介護施設の利用者が増える中、送迎中の「車いす」の事故が問題になっています。
2019年、北海道で介護の送迎中、車いすの高齢者が死亡する事故が発生。
富山県でもデイサービスの車と自動車が衝突し、車いすの女性が亡くなりました。
福祉車両とシートベルト
デイサービスなど介護の送迎で、車いすを利用する方は多いです。
見落としがちなのが「どのようにシートベルトをしているか」です。
よく見られるのは、車いすのままリモコン操作で乗り降りできるタイプ。
リフタータイプと呼ばれ、トヨタハイエースや日産キャラバンが有名です。
車いすのシートベルトは3点式
車いすのシートベルトは3点式で、ゆるみのない状態が正しい装着です。
ただ介護の送迎では、腰の部分を左右から抑える2点式も少なくないです。
理由は、前かがみで動かない高齢者に無理にベルトをかけると、それこそ首をしめたままの状態になってしまうからです。
シートベルトと身体拘束
最近では、車いすのシートベルトもたくさん販売されています。
安全ベルトといわれるシートベルトもあります。
ずり落ち防止、転倒予防、バランスをとりやすくするものです。
一方で、ベルトの使用は「身体拘束」につながるのではないかとの声もあります。
安全性と利用者の尊厳は、相反することもあり難しい問題です。
道路交通法と事故
車いすは「座席」とは見なされず、車にのせる明確な基準がありません。
道路交通法では、身体に障害がある場合にベルトの装着は免除されています。
移送サービスも「原則装着」です。
ヘッドレストや車いすの強度について決まりがないのが現状です。
車いすは利用者の身体機能によって形状が多種多様で、一律の基準や義務を設けることは難しいことがあげられます。
車いすのシートベルトの付け方
車いすは日常生活を前提に作られています。
自動車で移送することは、想定されていません。
しかし、車いすの送迎はますます増えていくでしょう。
日常と自動車用の2台を使い分けられると良いですが、現実的ではありません。
大事なのは、車いすで乗りやすい車両を選ぶこと。
その上で、正しく装着することが必要です。
車いすの正しいシートベルトの装着方法は下記になります。
- リフトの上に車いすがきちんと乗っている(固定している)こと。
- シートベルトはアームレストの下側、タイヤスポークの間を通す。
- 腰のベルトが腰骨を確実に支えることを確認する。
車いすの利用者は増加している
全国で車いすを利用する高齢者は73万人に上るそうです。
デイサービスが増える中、見落とされがちなシートベルト問題。
大切な家族の安全は、身近な問題として考える必要があります。
社会全体で、車いすの安全対策を考える時期にきているのかもしれません。
本日もありがとうございました。
参考
https://nagoya-sabetsusoudan.jp/item/127e3a1dfa378edaff75f10faf863760b333a62c.pdf