ツナガレ介護福祉ケア

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高齢者の美容や整容、皮膚乾燥の対処法。知って便利お役立ち情報~ツナガレケア

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シニアと美容

シニアになっても美しくなりたいという意識は重要です。年を取ると「誰にも合わないからいいや」と化粧もせず、美容院にも行かずに家の中で長い時間を過ごす方も少なくありません。すると不思議なことに老け込みだして、心身の機能も低下していきます。

逆に旅行やショッピングに出かけたり、美容に気を遣っている方は若々しく、元気な方が多いです。もちろん、病気や障がいでベッド上で過ごす方もいますが、そうした場合は介護士の力を借りて身だしなみを整えましょう。

今回は、介護に役立つ高齢者の美容や整容、皮膚乾燥の対処法について紹介します。

 

 

ベッド上での洗髪

長い間、ベッドで寝ている高齢者には、ケリーパッドを使用して洗髪を行ったりします。ベッド上の洗髪にはテクニックが必要です。まず、おさえておきたいのが、次の5つの流れです。

  1. 膝を立てもらい膝下に枕を入れることで安楽な姿勢になります。
  2. 毛髪にお湯をかけて頭皮になじませるようにします。あらかじめ髪にブラシをかけておくとなじみやすくなります。
  3. 泡が背中に流れ込む恐れがあるので、後頭部を支えて軽く持ち上げます。
  4. 流す前に泡を拭き取っておくことで、泡を洗い流すためのお湯の量を減らすことができ、時間を短縮することができます。
  5. お湯が飛び散らないよう、頭部に近いところからかけます。

整容介助の仕方

整容には、長年の経験と技術が必要です。知っておくと便利な情報がいくつかあります。まずは目を拭く時のテクニックです。目を拭くときには、水気を含ませたガーゼなどを使い目頭から目尻に向かって拭いていきます。目やにが固くなっているときは、水を含ませたガーゼをしばらくあてておくことで、柔らかくなり取りやすくなります。

取り扱いに注意したいのが、入れ歯です。入れ歯は樹脂で出来ているので、熱湯消毒をすると変形してしまう可能性があります。入れ歯のケアは、ブラッシングや入れ歯洗浄剤を使って行うのが良いです。ただし研磨剤の入った歯磨き粉を使うと、樹脂を傷つけてしまう為、水飲みで行った方がよいです。

髪型は医学的に必要とされている場合を除き、利用者さん本人の意思を尊重するのが原則です。耳は自然にゴミや耳垢を外に出す働きがあるので、介護での耳掃除は外耳のみに留めます。ひげは皮膚保護の為、暖かい蒸しタオルなどで蒸らして毛穴を広げ、シェービングクリームなどで滑りをよくして剃ります。

身じたく・整容の便利道具

身支度や整容のときに使用すると便利な道具はたくさんあります。いまは100円ショップでも介護コーナーを設けているところが多いです。手軽に購入して、まずは試してみることをおすすめします。

ガーグルベースンは、洗面所に行けない状態の人が、口内のものを吐き出す際の受け皿として考案された道具です。またドライシャンプーは、浴室に行けない状態の人のために考案された、洗い流す必要のないシャンプーです。

耳かきには綿棒を使うことが多いです。このとき、あまり奥まで差し込まないようにします。美容や整容のときは、汚れをふやかすという点で温かいタオルの方が洗浄効果が高まります。

 

 

和式寝衣の交換介護

ベッドで寝たままの利用者に行う和式寝衣の交換では、袖を抜くときは「肩→肘→手」の順番で行います。衣類のちょっとした凹凸やしわは不快感や褥瘡の形成を導くため、なるべく体に当たらないよう配慮が必要です。背縫いの部分は脊柱に沿わせることで、体に当たるのを最小限に留めます。

ちなみに和服では、右前身頃の上に左前身頃を重ねて、正面から見ると襟元が片仮名の「ソ」の字の形(アルファベットの小文字の「y」の形)になるのが正解です。逆の合わせ方は「死に装束」とされ忌み嫌われますので注意しましょう。

皮膚乾燥と入浴介護

皮膚への刺激が低いのは、弱酸性の石鹸とされています。摩擦に対する抵抗力が低下しているので、こすらないように洗います。硫黄成分が入った入浴剤は皮膚の乾燥を悪化させます。

保湿成分が入った入浴剤が効果的です。ただし、保湿剤が入った入浴剤は使用により足元が滑りやすくなるので注意が必要です。熱すぎる湯は皮膚の乾燥を悪化させます。38~40℃を目安としましょう。

保湿剤は皮膚が乾ききらないうちに塗るのが効果的です。高齢になるにつれ、汗や皮脂の分泌が減っていくため、皮膚が乾燥しやすくなります。このことにより、高齢者には皮膚の乾燥によるかゆみが多く見られます。

高温入浴のリスク

42℃以上の高温の入浴では交感神経の作用が活発になり、心臓の動きが促進し、血管や筋肉は収縮します。そして胃腸の働きが鈍くなります。高温の入浴は筋肉を収縮させます。交感神経(心臓や筋肉の働きを高めるなど体を活動的にする働きをもつ)が刺激されるからです。ただし、胃腸や腎臓などの働きは、交感神経が刺激されることで抑制されます。

皮膚のかゆみ

水分摂取を控えると皮膚が乾燥しやすくなり、かゆみの原因となります。水分摂取はこまめに行いましょう。高齢者に多い老人性乾皮症は、下腿部や背中に多発します。また就寝中、無意識にかきむしり、自身で皮膚を傷つけてしまうことがあります。

こうしたことを防ぐため、常に爪を短く切っておきましょう。皮膚をかくことで一時的にかゆみは治まりますが、その刺激で放出されるヒスタミン(かゆみ成分)が増え、更にかゆみが強くなります。

白癬(はくせん)の対処法

白癬の原因となる白癬菌は真菌(カビ)の一種です。高温多湿になると活性化するため、体を温めることは逆効果となってしまいます。
白癬菌は、湿度70%以上及び温度15℃以上になると増殖します。高温多湿にならないよう留意し、しっかり乾燥させることが適切です。

アイロンや乾燥機を用いて、着衣や寝具の熱処理をすることで、白癬菌を殺菌することができます。ワセリンを塗っても白癬を改善することはできません。

医師から処方された塗り薬を使用して、白癬菌の殺菌・消毒をすることが適切です。処方された塗り薬は、医師の指示に従い、適切なタイミングで正しく使用しなければなりません。

美容・整容まとめ

ベッド上での洗髪では、膝を立ててもらい、膝裏にクッションを入れて行うのが安楽な姿勢です。臥床の状態で頭部を前屈すると首を痛めます。また、頭部が後屈することも同様です。時間短縮のためにも泡をあらかじめ拭き取ることは利用者の負担軽減にもつながります。高い位置からすすぐとお湯が飛び散り、火傷の危険があるので低い位置で行います。

ガーグルベースンはベッド上で口腔ケアを行う際に口をゆすぐ際に使用します。衣服やシーツなどが濡れないようにするための道具です。ドライシャンプーは頸部の安静が必要な人にベッド上で使用します。

歯磨き

歯磨きの際の歯磨剤は義歯を傷つけることがあるので使用は控えましょう。耳の粘膜を傷つけてしまう可能性があるので、ピンセットの使用は控えましょう。温かい蒸しタオルを用いて洗顔をするのが適しています。

入れ歯は熱湯をかけると変形してしまいます。60℃以上のお湯はかけてはいけません。毎食後外し歯ブラシで洗浄して洗浄剤に毎日つけ細菌をため込まないように清潔にします。洗浄の際、研磨剤の入った歯磨き粉は傷をつけてしまうため、使用しません。

整髪

整髪のしやすさを目的として、髪を短くするのではなく、本人の希望を聞いて髪型を整えましょう。耳垢は、目視できる範囲で除去します。耳垢は自然に外へ外へと排出されるので、無理にとりません。どうしてもとりたい際は、耳鼻科に行きましょう。

蒸しタオルで覆ったり、入浴時など髭をやわらかくしてから、シェービングクリームや石けんなどをつけて剃ることによって皮膚を痛めません。ベッド上で臥床(がしょう)したままの利用者に行う和式寝衣の交換では、袖を抜くときは肩→肘→手の順番で行います。

着衣

脱いだ寝衣を広げると皮膚の垢が新しい寝衣に付着することになり衛生面で適していません。脊柱と背縫いの線を合わせると衣服が乱れることなく、着ることができます。

左前身頃の上に右前身頃を重ねるのは亡くなった人の場合です。右前身頃の上に左前身頃を重ねましょう。背中に結び目を作ると不快感と褥瘡の原因になるので控えましょう。

入浴

皮膚の表面は弱酸性です。アルカリ性の石鹸は刺激が強いので適していません。石鹸を泡立てて優しく撫でるように洗います。擦ると皮膚を傷つけます。硫黄は皮膚を乾燥させてしまうので適していません。

入浴は、38℃前後のお湯にして皮膚の保温機能が低下しないようにします。保湿剤は皮膚が湿った状態で塗るのが効果的です。加齢と共に体内の水分保留率や保湿機能が低下します。

水分

水分摂取を控えると体内の水分が少なくなるので、かゆみが出ることも増えてきます。
乾燥しないように、身体を保湿する対策が必要です。かゆみは顔面だけでなく全身に出てきます。かゆみが出ると無意識にかいてしまうので、爪が長い状態だと肌に傷をつけてしまいます。傷から感染症を発症することもありますので、利用者の爪を短く切るのは肌を傷つけるのを防ぐことができます。皮膚をかくと、皮膚を傷つけてかえって乾燥をしてしまいます。

高齢者の美容や整容、皮膚乾燥について正しい知識でケアすると、介護もラクになりますし、利用者も快適に過ごせるようになります。ぜひ、お試しください。本日もありがとうございました。