保育園や幼稚園、学校で増えているのが「グレーゾーン」といわれる子どもです。
コミュニケーションが苦手だったり、特定のことにこだわったり……
子どもの発達が気になり、不安や心配を抱える親御さんも少なくありません。
しかし、成長すると問題行動が少なくなるケースも多いです。
グレーゾーンの子供には、どのような特性があるのでしょうか。
発達障害とは
そもそも発達障害とはなにか?
文科省では次のように定義しています。
発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」
現在、アスペルガーや自閉症は「自閉症スペクトラム障害」と言われます。
子どもの発達障がい
幼児期は言葉の発達や、コミュニケ-ション能力などを形成する大切な時期です。
発達が気になるまま放っておくと、その後の学習や生活に影響を及ぼします。
対応の遅れによって、情緒不安や不適応行動などの二次障害も生じます。
診断の難しさ
発達障害の診断は、幼いほどムズかしいです。
そのため、幼児期では「確定診断」がつかない子どもは多いです。
発達の遅れは気になるけれど、診断はしていない子どもはかなりの数になります。
確定診断
確定診断とは、原因となっている疾患をはっきりと定める診断方法です。
つまり、疑いがある状態では、確定診断を受けることはありません。
子どもの場合、成長につれて問題が少なくなるケースは多いです。
グレーゾーン(気になる子ども)とは
発達が気になる子どもに関しては、様々な研究が行われています。
ある研究者は、「知的な発達に遅れは認められないが、落ち着きがなく、他児とのトラブルが多く、感情をうまくコントロ-ルできない子」と定義しています。
気になる子どもの行動特徴
グレーゾーンの子どもの特徴には、次のような5因子があげられます。
- 「自閉症」
- 「感情のコントロ-ル」
- 「多動」
- 「言葉の表現」
- 「ことば遊び」
これら5因子が、発達の遅れと関連しているとされています。
言葉の表現や遊びが苦手だから、コミュニケーションが難しい子供も多いです。
気になる子の割合は?
幼稚園や保育園で気になる子は、どのくらいいるのでしょうか。
保育上の「気になる子」は男児が21%、女児5%との研究報告もあります。
女の子よりも、男の子の方が多いです。
ちなみに自閉症の割合は、10人に1人と言われています。
気になる子どもは、障害が分かりにくいため周囲からの理解が得られにくいです。
家族は子どもの行動を理解できずに戸惑うことも多いです。
子どもの発達で気をつけること
発達障害の子どもは、高い割合で睡眠の問題があることも報告されています。
最近では、ゲームや保護者の夜型生活で遅寝遅起きの子どもが増えています。
こうした生活は子供にネガティヴな影響を与えることが指摘されています。
ストレスを減らす方法
気になる子どもをもつ家族のストレスは高いとされています。
こうした実態を受けて、ストレスを軽減させる研究も進んでいます。
認知行動療法のひとつに、「マインドフルネス」があります。
親子の修復や改善、質の高い関係を築く手段として注目されています。
また、スウェーデンの医療機関で取り入れられているのが、「タッチケア」です。
親子のスキンシップも、ストレス軽減に高い効果があるといいます。
まとめ
子どもの発達の遅れを気にする親は多いです。
早期に専門機関を受診するのも安心につながります。
また、生活習慣を見直すのも良いかもしれません。
夜型傾向になっていないか、環境に大きな変化はないか・・・など。
そうした要因が子どもの発達の妨げになっているかもしれません。
本日もありがとうございました。
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