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寂しい?子供の権利と自立とは〜福祉政策の国際比較

 

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子どもは大人の所有物なのでしょうか?

古代・中世においては、子どもは人間として完全な存在ではなく、大人の自由意志で操作できるとされ、いわゆる大人の所有物として捉えられていました。

 

しかし近代に入ると、多くの学者や思想家が児童を大人とは異なる固有の存在として捉えるようになります。

 

この記事では子供の捉え方と歴史的な動きを簡単に紹介していきます。

 

 

 

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ルソー「小さな大人」ではない子供とは

 

「子どもは大人の所有物ではない」と主張し、子どもの発見者といわれるのが、ルソーです。

 

ルソー以前のヨーロッパでは、子供は「小さな大人」だと見なされていました。

 

大人が持っている知性や理性、能力などが最初から備わっているとして教育の話がされてました。

 

例えば肖像画でも大人をそのまま小さくした子供が描かれていたのです。

 

ルソーは、著作「エミール」の中でそうではないと指摘しました。

 

子供は大人とは違う存在であり、子供独自の世界を持っていると主張したのです。そして子供は本質的に善い存在だと考え、大人になるうちにいろいろ悪いことを染まっていくのだと考えました。

 

20世紀にはいると、教育学者エレン・ケイが「20世紀は児童の世紀なり」と語り、子どもの成長や発達を優先した学校改革の必要性を叫びました。

 

「児童権利宣言」簡単な内容とは

 

1959年、児童固有の人権宣言である「児童権利宣言」が採択されました。

 

子どものちゃんとした権利が確保されたのは、今から60年前です。

 

さらに、そのあとの「児童の権利に関する条約」が国連で採択されるまでには30年ちかくかかりました。

 

1989年に採択された「児童の権利に関する条約」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するもので、日本は1994年に批准しました。

 

この条約の最大の特徴は、子供の市民権及び政治権にも踏み込んだところです。

 

コルチャックと子供の権利

 

子どもは家族や社会に保護される存在だけではく、自ら積極的に主張し、自らを守る(セルファドボカシー)という新たな児童観への転換がなされました。

 

この条約に関わりがあるのがポーランドの医師、ヤヌシュ・コルチャックです。

 

コルチャックは子供は「親との関係を絶対的に対等とみること」「すべて自分で決める権利があること」という2つの基本理念を提唱しています。

 

子どもは、守られる存在だけでなく、主体的な存在であると主張しました。

 

福祉政策の国際比較

 

障害福祉をめぐる動きは2001年に大きく変わります。

 

国際障害分類(ICIDH)が、環境との相互作用に着目した国際生活機能分類(ICF)へと改定されました。

 

欧米での福祉政策に大きな影響を与えたのが、かのエリザベス救貧法です。

 

イギリスの女王の名前の付いた法律は、個別で不統一なままに実施されていた救貧行政の体系化を図るために制定されました。

 

かなりインパクトのある法律でした。

 

児童を対象とした活動では1870年に先駆的な孤児院を開設した、イギリスのトーマス・ジョン・バーナードさんが有名です。

 

明治の代表的な社会事業化、石井十次さんに影響を与えました。

 

 

アタッチメント(愛着)理論とは?

 

イギリスの精神科医、ジョン・ボウルビィさんがアタッチメント(愛着)理論を叫びました。

 

愛着障害の子どもは成人してもお試し行動をしたりします。

 

乳幼児は、アタッチメント(愛着)の形成において、きわめて重要であり、親と離れて孤児院などで育てられた子どもは、心理面に大きな影響を受けるというものです。

 

その理論はあとになって「母性剥奪論」(マターナルデブリベーション)として有名になります。

 

福祉のエンパワメントとストリングス

 

児童家庭福祉の理念として注目されているのが「自立」の概念です。

 

なかでも重要視されているのが、①自己を強化すること(エンパワメント)、②自分の強みを発揮されていること(ストリングス)、③自己決定能力の向上を図ることです。

 

これは大人の自立としても同じことがいえそうです。

 

 

障害児保育で大切なこと

 

最後になりますが、障害児保育についても触れたいと思います。

 

障害児保育はデンマークが発祥の地です。

 

ノーマライゼーション運動の影響を受けて世界に広がりました。

 

保育や教育の現場で障害があるないにかかわらず、同じ集団の中で育つ、統合型の志向をインテグレーションと言います。

 

さらにインテグレーションに代わる概念として、専門性を否定せず、個々の必要性に応じた支援の手立てを講じつつ、ともに成長発展することを保障しようとする考え方が、インクルージョンです。

 

 

まとめ

 

一昔前は、「大人の所有物」として捉えられていた子供は、近代になって受動的な権利と同時に、能動的な権利を有する存在になりました。

 

しかし今の日本はどうでしょう。

 

9月入学など大人の都合ばかりで、子供の権利について議論されているでしょうか。

子供や親は、もっと声を上げてよいと思うのです。そして行政がその手助けをすべきではないでしょうか。

 

本日もありがとうございました。

 

 

 

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