介護には知っておくと便利な言葉がいくつもあります。そのひとつが「脱健着患」です。脱健着患は「だっけんちゃっかん」と読みます。
脱健着患とは、病気や麻痺をしている方に洋服を着せるときは「患側側」からが良く、脱がすときは「健側から」にしましょう、という意味です。患側とは麻痺などのあるほう、健側は健康なほうです。
現場で培われた介護の知恵を知ると、ケガをしたときの衣服交換でもつかえます。介護や医療現場で知られている基本的な原則をいくつか紹介します。
補聴器の使い方
年を取ると耳が遠くなります。実家に帰ると、祖父母が大音量でテレビを見ているケースも多いですよね。テレビのボリュームはメーカーにもよりますが、音量18~23くらいが適正な目安とされています。音量30以上で聞いている方は、だいぶテレビの音が聞こえづらくなっています。
補聴器はどちらにつける?
音がきこえにくいと感じたときに便利なのが補聴器です。意外と悩むのが聞こえの良い耳と、悪い耳のどちらにつければよいかです。悪い耳につけてバランスをとりたくなりますが、基本的には聞こえる耳にイヤホンを装着します。
一般的に①耳あな形、②耳掛け形、③ポケット形のタイプに分けられます。マイクは本体に内蔵されていることが多く、音量は補聴器本体で調整が可能です。
使いはじめは雑音を拾いやすく、補聴器に苦手意識を持つ方もいます。雑音を感じられるときは音量を下げたり、専門家に相談して自身に合った補聴器を使うことが大事です。
箱型補聴器の使い方
補聴器を使用する方とのコミュニケーションにはいくつかのコツがあります。
- 環境に気を配る(明るく静かな場所を選ぶ)
- 普通の声の大きさでゆっくりとはっきりと話しかける
- 話しかける際は、相手の正面に回ったり、肩をたたいたりして、聞く準備をしてもらう
- 同時に2人以上が話さない
- 身振り手振りや、表情を変える、大切なことは紙に書くなど非言語コミュニケーションも活用する
筋力低下のスピード
人間の筋力は、1週間の安静臥床(寝ている状態)で10~15%、3~5週間で50%まで低下するといわれています。筋力が衰えると今まで通りに動けなくなり、病気にもつながります。座ったままでもできる運動器具はおすすめです。
歩行障害
障がいの中には、歩きづらくなる症状や種類があります。これらを「歩行障害」といいます。代表的なものに失調性歩行があります。
失調性歩行では、歩幅が一定せず両足を広く離してふらついた歩き方になります。このためステッキ型杖の使用は向いていません。安定を保てるロフストランドクラッチや四点杖といったものを使います。
介助バーの使い方
介助バーとは、ベッドに取り付けられる手すりです。起き上がる時や、車椅子への移乗の際に、介助バーを利用するとラクですし、座位保持がしやすくなります。
スイングアーム
トイレまでの移動が困難になると夜間に、ポータブルトイレを使用することが増えます。この時、便利なのがスイングアーム介助バーです。
スイングアームの介助バーは開閉式です。ベッド柵としても使えますが、ベッドに対しL字型に角度を変える事が出来るので、立ち上がりや移乗をスムーズに行う事が出来ます。
ロフストランドクラッチとは
ロフストランドクラッチは握力の弱い人に便利な移動補助具です。杖に体重をかけた際、テコの原理でブレを防ぐ腕の支えがついています。前腕部支持型杖とも呼ばれ、腕に装着して使用する片手用の杖です。
失調性歩行にもおすすめ
失調性歩行では、歩幅が一定せず両足を広く離してふらついた歩き方になるため、ステッキ型杖の使用は向いていません。安定を保てるロフストランドクラッチや四点杖といったものを使います。
杖歩行
年齢とともに歩行に不安がある方も増えます。不安や心配を感じたときに広く利用されているのが「歩行補助杖」です。
歩行補助杖、いわゆる杖を使うことで安心感や積極性が生まれ、歩く機能の維持につながります。目が悪くなった時にメガネを使用するように、足が悪くなったときは杖を遣えば良いのですが、抵抗感はあるようです。
杖の使い方
杖にもさまざまなタイプがあります。今回は一般的は杖で説明します。まず杖の握り部分は、大転子部の高さで合わせます。大転子部は、足のつけ根の部分です。
歩行介助を行う場合は、基本的に利用者の患側(悪い方の部位)に立って行います。階段を昇る時は杖、健側、患側の順で出します。降りる時は杖、患側、健側と順番が変わります。
まとめ
親の介護が始まると、その先にどんなことが待っているのか不安や心配は募ります。しかし基本的な知識を覚えておくことで介護や介助はラクになります。
もちろん知識だけでは現場では通用しません。知行合一という言葉がありますが、「真の知識とするためには、実際におこない、実践によって裏づけられていなければならない」のだと思います。本日もありがとうございました。