海外の保育サービス
日本の保育サービスは、保育園が大きな役割を担っています。他方、教育を重視しているのが幼稚園です。原則、保育園の管轄は厚労省で幼稚園は文科省です。縦割り行政として批判のあった乳幼児の保育サービスですが、認定こども園が認められたことで、ようやく幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持つ施設も登場しました。
しかしながら日本の保育の課題は、まだまだ山積しています。では諸外国の保育事情はどうなのか。今回はドイツ、イギリス、アメリカ、スウェーデンの保育サービスを紹介します。
ドイツの保育サービス
保育サービスが意外と進んでいないのが、ドイツです。2002年で、保育所の定員は約19.0万人ですが、これは3歳未満児の8.5%にとどまります。地域的には、旧西ドイツ地域を中心に遅れています。具体的には、ノルトライン・ヴェストファーレン州やバイエルン州です。この2州では、保育所の利用者は全国平均を大幅に下回り、わずか2.1%です。旧西ドイツでは、子どもの保育は家庭で母親が行うという考えが強いです。こうした文化的背景が影響しているようです。
ドイツのママ
ドイツでは、在宅保育サービスとしての保育ママ(ベビーシッターなど)サービスもあります。しかし、フランスのように全国的な制度として認められたものではありません。認可も資格も不要であるため実態を把握するのが困難です。しかも料金が高いため利用できる親は限られています。ドイツには幼稚園制度もありますが、保育は半日制です。給食サービスもない場合が多いため、ドイツのママのフルタイム就業を難しくさせています。
イギリスの保育サービス
イギリスもドイツと同様に保育サービスの整備は遅れていました。しかし近年の「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」政策の一環で、保育サービスの充実が進んできています。
アメリカの保育サービス
アメリカでは保育サービスは民間企業が担うことが多いため、比較的リーズナブルに提供されています。一定の収入があれば民間の保育サービスを利用できるので、公的保育サービスの供給は限定的です。そのため、全国共通の保育サービスの制度は存在しません。州によって制度も決められていて、保育士の配置基準などの具体的な規制も、それぞれの州で異なります。保育現場における保育担当者の労働条件・給与・福利厚生の水準が低く、定着しない問題も指摘されています。
スウェーデンの保育サービス
スウェーデンはヨーロッパで、最も充実した保育サービスを提供している国の1つです。日本でいえば市町村に相当するコミューンがしきっています。スウェーデンでは、5歳までの子どものうち35.2万人が保育所でサービスを受けています。これに対して家庭型保育を利用しているのは、約3.3万人(2003年)と圧倒的に施設型の保育がメインで日本と似ています。
注目は、保育所や家庭型保育を利用してサービスを受けている人の人口に対する割合です。1~5歳で82%とメチャクチャ高くて待機児童はほとんど解消しています。また個別保育として、ファミリー・デイケアーがコミューンの実施責任のもとで実施されています。これは、最寄りの地域に保育所が存在しない場合に、保育所の機能を代替する役割を果たしています。スウェーデンでは、こうした様々な保育サービスの充実がパパやママの仕事と家庭の両立を現実的なものにしています。
まとめ
ドイツやイギリスの保育サービスは、現在進行形といえるかもしれません。保育施設が少ないという問題は各国とも共通しています。アメリカでは保育施設に代わって保育ママ制度が発達しています。こうしたサービスはコロナ禍の日本でも増えてくるかも。また待機児童問題を解消したスウェーデンには見習うべき点が多いかもしれませんね。
本日もありがとうございました。
<参考>
内閣府「保育サービス」