
気分が落ち込む。
気が重い。
病は気から。
日本語には、「気」という漢字を使った言葉がたくさんあります。
意味はなんとなく分かる。
けれど、「気ってなんだろう」と考えると、わかりません。
昔、私の恩師が、こんなことを言っていました。
「気という言葉を、考えるに置き換えてみると分かりやすいかもしれないね」
最初は、よく分かりませんでした。
でも後になって、その言葉は本質をついていたのかも、と思うようになりました。
今回は、気分が落ち込む理由や、気が重いときに頭の中で何が起きているのかを、「気」という漢字から考えてみます。
- 「気」を「考え」に置き換えてみる
- 気が重いときは、頭の中がいっぱいになっている
- 「気が合う人」は、考え方やリズムが似てる人
- 人は「目の前の現実」より先に思い込みで判断しやすい
- 気分が落ち込む正体とは
- では、気を軽くするには
- まとめ
「気」を「考え」に置き換えてみる
たとえば、日本語にはこんな表現があります。
- 気が重い
- 気が進まない
- 気が晴れる
- 気が合う
辞書では、「気」は心の動きや状態、働きを総合的にとらえたものと説明されます。
ただ、それだけだと少し分かりにくい。
そこで、「気」を「考え」に置き換えてみました。
- 気分が落ち込む → 考えが落ち込む
- 気が重い → 考えが重い
- 気が合う → 考えが合う
こうしてみると、少し見え方が変わります。
たとえば、朝起きたときに、「今日はなんだか気が重いなあ」と思う日。
そういう日は、気分が重いより、頭の考えが重くなっていることが多いのです。
気が重いときは、頭の中がいっぱいになっている
気が重いとき、頭の中ではこんなことがぐるぐる回っていないでしょうか。
- 仕事、うまくいくかな
- あの人に何て言おう
- 今日の予定、面倒だな
- 変に思われたらどうしよう
- また嫌なことがあるかもしれない
ひとつひとつは小さなことでも、いくつも重なると疲れてしまう。
つまり「気が重い」というのは、いろいろ考えすぎて、心の中が混み合っている状態とも言えます。
そうであれば、気持ちを軽くするために必要なのは、無理に元気を出すことではなく、頭の中にある考えを少し減らせばいい、のかもしれません。
「気が合う人」は、考え方やリズムが似てる人
別の視点から考えてみます。
「気が合う人」という言い方があります。
これも「気」を「考え」に置き換えると、考え方や感じ方のリズムが似ている人、ということになります。
逆に、気が合わない相手もいます。
介護福祉の現場でも、仕事内容そのものより、コミュニケーションがうまくいかずに辞めてしまうことがあります。
でもそれは、相手が悪いというより、考え方や仕事の感覚にズレがあるということなのかもしれません。
たとえば、きれいにするために、同じ場所を3回は拭きたい人がいます。
一方で、1回拭けば十分きれいになったと感じる人もいます。
どちらも、その人なりの基準では正解です。
ただ、3回拭く人から見ると、1回だけで終える人は「手を抜いている」ように見えるかもしれません。
逆に、1回で十分だと思う人から見ると、3回拭く人は「仕事が遅い」と感じるかもしれません。
ここで大事なのは、私たちは目の前の現実を、そのまま見ているようで、実はかなり自分の考えや思い込みを通して見ているということです。
人は「目の前の現実」より先に思い込みで判断しやすい
たとえば、初対面の人と会ったとします。
人は相手の
- 顔つき
- 話し方
- 雰囲気
- 服装
- 肩書き
などを見て、短い時間で「好き・嫌い」「安心・不安」を判断すると言われています。
けれど、そのときに働いているのは、必ずしも現実そのものではありません。
多くの場合、そこには自分の先入観や思い込みが混ざっています。
たとえば、
- 肩書きが立派だと、それだけで信頼してしまう
- 過去に問題があったと知ると、今の姿をまっすぐ見られなくなる
- 見た目や第一印象のような表面的な情報だけで、相性まで決めつけてしまう
こうしたことは、誰にでもあります。
つまり「その人自身」を見ているつもりで、実際には自分の頭の中の解釈を見ていることが少なくありません。
人生経験が増えるほど、その傾向は強くなることもあります。
経験は知恵になりますが、同時に色眼鏡にもなりやすいのです。
気分が落ち込む正体とは
気分が落ち込むとき。
実際に起きている出来事よりも、その出来事について自分がどう考えているかのほうが強く影響していることがあります。
同じ出来事でも、
- もうダメだ
- 嫌われたかもしれない
- きっと失敗する
- また同じことになる
そんな考えが頭の中でふくらんでいくと、気持ちはどんどん重くなります。
現実がつらいことも、もちろんあります。
ただ、それ以上に人を消耗させるのは、頭の中で何度も繰り返される考えなのかも。
そう考えると、「気分が落ち込む」のは、心が弱いからでも性格の問題でもなく、考えが増えすぎているからとして見ることもできます。
では、気を軽くするには
「気が重い」ときに、無理やり前向きになることは難しいです。
簡単な方法は、今、自分は考えすぎているのかもしれないと気づくことです。
そのうえで、頭の中にあるものを少し下ろしてみる。
全部解決しなくていい。
全部整理しなくていい。
ただ、いま抱えている考えを、少しだけ減らしてみる。
すると、それだけで気持ちが少し軽くなることがあります。
考えない人になる必要はありません。
でも、考えが増えすぎて、自分をつぶしてしまうなら減らしたほうがいい。
その感覚は、案外大事なのだと思います。
まとめ
「気分が落ち込む」
「気が重い」
そう感じる日は、頭の中の考えが増えすぎている日なのかもしれません。
「気」を「考え」に置き換えてみると、自分の状態が少し分かりやすくなります。
- 気が重い → 考えが重い
- 気分が落ち込む → 考えが落ち込む
- 気が合う → 考えが合う
そうやって見てみると、自分を苦しめている正体が見えてくることがあります。
気が重い日は、無理に元気を出そうとしない。
まずは「いま、自分は考えすぎているのかもしれない」と気づいてみる。
それだけでも、気持ちは少し変わるように思います。