ツナガレ介護福祉ケア

東京都指定の障害福祉サービス事業所です。高齢者・障がい児・者、子育ての現場から発信しています!

介護の給料はあがるの?国際比較と財務省が考える処遇改善とは~ツナガレケア

f:id:mamoruyo:20211118135051p:plain

介護職の報酬は上がるのか?

今後の財政を議論する「財政制度等審議会」が2021年11月8日開催されました。ここでは、岸田政権が重点施策の1つに位置付ける介護職の賃上げに関する報告もありました。興味深い内容を紹介します。

医療・福祉分野の賃⾦(国際⽐較)

産業別・雇⽤形態別・性別に雇⽤者数を⾒ると、「医療・福祉」分野では雇⽤者全体に占める⼥性雇⽤者の割合が⾼い特徴があります。また、男性雇⽤者総数より⼥性⾮正規雇⽤労働者の⽅が多いです。財務省は「⼥性・⾮正規の⽅々が多い分野において、国による分配機能を強化し、処遇の改善を図ることは意義がある」と提言しました。

日本の賃⾦は、どの産業においても主要先進国では最低⽔準で推移しています。医療・福祉分野も改善傾向にあるとはいえ、例外ではありません。医療・福祉分野で賃⾦⽔準が低いのは保育や介護の現場で働いている⽅々であり、これらの⽅々は⼥性・⾮正規問題と関連が深いです。

介護分野における処遇改善の取組

介護分野では平成21年度以来、累計で⽉額7.5万円の介護職員の処遇改善の取組を⾏ってきています。しかし実際にはうまくいっていません。 介護分野の処遇改善の取組を振り返れば、平成21年の補正予算で介護職員処遇改善交付⾦が措置されたものの⼀時的な財政措置であったため、⼀時⾦や諸⼿当で対応する事業者が多く根本的な改善にはつながりませんでした。

そこで平成24年介護報酬改定では介護職員処遇改善加算を新設。しかし事業者の収⼊にはなっても介護職員の賃⾦引上げにつながらなかったとの指摘があります。最近でも全産業平均の賃⾦⽔準を⽬指し、特定処遇改善加算が創設されました。これまでの経緯を踏まえつつ、介護職員の実際の賃⾦引上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要があります。

保育分野における処遇改善の取組

保育分野では平成25年度以来、累計で最⼤⽉額8万円程度の保育⼠の処遇改善の取組を⾏い、⼥性保育⼠と全産業(⼥性)との差額は0.8万円まで縮⼩しました。具体的には、平均経験年数などに応じた処遇改善等加算Ⅰ、技能・経験等に応じた処遇改善等加算Ⅱの仕組みが講じられてきました。

しかし、そのいずれも事業者の収⼊にはなるものの、保育⼠の賃⾦引上げに充てられなかった事例が会計検査院より指摘されています。保育⼠の実際の賃⾦引上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要があります。

医療・福祉分野の給与の変化(コロナ前後) 

産業別に直近6⽉の給与を新型コロナ流⾏前(2019年)の同⽉と⽐較すると、医療・福祉分野は、新型コロナによる影響が⽐較的⼩さいことがわかりました。新型コロナ患者への対応を⾏っている医療機関については補助⾦等の効果もあって、好調な経営状況が指摘されています。

まとめ

医療機関が補助⾦等による経営改善効果を⼤きく享受していながら、新型コロナに最前線で対応していただいている看護師などへの処遇改善につながっていないとすれば問題です。もちろんこれは介護福祉分野でも同じです。事業者に分配された加算がしっかりと現場のスタッフの処遇改善につながる仕組みの構築が重要だと思います。

本日もありがとうございました。