ツナガレ介護福祉ケア

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知っておきたいベッドでの排泄介助、入浴介助のテクニックとマナー~ツナガレケア

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健康のバロメーター

尿や便は、健康状態を知る大事なバロメーターです。介護や医療の現場でもチェックはかかせませんし、記録もつけます。ケアワーカーになる前は「排泄」というと避けたい感じがありましたが、慣れてくると「良いウンコ」と「悪いウンコ」を見極める力が養われてきたようにも思います。この記事では知っておきたいベッドでの排泄介助や入浴介助のテクニックとマナーをご紹介します。

 

 

排便の3つのポイント

排便するためには、3つポイントがあります。それは、①腸から便を押し出す力、②踏ん張る力、③正しい姿勢です。

仰臥位では、排便時に踏ん張ることがしにくいです。また、腹圧を下げてしまうと下腹部に力が入りにくいので排便を促すことになりません。排便時は、肛門部の筋肉を意識して動かすことでスムーズな排便ができます。ちなみに交感神経はストレスを感じているときに高くなるため、蠕動運動の妨げになってしまいます。

正常な尿とは

正常な尿にタンパクが混ざることはほとんどありません。腎臓に異常がある場合、腎臓の濾過機能を通過して尿にタンパクが混ざります。正常な尿では1日に約70mgのたんぱく質が排出されます。健康な人の尿は淡黄色~淡黄褐色で透明です。

正常な尿に糖が含まれることはありません。尿に糖が含まれる場合、糖尿病や甲状腺機能亢進症などが疑われます。尿は排尿されるまでは無菌ですが、排尿後空気に触れる状態で放置しておくと細菌が繁殖し臭います。排尿直後から刺激臭がする場合は、膀胱や尿路に炎症を起こしていることがあります。

便秘の種類

弛緩性(しかんせい)便秘は、大腸の蠕動運動が低下することにより、便が大腸内に長時間留まり、水分が多く吸収されるため便が硬くなり引き起こされます。食物繊維は便の量を増やし腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進します。食物繊維は善玉菌のエサになり、腸内環境を整えるため蠕動を促します。

排便を我慢する習慣がある人に多いのは直腸性便秘です。直腸に便が停滞してうまく排便できなくなります。腹圧がうまく上げられず、息(いき)めない場合は、直腸性便秘であると考えられます。

大腸の過緊張(けいれん)によって起こる便秘はけいれん性便秘です。大腸がんをはじめとする器質的な原因によって腸に通過障害が起こることを器質性便秘といいます。

ベッドでの排泄(はいせつ)介護

ベッドで腰上げが可能な高齢者への、差し込み便器による排泄介護で気をつけたいポイントはいくつかあります。使用前の便器は温めておくと親切です。冷たいまま当てるのは利用者に不快感を与えることもあります。

男女問わず、膝を伸ばしたままでは適切な腹圧がかからず排尿・排便しにくいです。適度に膝を曲げてあげると楽に排尿できます。女性が差し込み便器を使用するときは、排尿により、周りを汚染させないためにトイレットペーパーを陰部に当てるとよいです。下半身に掛けものをかけるるなど、羞恥心、プライバシーを守ることが大切です。プライバシー保護のため、安全が確認できたらその場から離れます。

入浴の3つの大きな効用

入浴の効果には、①温熱作用、②静水圧作用、③浮力作用があります。このうち静水圧作用だけが、半身浴と全身浴で大きく負荷が異なります。水の中に沈んだ体は、その体表面にあたる部分に水の重さ分の圧力(=静水圧)を受けます。つまり、水につかる部分の大きな全身浴の方が、半身浴よりも静水圧の影響が大きいのです。
具体的には、腹部に静水圧がかかることにより腹囲が減少し腹腔内圧が上昇するため、横隔膜が挙上し肺の体積が縮小します。これにより、呼吸が困難になります。また、両下肢が静水圧を受けることにより、下肢の血流がまとまって心臓へ還流します。それにより心負荷がかかります。

温罨法の作用

罨法(あんぽう)とは、患部の症状を和らげるために、温熱や寒冷刺激を与える技術のことです。蒸しタオルや、温湿布等で温める罨法を、温罨法(おんあんぽう)といいます。体温低下や便秘等がみられる患者に対して行います。

温罨法は、熱によって新陳代謝を促進し、局所の血管が熱によって拡張します。お風呂に入ればリラックスするのと同じように、熱によって副交感神経が刺激されます。また平滑筋(へいかつきん)が弛緩して、知覚神経の興奮を抑える効果があります。

まとめ

排便は床に足をつけ、踏ん張ることができる座位の方が排便しやすい姿勢となります。この時、前屈姿勢を取ると直腸から肛門への角度が一直線に近くなり、排便しやすくなります。また息を吐くのではなく、息を止めると腹圧を高めることができます。

全身浴は半身浴と比較して静水圧作用が大きく、循環機能に負担がかかります。入浴では高温浴(42℃以上の熱い湯)は、新陳代謝が活発になります。微温浴(36~38℃くらいの体温に近いぬるい湯)では神経がやすらぎます。

アルキメデスの原理によると、水中にある物体には浮力が働きます。70kgの体重の人では首から下を水中に沈めると理論上6.78kgとなります。水中に没している部分のみを考えれば無重力に近い状態ですね。

正常な尿では1日に約70mgのたんぱく質が排出されます。排尿直後にアンモニア臭がすることはありません。 正常な尿では排尿直後は弱酸性で色は淡黄色で透明です。健康チェックに活用していただけると幸いです。

本日もありがとうございました。