日本をはじめ、世界ではさまざまなカウンセリングや心理療法が研究されています。
カウンセリングや心理療法を受ける人をクライエントといいます。そのクライエントの悩みや相談に乗って、解決に導く人がカウンセラーです。
今回は知っていると役立つ、カウンセリングや心理療法を紹介します。
認知行動療法
認知行動療法とは、物事のとらえ方や考え方のクセ(認知の歪み)をコントロールして、気持ちをラクにする方法です。たとえば、何かイヤな出来事があったとき、人はさまざま考えを思い浮かべます。
「ナンでこんなことになったんだ…」「もーダメだ」など、考えたくもないのにネガティブな考えが湧きおこってきます。これを「自動思考」といいます。
その自動思考をクライエントに気づいてもらい見直すことで、好ましい行動に変えていくのが認知行動療法です。
社会生活技能訓練( SST )
社会生活技能訓練( SST )は、カリフォルニア大学の医学部教授、ロバート・ポール・リバーマンが考案した訓練です。ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキル習得を図ります。
ロールプレイは、ロール(role)「役割」とプレイ(play)「演じる」を組み合わせた言葉です。
精神障害のある方の社会復帰トレーニングなどで使われています。
ブリーフセラピー
ブリーフセラピーは、小さな変化を重ねていくアプローチです。
短期療法・短期精神療法とも呼ばれます。
ブリーフセラピーは問題の原因を個人病理に求めるのではなく、コミュニケーションの変化を促して問題を解決・解消していこうとする心理療法である。(日本ブリーフセラピー協会)
一般的に10~20回のセッションで治療を終え、効果を発揮するとされています。
サイコドラマ(心理劇)
サイコドラマ(心理劇)は即興劇をもちいて、クライエントが役割を演じることで、課題の解決を図る心理療法です。
心理劇では、言葉や表現できない思いや考えを、台本のない即興劇で表現していきます。そして、自分自身について理解・洞察(物事の本質を見抜くこと)しながら解決のヒントを得ていきます。
来談者中心カウンセリング
来談者中心カウンセリングは、クライエントの発言を修正せずに、全面的に受け入れることで、行動変容を引き起こす方法です。
行動変容:人の行動が変わること
このカウンセリングでは、相談を受ける側(カウンセラー)の「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」を特徴とします。
クライエントがどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組むことで、カウンセラーの知識や助言がなくても、自らが気づき、成長していくことを目指します。
動機づけ面接
動機づけ面接では、クライエントが変わりたい方向を見出し、カウンセラーはその姿に近づくための考え方や行動を変える力添えをします。
クライエントの「変わりたい」という気持ちを大事にして、行動変容につなげていきます。
まとめ
カウンセリングや心理療法にはさまざまな方法があります。
認知行動療法は、クライエントが事実と違うことを発言した場合は、その認知を修正していきます。
社会生活技能訓練( SST )は対人関係のスキルを習得するための方法で、ソーシャルスキルトレーニングとも呼ばれます。
即興劇をしながら、クライエントが役割を演じることで、課題の解決を図るのはサイコドラマ(心理劇)です。
来談者中心カウンセリングでは、クライエントが事実と違うことを発言した場でも、その発言を修正せず、全面的に受容することが必要です。
動機づけ面接では、クライエントの「変わりたい」という理由を深く掘り下げていくことで行動変容につなげます。
タイプの違う心理療法を知ることで、相談援助に役立てて頂けると幸いです。本日もありがとうございました。