介護福祉の現場では、緊急事態も発生します。
医療機関への連絡は第一ですが、介護士も応急処置を知っておくことは大切です。
出来る範囲の対応を行い、医師や看護師につなぐのも役割だと思います。
家族の介護でも、緊急時の対応方法を覚えておくと安心です。
じょくそう(褥瘡・床ずれ)
褥瘡(じょくそう)という言葉を現場ではよく耳にします。
褥そうとは、簡単にいえば「床ずれ」のこと。
寝たきりなどによって、体重が圧迫されると仙骨部などの血流が悪くなります。
仙骨のような部分の血流が悪くなると、赤くなったり水疱ができます。
皮膚の赤みやふくらみが進むと、感染症や合併症のリスクが高まります。
ベッドで過ごす時間の長い高齢者がいる家族は、こまめにチェックしましょう。
対処しなければ褥そうになります。
褥そうのチェック
皮膚の赤味が褥そうかわからない場合、人差し指で赤い部分を3秒ほど軽く押します。
押した時に白くなり、指を離すと赤く戻るのは褥そうではありません。
押さえても、赤いままであれば、初期の褥そうの可能性があります。
防止法
褥そうの防止策は、定期的な体位変換です。
体の一か所に圧がかかり続ける状態は避けなければなりません。
介護支援を受けている方は、介護士や看護師に確認してもらいましょう。
また、褥そうと食事量の低下は、密接な関係にあります。
食事量が低下して、筋肉や脂肪が減ると褥そうができやすく、治りにくいです。
そのため、食事のコントロールも大切です。
トイレの管理
褥そうで気をつけたいのが、排せつ管理です。
排泄物が長時間肌に触れ続けることで、肌トラブルを起こします。
排泄物により、ふやけた肌は傷つきやすく、褥そうを悪化させる原因となります。
坐薬(ざやく)の使い方
排せつコントロールとして、坐薬を使用している方も少なくありません。
坐薬は肛門で溶け、直腸に吸収され作用します。
しかし、使い方をしらないと効果がでないこともあります。
坐薬は肛門付近でとどまっていないと、直腸に吸収されません。
坐薬の入れ方
坐薬を入れるときは、普通の人であれば中腰になってもらいます。
中腰姿勢で挿入した人は、その後、腰をのばすことで挿入されやすくなります。
また、起き上がれない人の場合は、横向きで膝を曲げた状態で坐薬をいれます。
寝た状態で入れた方は、膝を伸ばすことで挿入されやすくなります。
坐薬の挿入
座薬はとがっている方から挿入します。
早い効き目の薬(粘液と反応させて炭酸ガスを発生させるタイプ)は挿入してから、完全に溶けて吸収されるまでには、10分~20分程度とされます。
早くトイレに行くと、座薬が出てしまい効果がないこともあるので気をつけましょう。
座薬のポイント
座薬のときに気をつけたいのが、呼吸です。
腹式呼吸をすると腹圧がかかりやすくなります。
利用する方には、口呼吸を促しましょう。
意識がもうろうとしている場合
意識が朦朧(もうろう)としている場合は、回復体位という方法があります。
回復体位とは、意識が朦朧とした状態の人を横向きに寝かせる体位です。
ただし、呼吸をしていない場合は生命の危機があります。
医療機関に連絡が必要です。
緊急を要する場合は、救命処置にしたがいましょう。
仰向けにして、首をそらして下あごを引き上げ気道の確保をします。
心肺蘇生する場合は、心臓マッサージ30回に人工呼吸1回の割合で行います。
骨折した
<骨折したかも……>
そんなときは、氷のう(氷を入れた袋)などで冷やします。
氷のうをあてるときはタオルなどでくるみ、直接あてないようにしましょう。
また、できるだけ腫れを抑えるために、可能なら骨折部を心臓より上にあげます。
「高く」するのは、内出血と腫れを防ぐためです。
そして、添え木で固定することにより、骨折部の安静を保つことができます。
ただし、添え木を骨折部位にきつくしばりすぎないように注意しましょう。
塩素系漂白剤を飲み込んだ!
衣類の黄ばみや黒ずみの漂白、除菌・消臭にも使われるのが、塩素系漂白剤です。
子どもが塩素系漂白剤を誤飲した時は、無理に吐き出すと危険です。
嘔吐物が気管に入る恐れがあります。
口をゆすぎ、コップ1~2杯程度の「水か牛乳」を飲ませます。
応急処置後は誤飲した製品を持って、ただちに医療機関に連絡します。
まとめ
介護の現場では緊急事態も発生します。
もしものときは、出来る範囲で対処して医療機関につなぎます。
家族介護でも、応急措置を知っておくと何かのときに役立つと思います。
本日もありがとうございました。