マリア・モンテッソーリ(Montessori, M.)とは
モンテッソーリはイタリアの思想家・実践家です。彼女はイタリア初の女性精神医学博士でもありました。そして「子どもの家」を開設し、知的障害分野での実践を健常児に適用する実践を行いました。
モンテッソーリが注目したのは、興味のある対象に自発的に没頭する子どもの特性です。例えば、お絵かきに没頭するとずっと書いているような特性です。モンテッソーリはそうした現象を「集中現象」と名付けました。
集中現象は発達障害の子どもに良くみられる特徴でもあります。自閉症の子どもは家の中に閉じこもってひとつの作業を飽きずに続けていることも少なくありません。こうした障害のある子どもの教育に携わったモンテッソーリは、成長・発達の手段として「教具」を考案しました。
教具と手作りのおもちゃ
モンテッソーリが考案した障害児教育を行うための教具はいくつかあります。その一部としては着衣枠、重量板、触覚板、円柱さし、ピンクタワー、算数棒、音感ベルなどです。これら教具は時代とともに進化していきました。
こうした教具を通した保育はモンテッソーリ・メソッドと呼ばれており、現代の欧米や日本にも大きな影響を及ぼしています。療育の現場などでも広く使われているのでご存知の方も多いかもしれません。また自宅でも子どもの才能を伸ばす、知育おもちゃとして利用されている方も増えています。
スラム街の「子どもの家」とは
モンテッソーリは1907年、ローマのスラム街の「子どもの家」の監督に就任しました。この子どもの家では日常生活訓練や感覚教育、言語教育など、子どもの自主的な興味のもとに自由に教具を選び、満足いくまで遊んでもらうという援助をしました。
医者でもあったモンテッソーリは、科学的・客観的に観察を続けることで、子どもにはある特定の時期に特有の興味・関心が表れ、全身全霊をかけてそのものに取り組み、特定の能力が飛躍的に発達する時期(敏感期)があることを発見しました。
この飛躍的に発達する時期に何を与えるかによって、その後の能力開発に大きな影響を及ぼすということかもしれません。例えば、幼少の頃に英才教育を施すというのは興味を伸ばすことでもあります。ただし、自発的に興味や関心が表出すると良いのですが、その多くはパパやママの興味関心が影響しているように思います。
重要なのは子どもが飛躍的に能力を発達する時期に、獲得すべき能力を獲得しないまま通りすぎてしまうと、後から相当の努力を費やさないと同じ能力は獲得できないこと。
モンテッソーリはその事実に気づきました。そして特定の時期にその能力が伸びるような活動や経験をさせることが重要だと考えたのです。
子どもの発見とは何か?
彼女の発見は著書『子どもの発見』の中に書かれています。基本となる考え方は、「子どもは、自らを成長・発達させる力をもって生まれてくる。大人(親や教師)は、その要求を汲み取り、自由を保障し、子どもたちの自発的な活動を援助する存在に徹しなければならない」というものです。
保育施設「こどもの家」は自由な環境のもと、40名の子供が過ごしていたそうです。子どもの家は「児童の家」と表記されることもありますが、一般的には「子どもの家」と呼ばれています。
モンテッソーリは1899年には国立特殊児童学校校長に就任。教育理論は、敏感期を重要視する感覚教育でした。
障害者の権利とまとめ
2006年に国際連合で採択され、日本が2014年に批准した「障害者の権利に関する条約」では、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等について定めています。
障害児教育は今、大きな転換期を迎えつつあります。発達障害についての研究も進み、学校では気になる子どもについての取り組みを行っています。
自閉症の子供には、ある長けた能力があることも多いです。その才能に身近な大人が気づき、伸ばすことが大切です。そのことが障害者の自立を助け、豊かな人生構築につながるような気もします。本日もありがとうございました。