ツナガレ介護福祉ケア

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成年後見制度が変わる?いま知っておきたい仕組みと費用の話

 

まずは、クイズから。

成年後見人にできないことは、どれでしょうか。

A 本人に代わって預貯金を管理する

B 施設入所の契約をする

C 本人の意思に反して施設入所を強制する

D 福祉サービスの利用契約をする

 

正解は、ブログの最後にあります。

 

 

成年後見人をめぐるニュースが相次いでいる

成年後見人をめぐるニュースが相次いでいます。

2026年1月、法務省の法制審議会の部会は、制度見直しの要綱案をまとめました。

続いて2月12日には、法制審議会がその要綱を採択し、法務大臣に答申しました。

今、成年後見制度そのものが見直しの段階に入ったといえそうです。

今回のポイントは、今の「後見」「保佐」「補助」の3類型を見直して、将来的に「補助」に一本化する方向が示されたこと。

あわせて、必要がなくなれば「終えやすくする」考え方も打ち出されています。

つまり、これまでのように、いったん始まると重く長く続きやすい制度から、本人の意思や必要性に合わせて、支援を個別に決める制度へ変わろうとしています。

制度そのものが大きな転換点にあるといえます。

成年後見制度の見直し案とは

成年後見制度は、今の仕組みでは「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

見直し案では、この枠組みそのものを見直し、より必要な範囲に絞った支援へ変えていく方向が示されています。

なぜか。

守るための制度だったはずなのに、使う側から見ると、少し重すぎたからです。

必要なときだけ支えてほしい。

でも実際には、いったん始まると広く長く関わる。

そんな使いにくさが、現場ではずっと残っていました。

だから今回の見直しは、単なる制度改正ではなく、現場の違和感にようやく手が入る動きとも言えるのだと思います。

そもそも成年後見制度とは何か

そもそも成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって、ひとりで契約や手続きを行うことに不安がある人を、法律面で支える制度です。

預貯金の管理、各種契約、福祉サービスの手続きなどを支えるのが中心で、裁判所も、本人の意思を尊重しながら、法的に保護し支える制度だと説明しています。

とくにニーズが高まっているのが、認知症です。

最高裁判所の令和8年公表資料でも、成年後見関係事件の開始原因として最も多いのは認知症で、全体の約61.3%を占めています。およそ6割です。

成年後見制度が他人事ではなくなってきている背景には、こうした現実があります。

いまは親族より第三者が多い

「後見人」というと、以前は家族の役目という印象が強かったかもしれません。

でも今は、親族以外が選ばれることのほうが多くなっています。

財産管理や相続の問題が複雑になった。

親族どうしの争いを避けるため、中立な第三者が必要になった。

そして何より、後見の仕事そのものが、家族の善意だけでは背負いきれないほど重くなってきた。そんな背景があります。

だから今の成年後見制度は、「家族がやるのが当然」というより、本人にとって誰がいちばん適切かを裁判所が考えて選ぶ制度に変わってきています。

司法書士、弁護士、社会福祉士など専門職が後見人になることも珍しくありません。

ただ、専門職であればそれで十分かというと、そう単純でもありません。

法律や財産管理には強くても、認知症や障害のある人の暮らしまで深く理解していなければ、支援が「お金を管理すること」だけに寄ってしまうことがある。

だから今、制度そのものが見直され、本人の意思をどう守るかが改めて問われているのだと思います。

成年後見人の費用はどのくらいかかるのか

ここで気になるのが、費用のことです。

成年後見人の費用は全国一律の定価ではなく、家裁が事案ごとに決める報酬です。

「報酬額のめやす」では、専門職後見人が行う場合、報酬のめやすは月額2万円。

管理財産額が1,000万円を超えて5,000万円以下なら、月額3万円から4万円。

5,000万円を超えるなら、月額5万円から6万円がめやすとされています。

さらに困難な事情があった場合は、追加の報酬が認められることもあります。単純な案件と難しい案件で報酬も同じではない。そこはある意味で実態に合っています。

最初のクイズの答え

では、最初のクイズの答えです。

正解は、Cです。

本人の意思に反して、施設入所を強制するです。

成年後見人は預貯金を管理したり、福祉サービスの契約を支えることはできます。しかし、本人の意思を無視して住む場所や生き方を決めることはできません。

成年後見制度は、本人を守る制度であると同時に、本人の意思をできる限り尊重する制度でもあるからです。この点は、とても大事です。

まとめ

成年後見制度がニュースになるのは、利用が広がっているからだけではありません。

制度そのものが、いま変わろうとしているからです。

必要な人を守るための制度でありながら使う側から見ると、少し重く、少し使いにくい。そうした現場の声を受けて、国も見直しに動き始めました。

親のこと。自分の老後のこと。あるいは、家族の障害や病気のこと。

成年後見制度は、ある日突然、現実として目の前に現れることがあります。

だからこそ、必要になってから慌てるのではなく、今のうちに制度の基本と限界を知っておく。それだけでも、かなり違うのではないかと思います。

 

参考資料

・法務省「法制審議会民法(成年後見等関係)部会第32回会議」
・裁判所「成年後見人の職務に関する重要な事項」
・裁判所「成年後見人・保佐人・補助人 Q&A」
・裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」
・裁判所「書式・資料編」