障害のある方が、ひとり暮らしをはじめたい時に役立つのが、生活の困りごとを解決してくれる「自立生活援助」というサービスです(2018年4月1日施行)。
食事や洗濯、掃除などの家事だけでなく、体調やお金の管理、ご近所付きあいのアドバイスもしてくれます。
障害があっても独立して暮らせる「当たり前」のことが、日本ではまだまだ遅れてします。しかし、こうしたサービスは大きな手助けになります。
自立生活援助とは
自立生活援助とは、ひとりで生活したい障がい者に、ソーシャルワーカーなどの支援者が、生活の困りごとを聞いて解決するサービスです。
支援者は、月2回以上の家庭訪問をします。トラブルが起きたときにアドバイスをしたり、医療機関との連絡や調整をしてくれます。
厚労省は自立生活援助を次のように説明しています。
集団生活ではなく賃貸住宅等における一人暮らしを希望する障害者の中には、知的障害や精神障害により理解力や生活力等が十分ではないために一人暮らしを選択できない者がいる。
一定の期間にわたり、障害者の理解力や生活力等を補う観点から、適時のタイミングで適切な支援を行うサービスとして、自立生活援助が新たに創設された。
サービスの主な内容
自立生活援助は、障害者総合支援法の「訓練等給付」に含まれるサービスです。ルールは国が定めています。
- 定期的な巡回や通報を受けての訪問
- 食事、洗濯、掃除などの確認
- 公共料金や家賃に滞納の確認
- 体調の変化、通院の確認
- 地域住民との関係
- 必要な情報の提供や相談、医療機関等との連絡調整
- その他、環境整備に必要な援助
(厚生労働省資料を元に作成)
誰が利用できるのか
対象は、施設や病院、自宅を出てひとり暮らしをはじめた障がい者。すでに独立している人も含まれます。
【自立生活援助の対象者】
- 障がい者施設やグループホーム、病院などから地域での一人暮らしに移行し、理解力や生活力などに不安がある人
- 現在ひとり暮らしで、自立生活援助が必要な人
- 障がい、疾病などの家族と同居し、家族の支援が見込めず、実質的に一人暮らしと同様の状況であり、自立生活援助が必要な人
(厚生労働省資料を元に作成)
上記以外も対象の可能性はあるので、行政や相談支援事業所に確認しましょう。
利用できる期間・年齢
サービスは1年ごとの更新が必要です。利用年齢の制限はありません。市町村が必要性を認め、審査会で認められた場合は、利用を延長することもできます。
どうすれば利用できるのか
まず市町村の福祉窓口に相談をします。そして「サービスの利用申請」「サービス等利用計画の作成」「市町村の支給決定と受給者証の受け取り」の3つの手続きをすすめることになります。
この手続きは、スムーズにいって1ヶ月ほどかかります。
気をつけたいのは、受給者証が発行されたからといって、自動的にサービスが使えるわけではありません。サービスを提供している事業所を探して、契約が必要です。
どの事業所と契約をするかは自分で選ぶこともできます。担当者と会って、雰囲気を確認したり、どんなサービスを受けられるのか話を聞くことは大切です。
よくある疑問と答え
自立生活援助サービスのよくある疑問とその答えです。
Q.部屋の片づけが出来ずに困っています。片づけをしてくれますか?
自立生活援助はヘルパーサービスではないので片づけはしません。
Q.月に何回くらい訪問に来てくれますか?
実際の運用は市町村ごとに異なります。月に5回まのところもあれば、10回まで使えるところもあるようです。
Q.サービスを利用したいのですが、窓口でどう伝えればいいですか?
住んでいる地域の福祉窓口で「ひとり暮らしのサポートを必要としています。自立生活援助サービスを利用したいので方法を教えてください。」と伝えましょう。
まとめ
障がい者の一人暮らしは、簡単ではありません。これまで家族や支援者がしていたことを自分一人で全て行うことは難しいです。
だからといって自分が希望する生活を諦める必要はありません。実際に、障がいがありながらも、自立した生活を送っている方は増えています。
社会福祉のサービスも多様化しています。ぜひ、専門家に相談して使えるサービスは使うことをおすすめします。
本日もありがとうございました。