ツナガレ介護福祉ケア

東京都指定の障害福祉サービス事業所です。高齢者・障がい児・者、子育ての現場から発信しています!

社会福祉士とは何をする人なのか

社会福祉士という資格は、名前のわりに中身が知られていません。

介護の人ですか、と聞かれることもある。
相談に乗る人ですか、と言われることもある。
どちらも間違いではないけれど、それだけでもありません。

社会福祉士は、人が暮らしの中で抱える問題を整理し、その人がその人らしく生きられるように支える専門職です。

社会福祉士の仕事は、見えにくい

食事を作る。
入浴を手伝う。
薬を出す。

こうした支援は、外から見てもわかりやすいです。

でも、社会福祉士の仕事は少し違います。

制度をつなぐ。
話を聞く。
本人の意思を確認する。
家族や関係機関との間を調整する。
必要な支援や制度につながるように支える。

つまり、目立たない。
けれど、いないと困る。
そんな仕事です。

社会福祉士には、守るべき土台がある

社会福祉士には、「倫理綱領」と「行動規範」があります。

少し堅い言葉ですが、要するに、社会福祉士は何を大事にして、どう振る舞うべきかを示したものです。

そこに書かれていることを、できるだけわかりやすく言い換えると、こんな内容になります。

  • 目の前の人を決めつけずに尊重する
  • 支援する側の都合より、本人の利益を優先する
  • わかりやすく説明する
  • 本人の自己決定を大事にする
  • 秘密を守る
  • 差別や虐待を許さない
  • 権利を守る
  • 組織や社会の側にも働きかける
  • 専門職として学び続ける

きれいごとに見えるかもしれません。

でも、現場はむしろ逆です。
きれいごとだけでは回らないからこそ、こういう土台が必要になります。

社会福祉士は「代わりに決める人」ではない

社会福祉士の支援で大事にされているのが、本人の自己決定です。

これは簡単そうで、実はかなり難しいことです。

本人のためを思えば、こちらが正しいと思う答えを出したくなることがあります。
家族や職場や制度の都合から見れば、そのほうが話が早いこともあります。

でも、社会福祉士は、そこで勝手に人生を決める側に回ってはいけません。

本人が何を望んでいるのか。
本当に理解できているのか。
選べるだけの情報が渡っているのか。

そこを整えるのが仕事です。

支援とは、指示することではない。
支配することでもない。
その人が自分の人生に参加できるようにすることです。

受け止めることと、放っておくことは違う

社会福祉士には、クライエントをあるがままに受け止める姿勢が求められます。

ただし、それは何でもそのままでいい、という意味ではありません。

たとえば、本人の判断が生命や健康を大きく損ねるとき。
あるいは、他人の権利を脅かすおそれがあるとき。

そういう場面では、支援者として踏み込む責任も出てきます。

尊重しながら、必要なときには守る。
寄り添いながら、必要なときには線を引く。

このバランスの難しさが、社会福祉士の仕事にはあります。

秘密を守ることも、大事な仕事

福祉の現場では、本人の生活、病気、お金、家族関係など、とても個人的な情報を扱います。

だからこそ、プライバシーの尊重や秘密保持は、とても大切です。

記録の扱い。
情報共有の範囲。
電子データの管理。

こうしたことも、社会福祉士の大切な責任に含まれます。

最近は、SNSやデジタル化の影響で、この点はさらに重要になっています。

便利になったぶん、漏れやすくもなった。
共有しやすくなったぶん、雑にもなりやすい。

だからこそ、慎重さが必要です。

目の前の一人だけで終わらない

社会福祉士の役割は、本人支援だけではありません。

職場のルールが支援の妨げになっていないか。
虐待や差別、ハラスメントがないか。
必要な制度や社会資源につながれているか。
排除されやすい人が置き去りになっていないか。

そうしたことにも目を向ける必要があります。

つまり社会福祉士は、困っている人の話を聞くだけの人ではありません。
その人が困る構造にも、目を向ける人です。

理想と現実は違う、それでも……

正直に言えば、現場では理想どおりにいかないことばかりです。

時間がない。
人が足りない。
制度が追いつかない。
組織の事情もある。

きれいな言葉だけで回るほど、福祉の現場は甘くありません。

それでも、倫理綱領や行動規範を読む意味はあると思います。

なぜなら、この仕事が本来どこを向くべきかが、そこに書かれているからです。

忙しい現場にいると、目の前の処理でいっぱいになることがあります。
いつの間にか、本人より先に、制度や組織や手間のほうを見てしまうこともある。

そんなときに立ち返る場所として、倫理綱領は案外大事です。

社会福祉士を目指す人へ

これから社会福祉士を目指す人は、試験勉強のためだけでなく、一度は倫理綱領や行動規範に目を通しておくといいと思います。

全部を覚える必要はありません。

ただ、社会福祉士とは何か。
この資格は何のためにあるのか。
何を守ろうとしているのか。

その輪郭が見えてきます。

資格は、肩書きです。
でも、倫理は、その中身です。

社会福祉士という仕事は、派手ではありません。
けれど、人の暮らしの土台に関わる仕事です。

目立たないけれど、重い。
やさしいだけでは務まらない。
でも、冷たくてもできない。

そのあいだを歩くための道しるべが、倫理綱領なのだと思います。