ツナガレ介護福祉ケア

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保育・子どもの食と栄養「間違える過去問題は?」独学で保育士試験対策~ツナガレケア

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子どもの食と栄養

保育士養成課程では「小児栄養」が必修科目でした。それが、2011年の保育士養成課程から「子どもの食と栄養」という科目に変更になりました。科目変更に伴って、内容が刷新され、栄養のみならず幅広く食育についての知識が盛り込まれることになりました。

個人的には食と栄養は難しい印象ですが、日常生活に活かせる科目でもあります。しっかり覚えておきたいです。今回は「子どもの食と栄養」で勘違いしやすい問題とその理由をまとめました。

 

 

1.消化酵素(平成26年 問6)

次の文は、乳児期の消化に関する記述である。(A)~(E)にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
唾液中に含まれる唾液アミラーゼ(プチアリン)は、(A)を(B)や(C)などに分解する酵素である。出生直後は唾液の分泌も少なく、酵素活性も低い。また膵液中の膵アミラーゼの活性も、出生時は低いが、その後次第に上昇するので、(A)を与えるのは離乳開始頃からが適切である。小腸粘膜の消化酵素であるラクターゼは、乳糖を(D)と(E)に分解する酵素である。消化された乳糖は、乳児のエネルギー源などに利用される。
【語群】
ア たんぱく質  イ 脂質     ウ でんぷん   エ グリセリン
オ 脂肪酸    カ デキストリン  キ ペプチド  ク アミノ酸
ケ ショ糖     コ 麦芽糖    サ ブドウ糖(グルコース)
シ ガラクトース  ス 果糖

 

 

正解と解説

 正解は4です。ここでは4か、5か悩みます。乳糖をデキストリンと麦芽糖などに分解することなど、消化酵素の種類と働きは整理が必要です。

2.元素問題(平成29年後期) 

次の【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の元素名を結び付けた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  • A:糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関与する。
  • B:骨や歯の構成成分である。
  • C:神経の興奮、伝達に関与する。
  • D:体液の浸透圧調整に関与する。
  • E:ヘモグロビンの成分である。

【Ⅱ群】

ア カリウム(K)

イ カルシウム(Ca)

ウ リン(P)

エ 鉄(Fe)

オ ナトリウム(Na)

 

  E
 正解と解説

正解は4です。カリウムとナトリウムで迷う方が多いのではないでしょうか。より重要な働きということで、塩分=ナトリウムにしました。リンは、疲労回復効果があります。三大栄養素の代謝に関与します。リンが欠乏すると新陳代謝の低下、倦怠感、筋力の低下などがみられます。チーズ、魚類、肉類、ごま、穀類、そばなどに多く含まれます。

カルシウムは、骨や歯の構成成分。血圧に凝固性を与えます。筋肉の収縮、神経伝達に関与します。浸透圧の調節に関与しますので、問題文だけでは悩みますね。カリウムがやっかいです。細胞内液に多く分布し浸透圧も維持します。カリウムは心臓の働きを正常に保つ効果があり、疲労感や脱力感を防ぎます。欠乏すると高血圧や不整脈、筋力低下などがみられます。

神経の興奮や伝達でカリウムというのは難しいです。カリウムは、サツマイモ、大豆、いわし、バナナ、トマト、すいかなどに多く含まれます。食塩で有名なナトリウムです。消化液や分泌液を調整します。神経の伝達を助けるのでカリウムと悩みます。もちろん、浸透圧や生体機能を調整する役割もあります。ちなみに過剰摂取は、高血圧や胃がんのリスクを高めます。欠乏すると、食欲不振やめまいがおきやすくなります。

鉄はわかりやすいです。血液中に見られる赤血球の中に存在するたんぱく質であるヘモグロビンの成分として、酸素を運搬します。鉄は貧血を予防して免疫力も高めます。欠乏することで鉄欠乏性貧血などが起きます。

3.ビタミン(平成28年前期 問3)

次の文は、ビタミンと食品に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A:ビタミンDは、網膜で光を受容する物質の主成分であり、欠乏すると夜盲症を発症する。

B:にんじん、ほうれんそうなどの緑黄色野菜は、ビタミンDを豊富に含み、その優れた補給源である。

C:ビタミンCは、抗酸化作用を持つとともに、壊血病の予防因子である。

D:「6つの基礎食品」では、ビタミンCを豊富に含む果物は、第4群(類)に分類されている。

 

 

 

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正解と解説

正解は5です。夜盲症などを起こすのは、脂溶性であるビタミンAです。緑黄色野菜は、カロテンです。体内でビタミンAに変換される栄養素です。ビタミンCは、壊血病の予防因子です。欠乏すると皮下からの出血や、倦怠感、食欲不振などをひきおこします。果物は、第4群に分類されています。

4.脂質(平成29年後期 問3)

次の文は、脂質および脂肪酸のはたらきについての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

A:脂質は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3元素からなり、エーテルなどの有機溶媒には溶けるが水には溶けない。

B:複合脂質はグリセリン(グリセロール)と脂肪酸のみで構成されている。

C:不飽和脂肪酸は、脂肪酸中の炭素原子がすべて水素で飽和されており、二重結合はない。

D:EPA(エイコサペンタエン酸)は、さば、いわし、さんまなどの魚に多く含まれる必須脂肪酸である。

 

 
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正解と解説

正解は2です。脂質は水には溶けません。細胞膜の主要な構成成分です。三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)の中でも一番効率の良いエネルギー源です。不足すると、発育障害や皮膚炎を引き起こすことがあります。

複合脂質はわかりにくいです。複合脂質とは、単純脂質にリン酸・硫黄・窒素塩基・糖などが加わった脂質であり、リン脂質と糖脂質に大きく分類されます。たんぱく質とともに生体膜を構成するなど生体で重要な役割を果たします。

グリセリンは、油脂の加水分解によって,脂肪酸とともに得られる無色透明で甘みと粘り気のある液体です。中性脂肪の成分のひとつです。不飽和脂肪酸は脂肪酸がベースです。脂肪酸は、炭素数や炭素鎖の二重結合の有無や二重結合の数と位置により分類されます。

二重結合のない飽和脂肪酸と、炭素鎖が完全に水素で飽和されず、炭素原子同士が二重結合している不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸のなかで二重結合を2個以上もっているものを多価不飽和脂肪酸といいます。つまり、不飽和脂肪酸は、ひとつ以上の二重結合を有するものです。

EPAは、生活習慣病の予防や脳の発育等に効果があるといわれています。人体内で生合成されません。食物から摂取しなければならない必須脂肪酸で、N-3系脂肪酸のひとつです。

5.健やかガイド(平成26年 問14)

次の文は、「楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~」(平成16 年:厚生労働省)における「発育・発達過程に応じて育てたい“食べる力”」に関する記述である。「幼児期」の内容の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A:いろいろな食べ物を見て、触って、味わって、自分で進んで食べようとする

B:一緒に食べる人を気遣い、楽しく食べることができる

C:食事のバランスや適量がわかる

D:おなかがすくリズムがもてる

E:栽培、収穫、調理を通して、食べ物に触れはじめる

 

正解と解説

正解は5です。乳児、幼児、思春期が整理できずに迷います。Aは、授乳期・離乳期の内容です。Bは、思春期の内容です。Cは、学童期の内容です。個人差ありますけどねえ。そう理解するしかありません。

6.食育(平成30年後期 問20)

次の文は、「保育所保育指針」(厚生労働省告示第 117 号平成 29 年3月 31 日)第3章「健康及び安全」の2「食育の推進」の一部である。(A)~(D)にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 

子どもが自らの(A)や体験を通して、自然の恵みとしての食材や食の循環・環境への意識、調理する(B)が育つように、子どもと(C)等との関わりや、調理室など食に関わる(D)に配慮すること。

 

 

感覚

意欲

保育士

保育環境

生活

人への感謝の気持ち

栄養士

衛生面

生活

人への感謝の気持ち

調理員

衛生面

生活

意欲

栄養士

食育

感覚

人への感謝の気持ち

調理員

保育環境

正解と解説

正解は5です。自らの生活と考えてしまいそうですが、「感覚」が正しいようですね。生活の方がハマりそうですが、食育だけに感覚なのでしょう。「保育所保育指針」第3章「健康及び安全」2「食育の推進」の該当箇所の全文は次のとおりです。

子どもが自らの感覚や体験を通して、自然の恵みとしての食材や食の循環・環境への意識、 調理する人への感謝の気持ちが育つように、子どもと調理員等との関わりや、調理室など食に 関わる保育環境に配慮すること。

7.栄養調査(平成29年後期 問8)

次の文は、「平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要」(厚生労働省)における幼児期の食生活に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A「13種類の食物の摂取頻度」(2~6歳児)で、穀類は「毎日2回以上」摂取していると回答した保護者の割合が最も高率であった。

B「子どもの間食の与え方」(2~6歳児)で「欲しがるときにあげることが多い」と回答した保護者の割合が最も高率であった。

C「子どもの食事で特に気をつけていること」(2~6歳児)は「特にない」と回答した保護者の割合は約5割であった。

D「現在子どもの食事について困っていること」(2~3歳未満)では、「遊び食べをする」と回答した保護者の割合が最も高率であった。

 

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正解と解説

正解は4です。子どもの間食(3食以外に食べるもの)の与え方については、「時間を決めてあげることが多い」と回答した者の割合が56.3%と最も高いです。親御さんの意識は高いのです。

子どもの食事で特に気をつけていることは、「栄養バランス」72.0%、「一緒に食べること」69.5%、「食事のマナー」67.0%の順でした。子どもの食事で特に気をつけていることは「特にない」と回答した者の割合は1.7%であり、ほとんどの保護者は何らかの気をつけています。

8.食育基本法(平成25年 問13)

次の文は、「食育基本法」第2条の一部である。( A )〜( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

食育は、食に関する( A )を養い、生涯にわたって( B )を実現することにより、国民の( C )と豊かな人間形成に資することを旨として、行われなければならない。

 

感謝の念

豊かな食生活

心身の健康の増進

感謝の念

健全な食生活

健康寿命の延長

適切な判断力

健全な食生活

心身の健康の増進

適切な判断力

豊かな食生活

健康寿命の延長

知識

健全な食生活

健康寿命の延長

 正解と解説

正解は3です。食育基本法だけに、かっちりとした文言です。健康寿命を誤答に持ってくるあたりが意地悪な気がしますね。食育基本法は、第1条の目的も出やすいです。第1条は次のとおりです。

この法律は、近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっていることにかんがみ、食育に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、食育に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。(食育基本法 第1条)

 

まとめ

子どもの食と栄養は、学ぶことがたくさんあります。五大栄養素から、それぞれの成分や特性も学習します。大変ですが、しっかりと覚えると役に立ちます。

何度も何度も過去問を解いていくと、確実に覚えられる!そう、僕は信じて取り組んでいます。楽しく、美味しく解きましょう。本日もありがとうございました。