介護や看護で働く人の悩みに、「腰痛」があります。
利用者を抱えての移乗や体位交換などで、腰を痛めた方も多いです。
<腰痛は経験した人にしか分からない……>
もちろん、私もその1人。
腰の違和感を放置して、腰痛になりました。
もっと活用しておけば……と思ったのが、ボディメカニクスです。
家族の介護でも覚えておいて損はありません。
今回は、すぐにできるボディメカニクスのポイントを紹介します。
ボディメカニクスとは
ボディメカニクスは、「最小限のパワーで介護ができる技術」です。
人間の関節や筋肉、骨が動作する際の力学を利用します。
介護や医療の現場だけでなく、家族介護や子育てでも役立ちます。
ボディメカニクスを覚えるとカラダをスムーズに動かせるので、介護する側もされる側も負担を軽くできます。
なにより、腰痛予防に効果があります。
気をつける3つのポイント
ボディメカニクスを行う上で重要なポイントはいくつかあります。
今回は、私自身が役立てている3つのポイントを紹介します。
- 支持基底面を広くする
- 大きな筋肉を一緒に使う
- 重心を意識する
①支持基底面を広くする
支持基底面(しじきていめん)とは、カラダを支える面積のことです。
分かりやすく言えば、立っているときに両足で囲まれた面です。
介護をするときは、この支持基底面を広くとるほうが安定します。
「支持基底面」と聞くとなんだか難しそうですが、実践すると簡単です。
まず、足をしっかりと開く。
両足を肩幅に広げて、片方の足を斜め前に出す。
こうするとカラダを支える面が広くなり、姿勢が安定します。
②大きな筋肉を一緒につかう
ボディメカニクスでは、大きな筋肉(筋群)を一緒につかうようにします。
意識したいのは、腰・脚・背中の筋肉です。
これらの大きな筋肉を一緒に使うと、ラクに介護ができます。
両腕で大きなボールを抱えて、動かすようなイメージです。
男性は、つい腕力に頼り勝ちですが、腰の負担は大きくなります。
大きな筋肉を一緒につかうと、指先や腕の力はあまり必要ありません。
もちろん、女性でも安定した介助を行うことが可能です。
③カラダの重心を意識する
大きな筋肉を使うときに意識したいのが、カラダの重心です。
ボディメカニクスの技術では、この重心がポイントになります。
<でも、カラダの重心ってどこ?>
なんとなく分かっているようで分からない部位ですよね。
下記のイラストをご覧ください。
赤い丸の部分が「重心」です。
へその下あたりが、カラダの重心です。
ボディメカニクスでは、この重心を意識しながら腰を落とします。
イメージは、お相撲さんの四股(しこ)です。
骨盤を立てた状態で、膝を曲げ、腰を落とすことで重心を低く保てます。
気をつけたいのは、立ったまま腰を曲げないことです。
立ったまま腰を曲げると腰に負担がかかり、腰痛の危機が高まります。
重心移動
利用者を移動介助するときには、持ち上げないようにしましょう。
また、カラダをねじると重心が不安定になり、腰の負担も大きくなります。
重心を水平方向にスライドさせるようにすると、楽に動かすことができます。
重心を近づける
重いリュックサックも、肩ヒモを短くして背中に沿わせると楽に背負えます。
ボディメカニクスの原則も同じです。
身体介助では、利用者と身体を密着して、重心を近づけると介助がラクになります。
まとめ
ボディメカニクスは、腰痛予防のためにも覚えておきたい技術です。
コツは、足を肩幅ほどに開いて立つこと。
大きな筋肉(筋群)を一緒につかうこと。
そして、重心を低くすること。
こららを意識するだけで姿勢が安定し、腰痛予防になります。
言葉よりも、家族や同僚に協力してもらい、実践してみると良いかもしれませんね。
本日もありがとうございました。