ツナガレ介護福祉ケア

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間違いだらけのリハビリテーション?知っておきたい高齢者の4大骨折~ツナガレケア

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リハビリテーションの意味

リハビリテーションは単なる機能の回復ではありません。障害を持っていてもそれに適応して人間の尊厳を回復し、全人間的復権を実現することを理念としています。つまり身体機能の回復だけでなく、精神面や社会的能力の回復にもアプローチしていくことが重要です。1982年国連・障害者世界行動計画でのリハビリテーションの定義は、次のように記されています。

 

リハビリテーションの定義
身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ時間を限定したプロセスである


自らの人生を変革とあるように、満足して生活することが最終的な目標です。大切なのは利用者の「自立を促すこと」。そのためには助けるのではなく、支援する姿勢が大事になります。

 

 

高齢者の危うさ

高齢者は転ぶときに手や足をつくことが多く、手足の骨が折れやすいです。骨粗しょう症などで腰椎や胸椎などの脊椎がもろくなっていることもあります。高齢になれば、脊椎がつぶれる形で折れることも少なくありません。

たとえば骨盤骨折は、交通事故や墜落したときなど外からの大きな力が加わることで起こる骨折ですが、高齢者は、転んだときの衝撃や骨粗しょう症が原因で起こります。ちょっとした力が加わっただけで骨折することもあるので油断大敵です。

高齢者の四大骨折

高齢者には4大骨折と呼ばれるものがあります。それは「上腕骨近位端」「橈骨遠位端」「脊椎圧迫骨折」「大腿骨頸部」の4つです。それぞれの特徴は次のとおりです。

上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)骨折

上腕骨近位端とは、肩の付け根の部分の腕側を指します。転んで肩を打ったり、肘や手をついたときにおこることが多いです。上腕(じょうわん)とは、「二の腕」のことなので、上腕骨(じょうわんこつ)は、「二の腕の骨」のことです。場所は肩甲骨(けんこうこつ)の隣。上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)骨折とは、「肩の関節の付近」を骨折することです。

橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折

橈骨遠位端とは、いわゆる手首の部分です。転んで手をついたときに起きることが多いです。頻度の高い骨折で、特に骨粗鬆症のある方では多発します。手のつき方、骨折線の入り方によって、様々な骨折のタイプがあります。

脊椎圧迫(せきついあっぱく)骨折

脊椎圧迫骨折は、転んだときにしりもちをついた状況で起こります。腰の骨が圧迫されて起こります。骨が弱いお年寄りに多いのが特徴です。尻もちをつくなど転倒が原因で起こることもありますが、重い物を持ったり、せきやくしゃみなどのちょっとしたきっかけでなることもあります。知らないうちに背骨のつぶれが進行し、背骨が丸くなってしまうこともあるので、十分に注意が必要です。

大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折

大腿骨頸部とは、足の付け根の部分です。横方向への転倒やしりもちをつくような転倒で起こりやすいです。骨折すると、脚の付け根に痛みがあり、ほとんどの場合、立つことや歩くことができなくなります。予防としては、折れにくい骨を作るという意味で「骨粗鬆症」の治療を行うこと。もうひとつは転倒しにくい環境を整えることも大切です。

リハビリもいろいろ

骨折などの手術後、重要になるのがリハビリです。回復期リハビリテーションは、医学的リハビリテーションの一環として行われます。リハビリテーションの直接的な目的はあらゆる人のADL(日常生活動作)の改善をはかる事ですが、最終的な目標は、ADL向上によりQOL(生活の質)を高め、その人らしく、満足して生活することにあります。作業療法では、応用的動作能力、社会的適応能力回復のための手芸・工作などの作業を行います。言葉の訓練は言語聴覚士が行います。目的によって国家資格を有する専門家も多いので積極的に活用しましょう。

骨を強化させるには

骨を強化するために必要なのは、①日光、②カルシウム、③ビタミンD、④適度な運動です。適度な運動は骨への刺激となり、代謝が促進されます。骨の強化にはビタミンDが必要です。そしてビタミンDの生成のため、適度に日光を浴びることが必要です。ちなみに食物繊維は骨の強化には直接関係がありません。

高齢者に配慮した住宅改修

狭いトイレ内で転倒した場合、内開きだと倒れた高齢者がつっかえて扉が開かなくなってしまう可能性があります。住宅改修ではトイレのドアは外開きにするべきです。ただ開閉のしやすさ、車いすでの利用などを考えると、出来れば引き戸にしたい所です。

知っておきたい「外開き」

「外開き」とは、部屋の外側に開くことをいいます。高齢者に配慮した住宅改修を行う場合には、外開きのほうが空間を大きく使えるため適切です。車椅子での使用や、手すりなどの設置にも効果的です。またトイレ内での転倒や緊急事態が起きた場合に「内開き」だと外から助けに入るのが困難といった問題が起きやすくなります。

手すりの設置方法

階段の手すりは、降りる時に利き手側に設置します。降りる際に足を滑らせた時、力の入る利き手側に手すりがある事で滑落の危険性を減らす事が出来ます。

廊下の手すりは、握った時に軽く肘が曲がり、力が入りやすい位置がベストなので大体床から80センチ程度の位置に取り付ける事が多いです。

廊下や浴室の改修ポイント

自走用の標準型車いすの幅は約60センチあります。そのため廊下はそれ以上の幅がなければなりません。最低でも90センチは欲しい所です。浴槽をまたぎやすくするには40センチ程度にする必要があります。

着衣に便利な道具

手指の細かな動作が難しい利用者さんにはマグネット式のボタンがおすすめです。ボタンエイドは手指に障害がある人が用いる、ボタンを留めるために使う自助具です。

ソックスエイドはいすに座ったまま靴下を履くことができる自助具です。足まで手が届かないために自力で靴下を履けない人には便利です。片麻痺のある方には袖ぐりの大きい上衣がよいです。袖ぐりが小さいと更衣に負担が生じます。

まとめ

リハビリテーションの最終目的は「QOL」を高めることです。回復期リハビリテーションは、医学的リハビリテーションとして行われます。流れとしては、急性期→回復期→維持期となります。

リハビリ後は、家の改修など考える方は多いと思います。気をつけるポイントとしては手すりは階段を降りる時に利き手となる側に設置します。腕をまっすぐ伸ばしたときに手首の位置に手すりが設置されているのがベストです。車いすの幅が約63㎝あるため、両側に約10~15㎝の幅をもって廊下の幅は85㎝以上は必要です。洗い場の高さは40㎝以下が事故なく、跨ぎやすい高さといえます。

自尊心を傷つけないようなリハビリや住宅改修を考えることで尊厳を大切にしたケアにつながるようにも思います。本日もありがとうございました。