合格率5%!?
保育士試験の合格率は20%といわれています。そのうち一発で合格する確率は5~10%と聞きました。よく合格したなあ・・・と自分でも驚いています。保育士試験でやったのはただひとつ。過去問を30分間、毎日解くことです。ただし、やり方を間違えないこと。間違った勉強を続けるほど時間の無駄はありません。
まずは間違えやすい問題をピックアップ。保育士試験は9科目と範囲が広いので効率的に解くことが重要です。今回は科目のひとつ「こどもの家庭福祉」を取り上げます。
- 合格率5%!?
- 子どもの家庭福祉は難しい?
- 障害児通所支援(平成31年前期)
- 児童に関する法律(平成30年前期)
- 保育の現状(令和元年後期)
- 児童福祉の法律(平成31年前期)
- 条約、条例問題(平成29年前期)
- 児童福祉法(平成30年後期)
- 児童家庭福祉の担い手(平成27年)
- まとめ
子どもの家庭福祉は難しい?
上の写真は、科目の結果です。子どもの家庭福祉は70点でした。自分としては手ごたえを感じていたので、少し低かったな……というのが正直な感想です。この科目も専門用語が多く出てくるので戸惑いがちですが、問題文をよく読めば、常識的に解ける問題も多いです。例えばこんな問題。〇か✕、どちらでしょう?
「子ども・子育てビジョン」において、基本的考え方の一つとして、すべての子どもの生きる権利、育つ権利、学ぶ権利が等しく確実に保障されることを目指すと謳っている。
正解は〇です。子ども・子育てビジョンは「社会全体で子育てを支える」との考え方です。そうした理念から「すべての子どもの生きる権利、育つ権利、学ぶ権利が等しく確実に保障されることを目指す」と謳っています。このように常識的に考えれば分かることも多いです。その中でも、間違えやすい問題をまとめてみました。
障害児通所支援(平成31年前期)
次のA~Eは、障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費によって給付が行われる障害児通所支援に関するものである。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 放課後等デイサービス
- B 児童発達支援
- C 居宅訪問型保育事業
- D 児童自立生活援助事業
- E 保育所等訪問支援
A |
B |
C |
D |
E |
|
1 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
2 |
〇 |
〇 |
× |
× |
〇 |
3 |
〇 |
× |
〇 |
× |
× |
4 |
× |
〇 |
× |
× |
〇 |
5 |
× |
× |
× |
〇 |
〇 |
正解と解説
正解は2です。障害児通所支援は制度がややこしいです。放課後デイは通所のイメージがあるので、これはマルです。世帯所得約900万円までのご家庭の利用料金は、1割が自己負担です。
Bの児童発達支援がくせ者です。障がいのある子どもを通所させて、日常生活における基本的動作の指導などを行います。小学校就学前の6歳までの障がい児が主に通います。こちらも通所給付です。
Cの居宅訪問型保育事業は、通所支援には含まれません。居宅訪問型保育事業は利用者の自宅に居宅訪問型保育者を派遣し、1対1の保育を提供する事業です。こちらは地域型保育給付です。
Dの児童自立生活援助事業も障害児通所支援には含まれません。児童自立生活援助事業は自立援助ホームと呼ばれ、共同生活を営むべき住居における相談や、日常生活上の援助や支援を行います。
Eの保育所等訪問支援は、通所支援となります。この支援は発達に気がかりなところがある児童への支援事業として専門スタッフが保育園等に訪問するサービスです。
集団生活に加わりながら、児童本人への「直接支援」と該当施設のスタッフへ「間接支援」を提供します。保育所等訪問支援は、児童福祉法第6条の 第2種社会福祉事業で、平成 24 年の児童福祉法改正で創設された新しいサービスです。児童発達支援や放課後等デイサービスと同じ「障害児通所支援」の一類型です。
児童に関する法律(平成30年前期)
次の文は、児童に関する法律等についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」は、特に経済的に厳しいひとり親家庭の子どもに対する現金給付に関して定めている。
- B「児童福祉法」は、障害児相談支援給付費及び特例障害児相談支援給付費の支給に関して定めている。
- C「児童手当法」に基づく児童手当は、児童を養育している者に対して支給される。
- D「発達障害者支援法」は、成人以降の発達障害者支援を対象とした法律であり、発達障害児支援に関しては「児童福祉法」に規定されている。
A |
B |
C |
D |
|
1 |
○ |
× |
○ |
× |
2 |
○ |
× |
× |
○ |
3 |
× |
○ |
○ |
× |
4 |
× |
○ |
× |
× |
5 |
× |
× |
○ |
○ |
正解と解説
正解は3です。Aは✕です。ひとり親家庭に対する現金給付は、児童扶養手当や、母子家庭等自立支援給付金や母子父子寡婦福祉資金貸付金制度等が該当します。「特別児童扶養手当」は、精神または身体に障害を有する児童について支給されるものです。
Bは〇です。障害児通所給付費、特例障害児通所給付費は、児童福祉法第21条に規定されています。給付の内容として、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援があります。
Dは✕です。発達障害者支援法の対象は18歳以上の発達障害者だけでなく、18歳未満の発達障害児も含みます。
保育の現状(令和元年後期)
次の文は、多様な保育に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A:「平成30年版 少子化社会対策白書」によると、おおむね午後10時頃まで開所する夜間保育所に対して必要な補助が行われており、2017(平成29)年度の実施ヵ所数は約80ヵ所である。
- B:企業主導型保育事業とは、「企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設や、地域の企業が共同で設置・利用する保育施設に対し、施設の整備費及び運営費の助成を行う事業」をいう。
- C:病児保育事業とは、保育を必要とする幼児以下を対象とし、疾病にかかっているものについて、保育所、認定こども園、病院、診療所その他施設において、保育を行う事業をいう。
A |
B |
C |
|
1 |
○ |
○ |
○ |
2 |
○ |
○ |
× |
3 |
○ |
× |
○ |
4 |
× |
○ |
○ |
5 |
× |
× |
× |
正解と解説
正解は2です。Cはバツです。病児保育事業の対象には一定の学齢児も含まれていて、保育を必要とする幼児以下に必ずしも限定していません。
児童福祉の法律(平成31年前期)
次のA~Eは、児童福祉に関する法律である。これらを制定年の古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 児童扶養手当法
- B 児童福祉法
- C 母子保健法
- D 児童手当法
- E 社会福祉法
- B→E→A→C→D
- B→E→D→A→C
- C→B→E→D→A
- E→B→C→A→D
- E→B→D→A→C
正解と解説
正解は1です。こららは何度も解きながら、暗記するしかありません。年代と法律は次のとおりです。
- A 児童扶養手当法は1961年に制定。
- B 児童福祉法は1947年に制定。
- C 母子保健法は1965年に制定。
- D 児童手当法は1971年に制定。
- E 社会福祉法は1951年に制定。
条約、条例問題(平成29年前期)
次の文は、第二次世界大戦後の児童家庭福祉に関する条約、法令等についての記述である。年代の古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 「戦災孤児等保護対策要綱」の決定
- B 「サンフランシスコ講和条約」批准
- C 「児童福祉法」の制定
- D 「日本国憲法」の公布
- E 「少年法」の制定
1 |
A→D→B→C→E |
2 |
A→D→C→B→E |
3 |
A→D→C→E→B |
4 |
D→C→A→B→E |
5 |
D→C→A→E→B |
正解と正解
正解は3です。戦争孤児保護は、1945(昭和20)年ともっともはやく決定しました。サンフランシスコは、1951(昭和26)年。少年法が1948年と早いです。ここが間違えやすいです。
サンフランシスコ講和条約が戦後すぐのイメージがありますが、やはり国内の法整備が急がれました。戦後孤児をまず守り、次に日本国憲法。児童福祉法と続き、少年法を制定してから、国際講和条約を批准したのが歴史変遷です。
児童福祉法(平成30年後期)
次の文は、「児童福祉法」第2条の一部である。(A)~(D)にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
全て(A)は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その(B)が尊重され、その(C)が優先して考慮され、心身ともに健やかに(D)されるよう努めなければならない。
A |
B |
C |
D |
|
1 |
国民 |
意見 |
最善の利益 |
育成 |
2 |
国民 |
選択 |
最善の利益 |
養育 |
3 |
保護者 |
選択 |
自立 |
養育 |
4 |
保護者 |
意見 |
自立 |
育成 |
5 |
保護者 |
意見 |
最善の利益 |
援助 |
正解と解説
正解は1です。児童福祉法は、「児童の権利に関する条約」に則って作られています。人間の権利は、大人も子どもも関係なく重要であるということです。
児童家庭福祉の担い手(平成27年)
次の文は、児童家庭福祉の担い手についての記述である。誤ったものの組み合わせを一つ選びなさい。
- A 母子・父子自立支援員は、母子生活支援施設に配置され、母子・父子の自立にむけた生活支援を行う。
- B 児童自立支援専門員は、児童自立支援施設に配置され、個別の児童自立支援計画に基づき、児童の生活指導、職業訓練、学科指導、家庭環境調整を担う。
- C 児童生活支援員は、虐待を受けた児童等の施設入所の増加に対応するため、個別の対応が必要な児童への対応、保護者等の援助等を行う。乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設に配置される。
- D 家庭支援専門相談員は、ファミリーソーシャルワーカーともよばれ、乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設に配置される。
- E 家庭相談員は、都道府県または市町村が設置する福祉事務所の家庭児童相談室に配置される。
1 |
A |
B |
2 |
A |
C |
3 |
B |
D |
4 |
B |
E |
5 |
C |
D |
正解と解説
正解は2です。Aは福祉事務所等に主に非常勤として配置されています。Cは個別対応職員の説明です。
まとめ
子どもの家庭福祉は、法律問題をどこまで理解しているかがカギかもしれません。ただ、問題文をよく読めば、明らかに間違いの問題もあります。まずは問題を読むことに慣れることが合格の近道かもしれません。本日もありがとうございました。