
発達障害という言葉は、もう特別なものではなくなってきました。
文科省によると、通常の学級に在籍する公立小中学校の子どものうち、学習面または行動面で著しい困難を示すと推定される割合は1割近くとされています。
通級による指導を受ける児童生徒数も、この20年で大きく増えています。
つまり、発達障害の支援は、一部の人だけの話ではありません。
学校でも、家庭でも、地域でも、そして仕事の場でも身近なテーマになっています。
今回は、発達障害者支援法を軸にしながら、特徴の見方や就労支援について、できるだけわかりやすくまとめます。
発達障害の特徴とは? 気になるチェックポイント
まず大事なのは、発達障害かどうかは、見た目だけではわかりにくいです。
そのため、本人も周囲も、「性格の問題かな」「努力が足りないのかな」と受け取りやすいことがあります。
発達障害の支援では、こうした困りごとを特性として見ていく視点が大切です。
たとえば、こんなことが続いている場合は、一度整理してみる意味があります。
- 人とのやりとりが、うまくかみ合わないことが多い
- 曖昧な指示だと、何をすればいいのか分からなくなりやすい
- 予定変更や急な変化に強い負担を感じやすい
- 不注意や段取りの苦手さで、仕事や生活に支障が出やすい
- 音や光、においなどに強く疲れてしまうことがある
もちろん、これだけで発達障害と決まるわけではありません。
大事なのは、そうした特徴が続いていて、実際に生活や仕事、人間関係の困りごとにつながっているかどうかです。
発達障害者支援法でいう「発達障害者」とは
ここは、いちばん土台になるところです。
発達障害者支援法では、発達障害者を「発達障害がある者であって、発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるもの」としています。
つまり、ただ発達障害がある、というだけではないのです。
その特性と、社会の側にある壁の両方によって、生きづらさや困りごとが生じているところまで含めて考える、ということです。
ここは、似ているようで、大きい違いです。
制度を理解するときは、この定義を押さえておくと混ざりにくくなります。
発達障害の就労支援とは? 働き続けるための支え
発達障害の支援では、就労も大きなテーマです。
法では、国と都道府県が、個々の特性に応じた適切な就労の機会の確保や、就労定着のための支援に努めることとされています。
ここでいう就労支援は、単に「就職させること」だけではありません。
働く前の準備、職場との調整、働き始めた後の定着支援まで含めて考えられています。
厚労省は、地域障害者職業センターで職業評価、職業準備支援、職場適応支援などを行っていることを案内しています。
また、障害者就業・生活支援センターは、雇用、保健、福祉、教育などの関係機関と連携しながら、就業面と生活面の両方を支える仕組みです。
発達障害の就労支援は、ひとつの窓口だけで完結するものではありません。
地域の支援機関がつながりながら、働くことと暮らすことの両方を支えていく。
そういう仕組みになっていますが、分かりにくいのも事実です。
手帳の話は別の法律にある
ここも混ざりやすいところです。
精神障害者保健福祉手帳は、発達障害者支援法そのものに基づく制度ではありません。
厚労省は、障害者手帳の制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なると案内しています。
障害者保健福祉手帳は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく制度です。
発達障害の支援を考えていると、手帳の話も近くに見えてきます。
ただ、制度ごとの根拠法は分けて見ておいたほうが、理解しやすいです。
まとめ
発達障害は、いま、かなり身近なテーマです。
学校現場でも、支援を必要とする子どもは珍しいものではなくなってきています。
そのうえで、まず押さえておきたいのは、次の3つです。
- 発達障害者支援法でいう発達障害者は、発達障害と社会的障壁によって生活上の制限を受ける人を指すこと。
- 就労支援は、国や都道府県を軸に、地域の支援機関が連携しながら進めていくこと。
- 気になる特徴があっても、それだけで決めつけるのではなく、実際の困りごとや支援の必要性を見ていくこと。
制度は、名前だけ追うと混ざります。
でも、現状、特徴、支援の仕組みを一緒に見ていくと、少しずつ整理できます。
急いで結論を出すより、まずは、困りごとがどこにあるのかを丁寧に見ること。
そこから支援は始まるのだと思います。