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夫がわからない・・・記憶が消える見当識障害とは?認知症の中核症状やBPSDを解説【ツナガレ編集部】

 

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「夫が帰ってきます。お帰りください」

 

ある日、家族介護者である夫に対して、認知症の奥さんがこう言いました。

旦那さんにとっては、とても辛い出来事です。しかし、これも認知症の真実です。

 

この認知症の奥さんは、目の前に自分の夫がいるにもかかわらず、相手を「夫」だと認識していません。このように今、自分が置かれている状況を正しく認識出来ない事を「見当識障害」と呼びます。

 

 

見当識障がいとは?

 

これまで長年連れ添ってきた夫でさえ、誰だかわからなくなる。こうした症状は、見当識障害の一つといえます。

 

見当識障害とは、現在の年月日や時刻、自分がどこにいるかなどの基本的な状況を把握する力が壊れてしまう症状です。ですから、夫がわからなくなっても、それは病気のせいなのです。誰が悪いわけでもないのです。

 

そもそも認知症とは、「いったん正常に発達した知能が、後天的な脳の器質的障害により不可逆的に低下した状態」をいいます。つまり、単純に老化が進んで、物覚えが悪くなるような現象を認知症とは呼びません。

 

認知症には見当識障害を含む「中核症状」と、BPSDといわれる「行動・心理症状」があります。ドーナツでいうと、真ん中の穴が中核症状、その周辺が行動・心理症状というイメージです。

 

認知症の中核症状とは

 

「中核症状」とは、脳が壊れることによって直接起こる症状のことで、そのひとつに見当識障害も含まれます。

 

認知症の中核症状には、記憶障害・失認・失語・失行があります。また、理解や判断力の低下・実行機能障害をともないます。

 

ただし、認知症の症状は中核症状のほかに、ご本人の性格や置かれている環境などが複雑に絡み合い出現します。中核症状に対してこれらを行動・心理症状と呼びます。

 

認知症の行動・心理症状(BPSD)とは

 

認知症の行動・心理症状(BPSD)とは、認知症の「中核症状」に伴って現れる精神・行動面の症状のことを指します。

 

ご本人の性格、環境、人間関係などの要因が絡み合っておこるため、うつ状態、妄想のような精神症状をはじめ、徘徊や不潔、暴力など日常生活への適応を困難にする問題行動も起こります。

 

具体的には、暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為。不安、幻覚、妄想、睡眠障害なども行動・心理症状です。これらの症状が見られると、多くの家族は戸惑い、驚きます。

 

今まで普通の生活を送っていた家族が、これまでとは違う行動や言動をすると誰もが不安になり、何が起きているのか分からなくなります。まずは慌てないことが大切です。

 

実行機能の障害

 

実行機能の障害は、物事を実行するための段取りが取れなくなることをいいます。たとえば料理を作る、電化製品を使うなどの際に一連の段取りが出来なくなってしまう障害です。

 

たとえば、料理は意外と複雑です。日常的に無意識に行っていたことが、「次は何の調味料を入れるんだっけ?」と立ち止まってしまうようなことが頻発する場合は、一度、診察を受けてみてもよいかもしれません。

 

はやめはやめに動くことは、認知症予防の上で大切です。

 

ちなみに「先行」は、手足など身体に問題がないのに、日常として行ってきた動作(歯磨きやうがいなど)が出来なくなることをいいます。

 

「意識混濁」は、意識が障害されている状態です。目を開け、自覚があってもボンヤリしていたり、傾眠、刺激を受けないと反応しないといった状態が段階的にみられることをいいます。

 

 

 
 

 

知っておきたい記憶のメカニズム

 

認知症は記憶に影響を及ぼします。そもそも記憶とはなんなのでしょう。基本的に記憶は次の様な過程を持って用いられます。

 

  1. 【記銘】記憶を脳に刻む。
  2. 【保持】記銘したものやことを、記憶の中に保存しておくこと。
  3. 【想起】保持してきた記憶の内容を、必要に応じて思い出すこと。

 

ふだん何気なく行っている「記憶」も構造化すると理解しやすいです。また記憶は、保持時間の長さの違いから、感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分けられます。

 

短期記憶の特徴

 

短期記憶とは、短期的に保持される記憶のことです。持続時間、容量に限界があるとされています。比較的短い、秒単位の時間しか保持されない記憶です。

 

短期記憶として保持できる情報量にはある程度の制限があります。一般的に記憶できる期間は、せいぜい2週間程度です。その記憶も「昨日の夜見たテレビの内容」「先週末食べた食事の内容」など簡単なものがほとんどです。

 

 

手続き記憶の特徴

 

手続き記憶とは、自転車の乗り方や泳ぎ方のように一度覚えたら忘れない記憶です。覚えるのは大変だけど、一度カラダにしみ込ませたら、なかなか忘れない記憶ですね。

 

手続き記憶では技能や手続き、ノウハウを保持します。この手続き記憶をなるべく増やすようにすると、シニアになっても「頭は忘れていても、カラダは覚えている」ことになります。

 

エピソード記憶の特徴

 

自分に起こった出来事に関する記憶は、「エピソード記憶」です。

 

エピソード記憶は、小学生の頃の思い出など、自分が体験した記憶のことを言います。

時間や場所、および感情を伴ったものとして記憶されます。

 

認知症の多くを占めるアルツハイマーでは、まずエピソード記憶の障害がみられます。
初めのうちは過去の記憶や判断力、計画性などが残っているので、日常生活は自立していることが少なくありません。この時期は、「軽度認知障害」と呼ばれる段階です。

 

ちなみに記憶の処理は、海馬というところで行われます。アルツハイマー型認知症では、この海馬の委縮が見られます。

 

認知症のサポート機関

 

認知症でお困りになったら、知っておくと便利な機関が「認知症疾患医療センター」です。

 

認知症疾患医療センターとは、地域において医療と介護の連携拠点として設置されています。地域住民に認知症への理解を深めてもらったり、医療機関として認知症の診断を行ったりと、認知症を医療・介護の両面からサポートする為の機関です。

 

認知症の対処法

 

認知症の場合、脳の細胞が壊れることによって記憶障害や理解・判断力の低下が現れます。もしご家族が認知症になったときに役立つ対処法がいくつかあります。

 

まず部屋や生活の導線に、表示や目印をつけることは、認知症の方の判断の手助けになるため有効です。よく家族介護者の都合で、認知症の方の使いなれたものを変えるケースも散見されますが、逆に不安を与え、かえって認知症を悪化させてしまいます。


認知症の場合、見当識障害といって時間や場所がわからなくなってしまう症状が現れます。初期段階の方であれば、明るさで昼か夜かの判断はできています。しかし「認知症で時間が分からないだろう」と、家族が部屋を必要以上に明るくすると、できていたことさえ、できなくなってしまう可能性があります。

 

認知症の場合、落ち着いて食事をとることは栄養摂取につながります。いくら健康を気遣った食事を作っても、認知症の方が落ち着いて食べることができなければ意味がありません。食事介助が簡単なようで難しいのは、こうしたケアが必要だからです。

 

認知症の場合、言語的なコミュニケーションへの意欲が低下してくるケースが多いです。そのため、言葉ではなく身振り手振りなどをまじえた「非言語的コミュニケーション」を効果的に取り込むことが大切です。

 

なにより明るく、やさしい雰囲気で接することで認知症の方は安心感を得られます。より良い笑顔でケアに当たるとお互いが気持ちのよい一日を過ごせますよね。

本日もありがとうございました。