家庭、地域住民等からの相談に応じ、必要な助言、指導を行います。また児童相談所、児童福祉施設との連絡調整も行います。児童相談所を補完する役割をもち、児童福祉施設等に設置されています。
母子および父子並びに寡婦福祉法の施設
①母子・父子福祉センター
母子・父子福祉センターは、無料または低額な料金で、ひとり親(母子・父子)家庭の相談に応じるサービスを行っています。生活の安定、福祉の向上に役立てていただくための施設です。
②母子・父子休養センター
母子・父子休養センターは、無料または低額な料金で、ひとり親(母子・父子)家庭にレクリエーションや休養してもらうことを目的とする施設です。
老人福祉法の施設
①老人ディサービスセンター
65歳以上の方で、身体や精神の障害があるために日常生活を営むのに支障がある方やその養護者(介護する家族等)の支援を行います。最近は介護予防のために通う方も増えています。施設に日帰りで通うことで、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、介護方法の指導等の支援を行います。
②老人短期入所施設
65歳以上の方で、介護する家族が病気などの理由で、自宅で介護を受けることが一時的に困難な方を短期間養護することを目的としています。
③養護老人ホーム
65歳以上の方で、身体・精神または環境上の理由や経済的な理由によって、自宅での生活が困難になった方が入所できます。老人ホームでは食事サービス、機能訓練、その他日常生活上必要な便宜を提供します。
④特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、様々な理由で在宅での生活が困難な状況であり、入所を望む方へ食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護を行います。心身機能の維持回復、急性の病気・負傷時の病院への搬送・付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談も行います。
⑤軽費老人ホーム
軽費老人ホームは、無料または低額な料金で60歳以上で自立して生活することに不安がある身寄りのない方や、家族の援助を受けることが困難な方が入居できる施設です。
⑥老人福祉センター
老人福祉センターは無料または低額な料金で、地域の高齢者の相談に応じる施設です。健康増進、教養の向上、レクリエーションなども総合的に提供します。
⑦老人介護支援センター
自宅で暮らしている介護が必要な高齢者や、介護のおそれのある高齢者、寝たきりや認知症などの高齢者を介護している家族などを支援します。それぞれの相談に応じて各種の保健、福祉サービス(介護保険を含む)が、総合的に受けられるように行政機関などとの連絡調整などを行います。
身体障害者福祉法の施設
身体障害者福祉法は、身体障害者の自立と社会活動への参加を促す法律です。都道府県知事などから「身体障害者手帳」の交付を受けると障害の等級に応じたサービスを受けることができます。
①身体障害者福祉センター
無料または低額な料金で、身体障がい者に関する各種の相談に応じ、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進やレクリエーションを行なっています。
②補装具製作施設
無料または低額な料金で、補装具の製作または修理を行います。
③盲導犬訓練施設
無料または低額な料金で、盲導犬の訓練を行うとともに、視覚障害がある身体障がい者に対し、盲導犬の利用に必要な訓練を行います。
④視聴覚障害者情報提供施設
無料または低額な料金で、点字刊行物、視覚障害者用の録音物、聴覚障害者用の録画物など視聴覚障害者が利用するものを製作します。点訳(文字を点字に訳すこと)、手話通訳を行う人の養成、派遣なども行なっています。
障害者総合支援法の施設
障害者総合支援法は、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策について定めた法律です。2013年に施行されました。
①福祉ホーム
住居を必要としている障害のある方に、低額な料金で居室などを提供します。また日常生活に必要な支援を行います。
②共同生活援助ホーム(グループホーム)
障害のある方の入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行います。孤立の防止、生活への不安の軽減、共同生活による身体・精神状態の安定などが期待されています。平成26年4月より共同生活介護(ケアホーム)という名前は、共同生活援助(グループホーム)へと一元化されました。
③障害者支援施設
障害のある方に対し、入浴や排泄、食事などの介護を行います。また生活に関する相談や助言も行います。その他の必要な日常生活上の支援(施設入所支援、生活介護、自立訓練、就労移行支援など)をします。
まとめ
いかがでしょう。 社会福祉サービスで使える施設はいろいろあるなあ、と思った方も多いのではないでしょうか。実際に使ったことのある方は少ないかもしれませんが、それぞれの法律に基づいた各種の施設は困ったときに役立ちます。サービスと法律を知ることでぜひ活用してください。
本日もありがとうございました。