本格的な高齢社会を迎えて、有料老人ホームの数は急速に増えています。しかし、そのサービスはすべて同じではありません。よくカン違いされるのが「介護付き」と「介護なし」の区別です。
有料老人ホームだから「介護付き」は当たり前だと考えがちですが、実は、介護付きの施設は、全体の3割程度しかありません(厚生労働省,R1.6.30時点)。
今回は知っておきたい、有料老人ホームの情報をお届けします。
有料老人ホームの種類は大きくわけて、①介護付き型、②住宅型、③健康型の3つに分けられます。①がいわゆる介護付きの有料老人ホームで、「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる施設です。
①介護付き有料老人ホームとは
介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)とは、都道府県または市町村から「指定」を受けている施設のことです。指定を受けていない有料老人ホームは、介護付きと表示することはできません。
行政の指定を受けているので、介護サービスが義務づけられています。施設のスタッフも24時間体制でサービスを行い、費用も介護度別の定額制です。
特定施設入居者生活介護
・介護保険法第8条第11項に基づき、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となる。
介護付き有料老人ホームの入居者を調べると、要介護3以上が半数を占めています。気になる費用ですが、施設の所在地、サービス提供体制、サービスの内容などによって異なります。
全国には、料金が低い施設から高級まで様々なタイプがありますが、厚労省によると、平均の月額費用は約22.7万円とのことでした。
介護付きのメリット
介護付きの有料老人ホームのメリットとして、余裕のあるスペースが挙げられます。これは行政から指定を受ける際に、施設全体が車椅子でスムーズに移動することが可能な空間と構造であることが決められているためです。
部屋もプライバシーの保護に配慮した個室が原則です。浴室も設備基準があり、身体の不自由な方でも、入浴するのに適した浴室になっています。
②住宅型有料老人ホーム
介護付きとカン違いされやすいのが、住宅型有料老人ホームです。このタイプは、介護が必要になったとき、入居者自身の選択により、地域の訪問介護や看護、デイサービスなどの外部サービスを利用しながら生活します。
最近は、外部サービスの手配を充実させている施設も多いので、認知症になった場合のケアも可能です。ただし、申請手続きが苦手な方は、入居前に事前に利用方法などを確認しておいた方がよいでしょう。
住宅型のメリットとデメリット
「介護付き」施設ではないので、介護サービスを自分で選ぶという面倒くささはあります。しかし逆に考えれば、自由にサービスを選択できます。
このとき気をつけたいのは、利用したサービスごとに費用を支払うので、要介護度が重くなると高額になるケースもあります。疑問や心配があれば、ケアマネジャーなどの専門家に相談しましょう。
③健康型有料老人ホーム
介護が必要になったとき、施設とトラブルになりやすいのが、健康型有料老人ホームに入居している方です。
健康型有料老人ホームというのは、原則、元気で自立しているシニアを入居の対象にしています。そのため介護が必要となった場合、契約を解除して退去しなければならないケースがあります。
健康型有料老人ホームのメリット
健康型有料老人ホームのメリットは、なんといっても自由度が高いこと。シニアライフを楽しむための設備やレクリエーションは充実しているところが多いです。
清潔なスポーツジムやゆっくりと寛げるスパ、図書館やカラオケなどの施設もあり、楽しいイベントや豊富なレクリエーションを用意している施設もあります。
医療機関と連携していたり、敷地内にクリニックが完備されている施設もありますので、体調やケガなどに対しての備えは安心です。「元気だけど、一人暮らしの生活は不安だ」というシニアにはおすすめです。
健康型有料老人ホームのデメリット
デメリットは比較的、高額な費用が必要なことです。初期費用に数千万円以上かかる施設もあります。そして、介護が必要になった場合、退去しなければならないケースがあることです。
あくまでも、健康で自立しているシニアが対象なので、要介護状態になるとさまざまな不便はでてきます。老人ホームとしてバリアフリーは導入されていても、介護が必要な高齢者向けの作りにはなっていないので、入居前に介護サービスに関する確認は必ずしましょう。
参考
厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」