高齢者にみられる病気に、パーキンソン病があります。
いまや珍しい病気ではなく、介護支援の人も増えています。
パーキンソン病は、脳のドパミン神経細胞の障がいによって発症します。
以前は、「寝たきりになる」といわれましたが、効果的な治療薬も出てきています。
早い段階から、しっかりと治療することで、よい状態を保つことができます。
100人に約1人がパーキンソン病
パーキンソン病は珍しい病気ではなく、50歳以上で起こることが多い病気です。
65歳以上のおよそ100人に1人が発症するといわれています。
高齢化にともない、世界的にパーキンソン病が急増しています。
これらは、「パーキンソンパンデミック」と呼ばれ、警鐘が鳴らされています。
パーキンソン病を公表した有名人には、以下の方々がいます。
- みのもんたさん
- 永六輔さん
- 岡本太郎さん
- 江戸川乱歩さん
- マイケル・J・フォックスさん(俳優)
- モハメド・アリさん(ボクサー)
パーキンソン病の進行とは
パーキンソン病は症状が徐々に進行します。
病気の進行速度は人によって異なります。
病気の進行度を表す指標に「ホーエンヤール重症度分類」があります。
ステージが上がるほど、日常生活が困難になってきます。
病気がどのように進行するかの目安となります。
- ステージⅠ……身体の片側に手足の震えや筋肉のこわばり。
- ステージⅡ……両側の手足の震え、筋肉のこわばり。
- ステージⅢ……小刻み歩行、すくみ足、転びやすい。介助なしに過ごせる。
- ステージⅣ……立上がりや歩行が困難。生活するうえで様々な介助が必要。
- ステージⅤ……車イスや介護用ベッドが必要。
パーキンソン病5つの特徴と対策
特徴①「すくみ足歩行」
パーキンソン病の特徴に「すくみ」があります。
すくみとは、最初の一歩がブルブルと震えて踏み出せないことです。
すくみ足歩行がある場合、意識的な動作を行うことが大切です。
たとえば、一歩足を引いてから歩き始めてみましょう。
また、「せーの」の声掛けも効果的です。スムーズに歩き出せる事が多いです。
なかなか一歩が踏み出せないときは、片足を上手につかいましょう。
横や後ろに出したり引いたり歩き出すようにすると、踏み出しやすくなります。
特徴②「方向転換が苦手」
パーキンソン病になると方向転換がうまくできず、転倒する危険もあります。
そのため、曲がり角ではできるだけ大回りすることを意識しましょう。
介助するときは、本人のペースに合わせることも大切です。
「イチ、二、イチ、二」と本人にリズムをとってもらいましょう。
小刻み歩行、すくみ足、突進歩行を起こしにくくなります。
階段では、意識的に足をあげるため、スロープより得意な方が多いです。
特徴③「無表情」
パーキンソン病の特有の症状に、無表情があります。
他にも、腰が曲がった姿勢がみられます。
パーキンソン病になると、自律神経症状により血圧は低下しやすいです。
そのため、立ち上がった時にフラっとする、起立性低血圧が起こりやすいです。
また腸の動きが悪くなるため、便秘になりやすいです。
特徴④「発声の違和感」
パーキンソン病では、声が小さくなったり、早口やかすれなどがみられます。
また、言葉がなかなか出てこないなどの症状が出てくることがあります。
そのため、発声練習のリハビリは重要です。
カラオケで大きな声で歌ったり、本などを大きな声を出して読むのも効果的です。
特徴⑤「バランスがとりにくい」
パーキンソン病の症状のひとつに、姿勢反射障害があります。
これは、体のバランスをうまく保つことが出来ない状態です。
姿勢保持や歩行がうまくできなくなります。
スロープでは身体のバランスがとりにくいため、注意が必要です。
介護が必要になるステージとは?
日常の生活動作に介助が必要になるのはステージⅣからです。
ステージⅣでは立位姿勢が大変になり、日常生活動作の介助が必要となります。
ステージⅤでは自力歩行が難しくなるため、車椅子や寝たきりの状態となります。
パーキンソン病を疑ったら
パーキンソン病は、神経内科での問診から始まります。
問診でパーキンソン病が疑われたら、脳や筋肉などの異常を調べます。
他の病気ではないことを確認するための画像診断、血液検査、尿検査も行います。
これらの結果を厚生労働省が作成した診断基準と照らし合わせます。
基準を満たしていれば、パーキンソン病と診断されます。
医療費の補助
パーキンソン病は、厚生労働省が定める「難病治療研究対策事業」の対象です。
国や都道府県から医療費の補助を受けることができます。
最近ではパーキンソン病の治療は大きく進歩しています。
補助を受けることで、安心して長期的な治療を受けることができます。
気になる方は専門機関に相談してみましょう。
本日もありがとうございました。