ツナガレ介護福祉ケア

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入浴介護、清拭の方法・お湯は55℃がよいワケとは~ツナガレケア

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入浴の重要性

日本人にとって、いくつになっても大好きなのがお風呂です。すっきり、さっぱり、のーびのび。デイサービスでも入浴サービスを充実させている施設は多いです。ただし、入浴は体力を消耗します。

ケアラー(介護職)にとっては、利用者の意思を尊重することも重要ですが、事故にも注意です。入浴介護や清拭のポイントをまとめました。

 

 

空腹時や食後はさけましょう

空腹時に入浴をすると胃酸過多で気分が悪くなったり、貧血やめまいを起こす可能性があります。お腹が空いている時の入浴は極力避けましょう。空腹時は水分の不足や血糖値が低くなりがちなので、しっかりと食事をとってから入浴しましょう。

ただし食後すぐの入浴は避けましょう。食べたらすぐにお風呂に入ると、消化不良を起こす可能性があります。高齢者は1時間ほど時間をおいてから入浴しましょう。

清拭のポイント

清拭(せいしき)は蒸しタオルなどで身体を拭き、清潔を保つことをいいます。 寝たきりの方に行うことが多いです。また一人でお風呂に入るのが難しい認知症の方にも行ったりします。入浴と清拭を交互に行ったり、臨機応変に対応します。

あたたかい蒸しタオルで身体を拭かれると血液の循環がよくなるし、サッパリすると喜ばれます。もちろん、この清拭にも経験と技術が必要です。

健側を下へ

清拭で背部を拭うときは基本、健側(障害のない側)を下にします。麻痺側(障害のある側)を下にすると、身体を拭くときの体勢によって圧力がかかります。うまく体を支えられなかったり、圧迫に本人が気が付かないため事故の危険性もあります。全方位に意識を配りながら、利用者に的確な声かけをしていくことが必要です。

55℃のお湯を準備

清拭を行うときは、お湯を準備します。お湯とタオルを使いながら身体を拭いていくのですが、入浴とは違って清拭の場合タオルが冷えてしまいます。そのため冬場は、やや熱めの55℃くらいのお湯を準備しておくとよいです。温度計ではからなくても、徐々に経験でわかるようになってきます。

腰痛に注意!

清拭で気をつけたいのが腰痛です。予防としては、ベッドの高さを自分の拭きやすい位置に上下すること。面倒だからと、この一動作を怠るとあとで痛い目にあいます。またボディメカニクスなどのテクニックも効果的です。

目、手の拭き方

目は涙管を目脂でつまらせないように、目頭から目尻に向かって拭きます。上腕は手首を支えて拭きます。手首だけでは難しい場合は肘関節から下を支えます。ひじ関節や腕全体を持ち上げた方が拭きやすいです。皮膚についた水分はこまめにふき取ります。水滴が残っていると気化熱となって体温を奪う原因になります。その結果、風邪をひきやすくしてしまうことも考えられるからです。

おなかは「の」

腹部は、時計周りに円を描くように拭いていきます。右回りにマッサージする感じです。清拭では、末梢から中枢(心臓)に向かって行うのが基本です。両下肢は末梢(まっしょう)から中枢に向かって拭くことになります。

耳垢や鼻毛の処理は?

乾燥した耳垢は綿棒で湿らせて取ると、される側が痛くないです。しかも、きれいに取る事ができます。綿棒にベビーオイルをつけ、耳の中を湿らせ、傷つけないように取るとうまくいきます。

鼻毛を引き抜くと皮膚を傷つけ、そこから細菌が侵入し、毛嚢炎になる恐れがあります。そのため鼻毛は専用のはさみやカッターを使います。毛抜きでと頼まれることがあるかもしれませんが毛根部分が炎症を起こす可能性があるので、家族以外はやらない方がよいと思います。

お肌の手入れ

ここ数年、ボディーソープや洗顔剤に「お肌と同じ弱酸性」と謳っている商品も増えました。つまり肌は弱酸性。老人性掻痒症で石けんを使用する時は、刺激の少ない弱酸性の石けんを使用する事が有効です。

汗腺は皮下脂肪の深い所にあります。皮下脂肪で作られた汗が、汗管を通じて表皮に排出されています。体臭の原因となるのはアポクリン腺です。

まとめ

入浴では血行が促進されるため、身体、特に心臓に負担をかけます。そのため、空腹時や食後1時間前後の入浴は避けましょう。入浴時は麻痺側から入ると湯温を感じないため危険です。体のバランスも崩しやすいので健側から入りましょう。

健康状態にもよりますが、お湯につかる時間は5分から10分が目安です。風邪をひかないよう、入浴後はすぐにからだの水分を拭き取りましょう。

ベッドなどで行う清拭では、熱めのお湯を用意します。約55度が適温です。タオルで顔を拭く時は、目頭から目尻に向かって拭きます。年を重ねるごとに肌は弱酸性から中性に近づくため肌荒れや皮膚病が起こりやすくなるので気をつけましょう。本日もありがとうございました。