介護が必要になると、自宅の改修を行うケースは多いです。
階段に手すりをつけたり、車椅子のために段差をなくしたり・・・・・・。
ただ、リフォームにはお金がかかります。
そんな時に知っておきたいのが、介護保険の住宅改修費です。
この制度を活用すれば、費用の一部を行政が負担してくれます。
①家のドアを確認しよう
介護のリフォームでチェックしたいのは、ドアです。
室内の移動で杖や歩行器を利用すると、ドアの開け閉めが大変なことを実感します。
例えば、「浴室のドアを開ける」「トイレのドアから体をよける」「玄関に入る」という動作は、思った以上の負担です。
玄関の特徴
日本の玄関で多いのは、ドアが弧を描いて回転する「開き戸(ひらきど)」です。
洋風の住宅やマンションでは、部屋も開き戸が多いと思います。
しかし、高齢者にやさしいのは「引き戸」です。
引き戸は扉が横にズレるので、出入り口が広くなります。
開き戸から引き戸へ
家のドアを「引き戸」にすると、介護はラクになります。
出入り口が広く使えるので杖(つえ)や歩行器、車いすの移動もスムーズです。
転倒した際、ドアが邪魔になって救出が遅れる心配もありません。
なにより、介護をする家族にとって、日常のストレスが減ると思います。
こうしたメリットの多い「引き戸」へのリフォーム。
介護保険を使えば、取り替え費用の一部を負担してもらえます。
ドアをカーテンへ
開き戸から引き戸への変更が、家の構造上むずかしいケースもあります。
こうしたときにオススメしたいのが、ドアを外してカーテンに替えることです。
カーテンは開け閉めがラクで、値段も安く、取り付けも簡単です。
最近は、厚手のものやアコーディオンカーテンの種類も豊富です。
ただし、トイレなどはニオイや音漏れがあるので注意しましょう。
②床材の変更
滑りやすい床や、移動しづらい床を変更する工事も、介護保険を利用できます。
車いすの移動も、畳からフローリングに替えるとスムーズです。
また、床材でチェックしたいのは浴室です。
昔のタイルは、滑りやすく危険なものもあります。
浴室の転倒は大けがになるので、滑りにくい床材へ取り換えましょう。
地域によっては、玄関外の道路が砂利道の場合、コンクリ舗装も対象となります。
③手すりの取り付け
廊下や玄関、階段、トイレに手すりを付けると安心に生活できます。
手すりは転倒防止だけでなく、歩行や動作も安全に行えるメリットがあります。
介護用の手すりには、水平型、縦付け、横付けなどがあります。
階段の手すりは、転げ落ちたり、踏み外したりしないためにも設置しましょう。
片側だけ取付ける際は、「下りるときの利き手側」に手すりがくるようにしましょう。
④段差・傾斜の解消
足腰が弱ると、家の中のちょっとした段差でつまづいてしまうことも。
油断すると、大けがにつながることも多いです。
リビングや廊下、トイレ、浴室の段差や傾斜を解消する工事も介護保険が使えます。
家の敷居を低くしたり、浴室の床のかさ上げを行うと行動できる範囲も広がります。
スロープを設置すると車いすや歩行器でも、段差を越えられるので安心です。
⑤洋式トイレへの取替え
和式トイレを洋式トイレに取り替える工事も、介護保険を利用することができます。
古くからの家では和式トイレも少なくありません。
介護が必要になると、洋式トイレの方が立ち座りの負担が減り、楽に生活できます。
現在の洋式トイレを、立ちあがりのしやすい洋式トイレに取り替える工事も対象です。
ただし、腰掛便座や暖房機能、洗浄機能は支給の対象外です。
条件と申請の流れ
住宅改修の支給対象者は、①自宅に住んでいて、②介護保険の「要支援1~2」もしくは「要介護1~5」のいずれかの認定を受けている方です。
申請の大まかな流れは以下です。
- ケアマネジャーに相談(いない場合は区役所の高齢・障害支援課)
- 住宅改修の内容について事前に区役所保険年金課へ相談
- 事業者に工事を依頼
- 区役所へ住宅改修費の申請
支給額
介護保険による支給額は20万円です。費用の1割は自己負担となります。
この自己負担額も所得によって異なり、収入が高ければ2~3割となることもあります。
利用は基本1人1回
介護保険で住宅改修を行う場合、利用回数は決められています。
基本的に1人1回です。
複数回にわけて改修を行っても、介護保険の支給対象となるのは原則1回のみです。
限度額の20万円を超えなければ、複数回にわけて支給を受けられます。
まとめ
介護が必要な時に、住宅改修費の支給対象となるのは主に5つあります。
①扉、②床材、③手すり、④段差・傾斜の解消、⑤洋式トイレへの取替えです。
支給額は20万円ですが、1割は自己負担で18万円を補助してもらえます。
利用できるのは原則1人1回です。
本日もありがとうございました。