精神疾患の中で、女性に多いのが「摂食障がい」です。
原因のひとつに認知のゆがみがあります。
たとえば、痩せているのに「もっと痩せなきゃ」と不安にかられて、極端な食事制限をするケースです。
「太ってない、大丈夫だよ」と言われても本人は聞き入れません。
常に、やせ願望や肥満恐怖を抱えて、精神的に追い込まれます。
原因には、ストレスが挙げられますが、はっきりと解明はできていません。
今回は、専門的治療法を紹介します。
摂食障害の歴史
世界で初めて摂食障害が記録されたのは、17世紀のヨーロッパとされています。
イギリスの開業医、モルトンが医学的な最初の記録を残しています。
19世紀にはヴィクトリア女王の侍医が、アノレキシア・ネルボーザ(神経性無食欲症)と命名しています。
日本では、江戸時代中期の医師、香川修徳が「不食病」として報告しています。
近年では、1960年頃から医学論文も発表されて注目されるようになりました。
神経性やせ症とは
神経性やせ症は、痩せるための異常な食行動がみられる病気です。
進行すると体力やメンタルが悪化して、日常生活に支障をきたします。
神経性やせ症になりやすい年齢は10代が多いです。
女性が90%以上ですが、最近は男性も増加しています。
発症すると食事をとらない反動で、突然、むちゃ食いすることもあります。
また、食べたあとに喉に指を突っ込んで吐く。いわゆる“吐きダコ”がある方もいます。
最近では、下剤を飲むなど過剰な行動をとる方もいます。
神経性無食欲症とは
神経性無食欲症は、食べることを拒否する行動をいいます。
ダイエットをきっかけに発症する人も多いです。
原因は、心理社会的ストレスが指摘されています。
発症すると、「痩せたい、だから食べない」という考え方に囚われやすく、水だけで1日を過ごすなど極端な行動をとる人も。
食べ物を口にしないことで病的に痩せていきますが、本人に自覚はほとんどありません。
それどころか、「まだまだ自分は痩せていない」と考える方が多いです。
摂食障害の診断基準
摂食障害の危険度を知る基準にBMIがあります。
BMIは、身長と体重のバランスから肥満度を表す指標です。
日本でのBMIは「22」が標準です。
BMIは22より低い数値であれば、痩せ気味と判断されます。
17以下になると神経性やせ症や、神経性無食欲症の診断基準の一つとなります。つまり、ヤバい状態です。
成人ではBMIが15になると最重度の危険水域と言われています。
摂食障害の治療法
摂食障害の治療法のひとうつに認知行動療法があります。
医師やカウンセラーと会話をしながら、歪んだ価値観を見直して、改善する方法です。
摂食障害では、自分のスタイルや体重について「こうであるべき」と凝り固まった考え(こだわり)を持つ人は多いです。
こうした考えをほぐし、適切な価値観に整えていくのが認知行動療法です。
まとめ
摂食障害は基本的には治る病気です。しかし長期化したり、亡くなる人もいます。
太ることへの恐怖から極端なダイエットを行い、痩せたことへの達成感を覚え、再び繰り返してしまいます。
過度に痩せようとして、その反動でむちゃ食いするケースも少なくありません。
治療法には、精神療法や心理療法の一種である認知行動療法があります。
ストレスなどでネガティブな感情に捕らわれた時に、どのように考えるのか、その思考は現実とどれだけ差があるのかを知ることが大切です。
心とカラダは連動しています。
無理なダイエットをするのではなく、適切に食べることでメンタルも安定してきます。
本日もありがとうございました。