人間の性
誰だっていつまでも、元気でいたいもの。そのためには健康に気を配ることは不可欠です。しかし、いざ病気にならないと禁煙や暴飲暴食をやめられないのも事実。これは人間の性かもしれませんね(苦笑)。さて今回、取り上げるのは糖尿病、老人性難聴、せん妄。介護福祉士の試験でも出題されることが多いです。
糖尿病の特徴と症状
糖尿病といえば「血糖値」「インスリン」「視力の低下」「手足のしびれ」「神経障害」が有名です。糖尿病の3大合併症には、「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」があります。それぞれの特性は次のとおりです。
- 糖尿病性腎症は悪化すると慢性腎不全となり、人工透析を必要とします。
- 糖尿病性網膜症は視力が低下し、失明の恐れがあります。
- 糖尿病性神経障害は末梢の感覚がなくなり壊疽(組織が腐った状態)になってもわからず、足の切断へとつながる恐れがあります。
インスリン注射と留意点
インスリン注射は、食事による血糖値の上昇を抑えるためのものです。ただし食事量が半分程に減っている状態のところに、普段と同量のインスリン注射を打つと血糖値が下がりすぎることになり、低血糖の症状(冷や汗、動悸、めまい等)が現れます。低血糖の症状が重症化すると意識障害に至るため、速やかに医療職へ相談する必要があります。
運動と食事療法
糖尿病は国民病といわれるほど身近な病気です。恐ろしいのは、全身の血管がもろくなることで生じる合併症。運動療法や食事療法などの生活習慣の改善が大切です。
糖尿病では糖の吸収が阻害されます。血液中に多く糖が残っている状態を何とか解消しようと、腎臓が尿と一緒に糖を排出しようとします。これが糖尿病による多尿のメカニズムです。
老人性難聴の特徴と症状
老人性難聴は高音域から障害され、会話音域、低音域と障害されていきます。高齢になるほど、高い音が聞き取りづらくなります。テレビなどの音量が大きくなるのは、老人性難聴が影響しています。
感音声難聴
老人性難聴は「感音声」難聴が多いです。感音声とは、音を感じる神経が障害されることで起こる難聴です。最初は感音声難聴だったものが進行すると、伝音声難聴も引き起こすことがあります。そして、両方を兼ね備えたのが混合性難聴と呼ばれます。
老人性難聴の種類
老人性難聴には主に①感音声難聴、②伝音声難聴、③混合性難聴があります。それぞれの簡単な特徴は次のとおりです。
<感音性難聴>
内耳または聴神経の障害により生じる難聴。補聴器の効果は症状や程度により様々です。原因疾患は、老人性難聴、音響性外傷・騒音性外傷、突発性難聴、薬剤性難聴、ウイルス感染性難聴などがあります。
<伝音性難聴>
外耳や中耳で起こった病気により音振動の伝わりが障害される難聴。外耳と鼓膜、中耳の音を聴神経まで伝える器官の障害により生じます。原因疾患は耳閉症、滲出性中耳炎、鼓膜の外傷、中耳・外耳奇形など。補聴器の効果は期待できます。
<混合性難聴>
伝音性難聴と感音性難聴の両方を併せ持つ難聴。補聴器の効果はどちらの障害が強いかにより異なります。
補聴器
知っておきたいのは、聞こえる側の耳にイヤホンを装着することです。ほかにも補聴器使用者とのコミュニケーションの留意点をまとめました。
- 環境に気を配る(明るく静かな場所を選ぶ)
- 普通の声の大きさでゆっくりとはっきりと話しかける
- 話す際は相手の正面に回ったり、肩をたたいたり、聞く準備をしてもらう。
- 同時に2人以上が話さない
- 身振り手振りや、表情を変える。非言語コミュニケーションも活用する
せん妄
せん妄とは、急性の脳機能障害で、意識の一部分の活動が低下したり、意識がもうろうとしたりする症状です。原因には脳梗塞や脳腫瘍、他の身体疾患、薬物があります。認知症でも、せん妄の症状がでる方はいます。誰もいないのに、そこに人がいるように嬉しそうに喋っている利用者さんを見ると、最初はビックリします。
睡眠と覚醒
せん妄では睡眠と覚醒のリズムの障害が起きます。これは意識がもうろうとした状態です。これに対し清明というのがあります。清明とは文字通り、意識がはっきりしていることを指します。せん妄中の出来事をご本人は覚えていません。せん妄は一日の中でも変動がみられます。
まとめ
人生100年時代、気をつけたい病気はいくつかあります。今回は、糖尿病、老人性難聴、せん妄について紹介しました。
国民病ともいわれる糖尿病は、合併症が怖いです。日頃から運動や食事に気を配ることが第一です。毎日1時間歩くのは効果的です。またシニア世代でテレビの音量が大きくなっている方は、老人性難聴の疑いがあります。一耳鼻科に診てもらいましょう。
せん妄は誤解されますが病気ではありません。あくまでも状態を指す言葉です。はじめて目撃したときはビックリしますが、徐々に慣れてきますので慌てずに対処しましょう。本日もありがとうございました。