
最近、周囲でも介護の話をよく聞く。
仕事として介護に関わっている人の話もある。
でも、それ以上に多い気がするのは、家族の介護の話だ。
実際、自分の親も要介護を受けている。そうなると、介護は急に遠い話ではなくなる。制度やニュースの話ではなく、今日どう支えるか、そういう日々の話になる。
介護というと、どうしても「大変」という言葉が先に立つ。
実際、その通りだと思う。
気持ちだけで支えきれるものではないし、優しさだけで回るものでもない。
ただ、その一方で思う。
介護は、情報を少し知っているだけで、ずいぶん違うことがある。これまで泣く思いで頑張ってきた人が、道具のことを知っただけで、毎日の介助が少し楽になる。介護される側も、介護する側も、ほんの少し負担がやわらぐ。そういうことは実際にある。
介護が始まると、ベッドで過ごす時間が長くなる人は少なくない。同じ場所で長く過ごすぶん、食事、姿勢、体の向き、手の届く範囲。そういう細かいことが、じわじわ効いてくる。
そんなとき、もちろん声かけは大事だ。
でも、声かけだけではどうにもならない場面もある。体を少し動かしやすくしたり、手元を整えたりする道具を知っていると、それだけで助かることがある。
今回は、家族介護でも知っておくと役に立つ道具を紹介します。
- 「オーバーベッドテーブル」は、ベッドの上の生活を少し楽にする
- 「スライディングシート」は、ベッドの上で体をずらすときに役立つ
- 「ロフストランドクラッチ」は、歩く力を少し支える杖
- 100円ショップや身近な店で役立つものもある
- 介護は、優しさだけでなく道具でも楽になる
- 家族介護でも、知っておく価値がある
「オーバーベッドテーブル」は、ベッドの上の生活を少し楽にする
オーバーベッドテーブルは、ベッドの上で食事をしたり、物を書いたりするときに使う机だ。
少し前かがみになると楽な人にとっては、姿勢を支える助けにもなる。呼吸が苦しいときなどに、この机に寄りかかるような姿勢が楽になることもある。
体を大きく動かすための道具ではない。でも、ベッドの上で過ごす時間が長い人にとっては、かなり大事な道具になる。
移るためではなく、食事や生活をしやすくする。姿勢を少し楽にする。そういう役目の道具だ。
「スライディングシート」は、ベッドの上で体をずらすときに役立つ
スライディングシートは、寝たまま体の位置をずらしやすくするためのシートだ。
ベッドの上で少し上に上げたり、横に寄せたりするときに使う。ほんの少し位置を直したいだけなのに、とても重く感じることがある。そういうとき、この道具があると動かしやすくなる。
抱え上げるというより、滑らせる。そう考えるとわかりやすい。
毎日、力でなんとかしようとすると、介護する側の体が先にもたなくなる。だから、こういう道具は知っておいて損がない。
「ロフストランドクラッチ」は、歩く力を少し支える杖
ロフストランドクラッチというのは、前腕を支える輪がついた杖のことだ。
普通の杖より腕で支えやすく、歩くときや立つときの助けになる。握る力が弱い人でも使いやすいことがある。
ベッドまわりの介助とは少し離れるが「まったく歩けないわけではない。でも不安定」という人には、こういう道具が役に立つこともある。
介護では、全部をしてあげることが正解とは限らない。残っている力を少し支える道具があるだけで、本人の動きやすさが変わることもある。

100円ショップや身近な店で役立つものもある
介護の道具というと、専門的な福祉用具を思い浮かべる人も多い。
もちろん、それは大事だと思う。
ただ、日々の介護を少し楽にするという意味では、100円ショップやホームセンターで買えるものが役に立つこともある。
たとえば、すべり止めマットは足元の不安を減らしたり、物がずれるのを防いだりしやすい。
クッションや、丸めたタオルも体の向きを少し安定させたり、ひじや腰の位置を楽にしたりしやすい。
持ち手つきのかごがあると、ティッシュ、薬、メガネ、リモコンなどをまとめて置ける。探す手間が減るだけでも、介護は少し楽になる。
他にもウェットティッシュや、おしりふきのケース。使い捨て手袋や消臭袋。
こういう細かいものも、毎日の介護ではかなり役に立つ。
介護は、大きな正解ひとつで急に楽になるというより、小さな工夫の積み重ねで、少しずつ楽になることが多い。
だから、身近なものをうまく使う発想も大事だと思う。
介護は、優しさだけでなく道具でも楽になる
介護では、声かけが大事だと言われる。
それは本当にそうだと思う。
でも、現実には、気持ちや根性だけでは支えきれない場面も多い。
少し体をずらしたい。姿勢を楽にしたい。起こしたいけれど重い。必要なものをすぐ手元に置きたい。毎日それを繰り返す。そういうとき、道具を知っているだけで変わることがある。
無理をしなくて済むことがある。本人の怖さが減ることもある。介助する側の腰や腕の負担も減る。結果として、毎日の介護が少し続けやすくなる。
介護は、優しさだけでは続かない。だからこそ、知識や道具が大事になる。
家族介護でも、知っておく価値がある
介護の知識は、介護職だけのものではない。
家族を介護している人にも、これから誰かを支えるかもしれない人にも、役に立つ。
今までは泣く思いで頑張ってきた人も、道具のことを知るだけで、少し楽になることがある。
介護は大変だ。それは、たしかだと思う。でも、大変さの中にも、少し楽にできる工夫はある。そのひとつが、道具を知ることだ。
全部を一気に変えることは難しくても、ひとつ知っているだけで変わる場面はある。
そういう知識は、持っていて損はないと思う。