ツナガレ介護福祉ケア

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介護のストレスコーピング(対処法)とは?種類や実践方法を解説

 

介護が必要になると、本人はもとより家族も疲れやストレス、悩みを感じる人が多いです。こうしたときに覚えておきたいのが「ストレスコーピング」です。

コーピング(coping)とは、英語で「対処」の意味です。ストレスコーピングを知ることで、ストレスと上手につきあうことができます。

今回は、ストレスコーピングの種類や考え方などを紹介します。

 

 

ストレスコーピングの種類

ストレスの対処法には、主に問題焦点型コーピング、情動焦点型コーピング、社会的支援型コーピング、認知的再評価型コーピングなどがあります。

ストレスを考えるときに欠かせないのが「ストレッサー」の存在です。これは、ストレスを与える原因となる環境や外部からの刺激のことです。

ストレッサーとは?

ストレスの原因となる生活上・環境上の出来事は「ストレッサー」といいます。ストレッサーを制御できるという信念は、ストレスの緩和につながります。

ストレスが生じると、体内ではそれを解消しようとする防御反応が働きます。しかし、同じストレッサーでも受け止める人によって「よいストレス」となるか「悪いストレス」となるかには大きな個人差があります。
ストレッサーを制御して「よいストレス」と受け止められた場合は適応できたこととなりますが、ストレッサーを制御できず「悪いストレス」となってしまった場合には、不適応を起こして身体にさまざまな影響が現れます。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングとは、ストレッサー(原因)に直接向き合い、問題を解決する方法です。介護の負担が重くなったときに、その原因から逃げずに問題を解決し、ストレスを減らしていきます。

ケアをしていると相手に思いが伝わらずにストレスを感じることもあります。この時、諦めるのではなく、伝え方を見直してみるのも効果的です。

はじめての介護では頑張ってしまう方も少なくありません。しかし、無理のないレベルからはじめて、ステップアップしていくほうが上手くいくケースは多いです。

実践方法

たとえば、トイレ。年配の方に「トイレにいきましょう」とお願いしても、直接的な言い方だと嫌がる女性もいます。大正、昭和初期の女性の場合、他の言葉に言い換えるとスムーズに行動してくれることもあります。

トイレを表す日本語には、「手洗い」「化粧室」「雪隠(せっちん)」などがあります。高齢な女性には「お花を摘みにいきましょうか」とお声がけすると、良いかもしれません。

問題焦点型コーピングで大切なのは「タイミング」です。ストレスの原因となる相手は目上の人も多いため、伝えるタイミングを意識すると良いでしょう。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングとは、ストレッサー(原因)に直接向き合うのではなく、その問題から離れて、つらい気持ちを忘れたり緩和する方法です。

仕事でミスをして落ち込んだときに、カラオケで元気を取り戻したり、旅行やショッピングなど楽しい場面を考えるなど、手軽なストレスコーピングです。

実践方法

介護は簡単な仕事ではありません。ストレスがたまることも多いのですが、ケアをした後は、自分へのご褒美として「スパにいこう、映画を観にいこう」など楽しいことを想像しましょう。ストレス解消に気晴らしは大事です。

社会的支援型コーピング

社会的支援型コーピングとは、問題を一人で抱え込まないようにして、ストレスを軽減させる方法です。

介護で不測の事態がいつ起きるか不安な人は、事前に家族内で状況を共有し、対処法を考えておくと安心感は高まります。いわゆる「転ばぬ先の杖」的な方法です。

実践方法

認知症になった方は、同じことを何回説明しても理解できなかったり、発言もコロコロ変わるなど、介護者にとってストレスがたまることも多いです。

インターネットで対策を調べることも大切ですが、重要なのは、いつでも相談できる風通しの良い人間関係を外部に作っておくことです。

地域の支援サービスなど第三者の手をバックアッププランとして用意しておくと、気持ちはずいぶんと楽になります。

認知的再評価型コーピング  

認知的再評価型コーピングとは、ストレッサー(原因)に対して見方を変えて前向きに受け止める方法です。いわゆるポジティブシンキングです。

介護にストレスを感じると、「つらい、苦しい」という言葉が沸き起こってきます。しかし、「介護は特別なものではなく、これからは誰もが直面する問題だ。これをクリアできれば成長できる」など、前向きに考えると気持ちが楽になります。

実践方法

目の前の困難に立ち向かうとき、過去の成功体験を振り返ることも大切です。「自分ならきっとできる」とやる気を奮い立たせることができます。

また、周囲の人に話を聞いてもらうことも重要です。新たな見解や気づきを得ることで、意識を前向きに変化させます。

ハーディネスな状態へ

ハーディネスは、ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性のことです。高いストレス下でも健康を保てる人の性格特徴として3つの「C」から構成されているといわれています。

  • ・自分の生活や人間関係に深く関与し、周囲への関心が高くその状況に関わることを有意義と感じる傾向がある(Commitment)
  • 自分自身に生じた出来事を制御しながら行動する傾向がある(Control)
  • 生活上の変化やハプニングを脅威としてではなく挑戦や成長の機会と捉える傾向がある(Challenge)

まとめ

介護では疲れや不安に悩まされます。こうしたとき、その原因を振り返り、適切な方法で対処することでストレスを減らすことができます。

実は、ストレスコーピングを実践しなくても、「そんな方法もあるんだ」と知っているだけで安心感が得られ、ストレスが減るという研究結果もあります。

また、「ストレスのない生活をしたい」と考える方も多いのですが、多少の緊張感やストレスのある生活のほうが、パフォーマンスや気力を高めてくれます。ストレスとは上手につきあいたいですね。本日もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社会的支援型コーピング

上司に相談し仕事量を軽減したら回復したというのは、社会的支援型コーピングであり、また具体的にストレスを与える原因を緩和したということから、広義の問題焦点型コーピングとも言えるでしょう。

×5 . 問題に焦点を当てるのではなく、カラオケによって気分の転換を図っています。これは、情動焦点型コーピングです。