高齢になると排便は健康チェックのひとつです。毎日、快便のお年寄りは元気な方が多いです。不思議なもので介護をしていると、ウンチの怖さはなくなります。むしろ、ずっとウンチが出ない利用者さんがこわいです。
たとえば、認知症のお婆ちゃんの排便がないと「どうだった?」「いや、まだ」「大丈夫かな…」などスタッフの心配は絶えません。数日便秘が続いた利用者さんの排便があると、みんなホッとします。
他人のウンチで喜ぶなんて介護っておもしろい仕事だなあ、と思ったりします。この記事では、家庭でも知っておくと便利な「高齢者の排便」について紹介します。
高齢者の便秘の原因とは?
まずは簡単なクイズ。高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選んでみましょう。
- 便秘とは1日に1回、排便がない状態をいう。
- 病気が便秘の原因となることは、まれである。
- 腹筋の筋力低下は、便秘の原因となる。
- 薬剤が便秘の原因となることは、まれである。
- 便秘では下剤の服用を優先する。
正解は、3の「腹筋の低下は便秘の原因となる」です。それぞれを解説していきます。
適切な「排便」回数は?
排便は、からだの調子を判断する身近なバロメーターですが、回数には個人差があります。一般的に排便は、1週間のうちに2~3回に1度あれば、健康状態の問題はないとされています。もちろん1日に3回の方も正常です。
つまり1日1回、排便がなくてもそれほど心配する必要はありません。また、ウンチの量も食べるものの量や種類によって違ってきます。食物性の食べ物を多くとると、量は多くて柔らかいウンチ、お肉系では乾燥した少ないウンチの傾向があります。
便秘と大腸がん
50歳を超えて便秘の症状が続く場合は、「大腸がん」などが原因の場合があります。ガンが大きくなると腸の内側の空間が狭くなって、便が通過しにくくなるためです。
さらに、ガンが肥大化すると食べ物の通りが悪くなり、下痢などの異常がみられることがあります。この他、便秘が起こる病気には大腸ポリープなどがあります。気になる方は、専門機関で診断しましょう。
排便と筋力の低下
筋力が低下すると、便を排出する力の衰えにつながります。そのため、便秘になりやすいです。排便は、便が直腸や肛門付近に到達したとき、周辺の筋肉が緩むことで排出されます。つまり加齢で筋力が低下すると、便秘になりやすいわけです。
また筋力の衰えによる姿勢の悪さも、便秘につながりやすいです。背筋を伸ばしたり、筋力を強化するトレーニングを行いましょう。
薬剤と排便
排便が難しくなると、薬で排出させようと考える方も多いです。しかし、薬剤を継続して使用すると、その状態に慣れてきます。また薬がないと腸の繊毛運動が起こりにくくなり、副作用として便秘傾向になることも。気管支拡張薬や抗うつ剤などがその例です。
トイレの扉
トイレの扉は、内開きより外開きのほうが、安全かつ使いやすいです。引き戸は開閉の速度が遅くなります。アコーディオンドアは、すき間も多く、気密性は低いです。引き戸の取っ手を棒型にすると高齢者は握りやすく、安全に使用できます。
まとめ
高齢者の排便では、日常生活のリズムを整えることも便秘予防につながります。例えば直腸便秘の場合、便が直腸にたどり着いていても、排便のリズムが乱れているため便意がないことがあります。こうした場合は、朝食後にトイレに誘導し排便のリズムを整えることも効果的です。ウンチを制して、健康な生活を手にしましょう。本日もありがとうございました。