ツナガレ介護福祉ケア

東京都指定の障害福祉サービス事業所です。高齢者・障がい児・者、子育ての現場から発信しています!

失語症、視力障害、左半側空間無視のある人の介護〜ツナガルケア

ふたつの失語症の特徴

言葉をうまく操ることができなくなることを「失語」といいます。失語症のタイプは「感覚性失語」と「運動性失語」のふたつがあります。

どの部分が障害されるかで症状の出方が分かります。運動性失語では相手のいうことは理解できるものの、言葉がでてこない。感覚性失語では、流暢に言葉がでてくるものの、相手の話は理解できないなどの症状がでます。

感覚性失語とは

感覚性失語は、脳の言語中枢の障害です。文字を読めない、読めても理解できない、単語は分かっても文章は理解できないなど、症状は重症度により異なります。

感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)に障害があるため、ウェルニッケ失語症とも呼ばれます。話す言葉は流暢なのですが、相手の言っていることが理解できないため会話が成立しにくいです。

感覚性失語のコミュニケーション

感覚性失語の場合、会話の中で聞き取った音を、必要な音と不必要な音に選別したり、何の音か識別する脳の働きが障害されています。そのため言葉に変換することが難しいです。

コミュニケーション法は、重症度にもよりますが、非言語的なコミュニケーションが伝わりやすいです。身振り手振りのジェスチャーや指さし、動作誘導などです。

ボディランゲージも有効です。絵で示したり、短い文や単語で話しかけたり、ゆっくり話した場合に理解できることもあります。

運動性失語症とは

感覚性失語症とは違うものに、運動性失語症があります。これはブローカ失語症と呼ばれます。言葉の意味は理解できるものの、単語をうまく組み立てることができず、言葉を発することに難しさを感じる症状です。

運動性失語症の方は、人の言っている事や内容は理解できますが、自分の言いたい言葉が言えない(出てこない)状態なので、症状を理解した上での支援が求められます。

運動性失語症のコミュニケーション

運動性失語症の方は、人の言っている事や内容も理解できます。そのため、絵や写真を使って自分の言いたい事を思い出させるようなコミュニケーションが効果的です。

絵や写真はイメージがわきやすく、反応を引きだしやすいです。聴力に障害はないので、大きな声で1音ずつ区切って発音する必要はありません。

閉ざされた質問

運動性失語症の方は、長い会話が難しいため、閉ざされた質問(「はい」「いいえ」で答えられる質問)のほうが良いとされています。また、1度で理解できないこともあるので、繰り返したり、少し表現を変えて伝えるなどの工夫も必要です。

視力障害とは

目が不自由となり、日常生活を送る上で困難さを感じている状態を視覚障害といいます。メガネやコンタクトをつけても、ある一定レベル以上の視力がでなかったり、視野が狭くなったりする方も該当します。

高齢者で失明の原因となるのは、白内障、緑内障、加齢黄斑変性の3つの病気です。視力障害となっても、どのようなサービスを受けられるのかを知らずにいる方も多いです。

同行援護(ガイドヘルパー)

視力障害の方にとって、外出の際に大きな力になるのが「同行援護」というサービスです。外出や移動をするときに付き添ったり、食事やトイレのサポートをガイドヘルパーという専門職が行います。代読や代筆も支援のひとつです。

目の不自由な方への介助

目の不自由な方を介助する場合、介助者は障がいのある方の手首を握って誘導します。障害のある方には、介助者の手ではなく肘の上を握ってもらいます。手では重心が下になるため、ふらつきが出る可能性があるからです。

歩行誘導の仕方

目の不自由な方と外出する際には、介助者は半歩前に立ちます。障害のある方には肘の上を握ってもらいます。そして、利用者の肘が直角にある位置で歩行誘導します。

バスでの誘導

バスに乗る際や階段を登る際は、原則、介助者が安全確認のために先にのぼります。足元がすべりやすいなどの情報も口頭で合わせて声掛けします。

駅のホームでの誘導

駅のホームで電車を待つ場合、介助者は障がいのある方を点字ブロックの後ろに誘導します。

左半側空間無視とは

左半側空間無視とは、視力に問題がないにも関わらず、目にしている空間の左半分を無視してしまう状態です。

食事の介護

食事の際は、左側に置かれた食事に気が付かないことがあるため、見えやすい位置に配膳すると良いです。トレーは認識しやすい右側に配膳します。

まとめ

感覚性失語は、発語は良好ですが会話が成立しにくいです。一方、運動性失語は言葉は理解できますが発語ができなかったり、字も書けないことが多いです。

視覚障害の介助では、介護者は白杖を持っていない側に立ち、半歩前に立ち誘導します。声掛けや、場合により肘の上や腕をもってもらいます。

左半側空間無視のある方は、食事の様子を観察して、その都度見えやすい位置に食器の位置を変えると食器の見落としがなく食べやすくなります。

本日もありがとうございました。