ツナガレ介護福祉ケア

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車いす介助と移乗介助 現場で知ったコツと注意点

高齢者の方を中心に、車いすの人を街や病院や施設で見かけることは、もう珍しくなくなった。

それだけ、車いすは日常の中に入り込んでいるのだと思う。

一方で事故も起きている。

2025年3月には、愛媛県松山市で、車いすに乗った41歳の女性がJRの踏切内で電車にはねられて死亡する事故が報じられた。

こういうニュースを見ると、車いすは便利な移動手段であると同時に、少しの油断で大きな事故につながるものでもあると感じる。

自分も、はじめて車いすを介助したときは、かなりドキドキしたのを覚えている。

思ったよりスピードが出るし、思ったより曲がる。ちょっとした段差でも、身体は意外なくらい揺れる。

押してみるまでわからなかったのは、車いす介助は単なる力仕事ではなく、スピードと重心とコントロールの仕事だということだった。

 

 

「ただ押すことではない」車いす介助

車いす介助というと、外からは単純に見える。

でも、実際はそうではない。

前に進むだけならできる。けれど、安全に進むとなると話は変わる。

急にスピードを出さない。曲がる前に少し意識する。段差の前では慎重になる。

下り坂では勢いに任せない。止まれる形で動く。

特に、段差や傾斜があるところでは、前向きにそのまま押すより、後ろ向きになって引いた方が安全な場面がある。

その方が、利用者の身体が前に流れにくいし、介助する側も重さを受け止めながらコントロールしやすい。

最初はそこまで意識できなかった。

でも、車いす介助は前に進めばいいわけではなく、どうすれば安全に止められるかまで考える必要があるのだと思った。

こういうことは、文字にすると当たり前に見える。

でも、実際に押してみると、その当たり前が意外と難しい。

車いすは、自分の前にある小さな乗り物のようなものだ。

しかも、その上に人が乗っている。

自分の雑な操作が、そのまま相手の不安になる。

だから、車いす介助は「押すこと」より、安心して預けてもらえる動かし方が大事なのだと思う。

「動かす前の確認」車いす介助の注意点

介助で大事なのは、動かし始める前の確認だ。

ブレーキはかかっているか。

足はフットサポートにきちんと乗っているか。

手や腕が外に出ていないか。

服や毛布が車輪に巻き込まれそうになっていないか。

こういう確認は地味だ。

でも事故は、たいてい地味なところから始まる。

車いす介助は、動かしてから頑張るものではない。

動かす前にどこまで整えたかで、かなり変わる。

「力ではなく呼吸」移乗介助のコツ

車いす介助というと、つい「押す場面」を思い浮かべる。

でも、現場でやってみると、それだけではない。

むしろ、最初に本当に難しいと思ったのは、ベッドから車いすへ移るときの介助だった。

ここで初めて、車いす介助は力ではなく、相手との呼吸が大事なんだと学んだ。

移乗は、最初かなり緊張した。

落としたらどうしよう。立ってもらえなかったらどうしよう。

途中で身体が崩れたらどうしよう。そんなことばかり考えていた。

しかも、力任せにやろうとすると、うまくいかない。

これは本当に不思議なくらい、うまくいかない。

体は軽いはずなのに、全然動いてくれない。

認知症のおばあちゃんは、こちらが焦るほど身体が固くなってしまうことがあった。

でも、やっていくうちに少しわかってきた。

移乗は、腕力で動かすものではない。相手と呼吸を合わせることが大事なのだ。

目線を合わせる。声をかける。急がない。こちらが力むのではなく、相手の動けるタイミングを待つ。そのうえで、一緒に動く。

これができると、大きな体の人でも意外なくらいスムーズに移乗できることがある。

逆に、こちらが焦っていたり、早く終わらせようとしていたりすると、全然うまくいかない。

「大好き」という魔法の言葉 移乗介助で大事なこと

昔、ある講師が言っていた。

移乗が難しいときには、魔法の言葉がある。

心の中で、「大好き」と言ってみる。

それだけで、不思議なくらい身体が動いてくれることがある、と。

最初に聞いたときは、少し大げさにも思えた。

でも、現場をやると、あれは単なる精神論ではないのだと思うようになった。

相手を雑に扱わない。物のように動かそうとしない。怖がらせない。こちらの都合だけで引っ張らない。目線を合わせ、呼吸を合わせる。

そういう気持ちで関わると、相手の身体の緊張が抜ける。

緊張が抜ければ、動きは変わる。結果として、介助もラクになる。

「大好き」という言葉は、少し照れくさい。

でも介護のコツは、相手を大事にしながら動かすということなのだと思う。

「引っ張るより支える」ベッドから車いすへの移乗

移乗でありがちなのは、手首や腕を持って引っ張りたくなることだ。

でも、それは危ないし、相手も不安定になる。

大事なのは、手先を引くことではなく、体幹に近いところを意識して支えること。

起こすときも「引っ張る」のではなく、「支えながら起きてもらう」感覚の方がうまくいく。

ここでも、呼吸が大事だ。

いきなり動かすと相手はびっくりする。

一声かけて、目線を合わせて、タイミングを合わせる。

それだけで、動きやすさはかなり違う。

「足先と身体の向き」車いす移乗の基本

これも地味だけれど、大事だと思う。

人は、足先と身体が向いている方向へ動きやすい。

だから、車いすへ移るときは、足先と身体を移る方向へ向けることが基本になる。

逆に足は別の方向を向いたまま、上半身だけひねって移ろうとすると、不安定になる。

介助者も利用者も苦しくなる。

力でねじ伏せようとすると、余計にうまくいかない。

向きを整えて、呼吸を合わせて、一緒に動く。

その方が、ずっと自然だ。

「事故を防ぐための基本」車いす介助のまとめ

車いすは、いまやかなり日常に入り込んでいる。

その一方で、踏切事故のような痛ましい出来事も起きている。

だからこそ、車いす介助は「ただ押す」では足りない。

スピードを出しすぎない。確認を怠らない。止まれる形で動く。

移乗は力任せではなく、目線と呼吸を合わせる。

相手を人として大事にしながら動かす。

自分も最初は、これができなくて大変だった。

体は軽いはずなのに、全然動いてくれない。

でも、やっていく中で学んだのは、車いす介助は力よりも呼吸だということだった。

そしてもうひとつ。うまい介助には、少し愛情がある。