ツナガレ介護福祉ケア

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児童虐待が122倍に増加した理由と対策~ツナガレケア

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急増する児童虐待

児童虐待が急増しています。児童相談所が受け付けた児童虐待の件数は、1990年に1101件でしたが、2017年には13万3778件と約122倍にふくれあがっています。なぜ日本でこんなに児童虐待が増えているのでしょう。

児童虐待の理由とは

ニュースでも報じられる児童虐待の事件。子どもを虐待する背景として指摘されているのが「親の育児の孤立化」や「負担感の増大」です。文献調査を行うと、子育て期の母親の育児ストレスは高く、そのことが虐待を引き起こしている一因になっていることも指摘されています。

両親の離婚との因果関係

乱暴にいえば、離婚率の上昇も子供の虐待増加に関係していると思います。日本の家庭のかたちは今、徐々に変容しています。厚生労働省の人口動態統計によると、離婚件数は1983年に約18万組と最大になります。その後、微減もしくは横ばいでしたが1991年から再上昇して、2016年には約22万組となりました。

最近よく聞くのは、連れ子への虐待です。親の新しい恋人や再婚相手が連れ子に虐待するケースも聞きします。DVなど夫の暴力とそこから逃げてくる母子の保護も社会問題化しています。

社会の変化

子供や家庭を取り巻く具体的な変化として、①社会・経済の変容、②家庭の外形的及び質的な変容、③子ども及び親の変容が指摘されています。

社会の変化をみても、2030年の推計では0歳~14歳までの年少人口割合は10.3%。これに対し65歳以上の老齢人口割合は31.6%になるとされています。未来では、65歳以上で子どものいない方も多くなると推察されます。

社会においての価値観の変化は、時に格差や排除、差別を生みだす危険性もあります。そこでのストレスやプレッシャーが児童虐待へとつながる可能性もあります。

女性の社会参画

女性の積極的な社会参画で、働く女性は増えています。しかし日本では出産後に会社を辞めて、その後パートやアルバイト、派遣として働く方が多いです。その理由には育児休業の取得や所得保障、保育サービスなど仕事と育児を両立させるために社会の仕組みは不十分ということもあります。出産後も子育てを十分にできる環境を整えることが、児童虐待という不幸を防ぐ対策にもなると考えられます。

育児休業の上手な取り方

育児休業制度では「労働者は申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。一定の場合、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができます。」と明記されています。

育児休業制度を利用する場合、申出に係る子の氏名、生年月日、労働者との続柄、休業開始予定日及び休業終了予定日を明らかにして、1歳までの育児休業については、休業開始予定日から希望通り休業するには、その1か月前までに申し出る必要があります。また、1歳から1歳6か月までの育児休業については、休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには、その2週間前までに申し出ます。

まとめ

社会においての価値観の変化は格差や差別へとつながり、弱い子供への虐待を生む危険性もあります。そこで求められているのが「社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)」という対策です。

児童福祉法では「互助」を前提に、地域の互助で対応できない子どもを「要保護児童」として、保育所や養護施設などに入所させて福祉を図ると定めています。しかしこのような対策や法律をどれほどの人が知っているでしょうか。行政がもっと積極的に支援の手をさしのべることが児童虐待の防止へとつながるように思います。

本日もありがとうございました。