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<体験記>在宅での介護「胃ろう」とは?ヘルパーが気をつけるコト

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 重度訪問介護では利用者さんに「胃ろう(経管栄養)」を行うことがあります。

 

胃ろうとは、身体機能の低下などによって口から食事をすることが難しくなった方に、胃から直接、栄養を摂ってもらう医療措置です。

 

これは介護職であっても資格がなければ行うことができません。

 

僕は「たんの吸引等の実施のための研修(特定の者対象)」を受講し、実施研修を受けたのちに行えるようになりました。
 

この資格は特定の利用者さんのみに「胃ろう」が行える資格です。今回の手順や方法などは喀痰吸引等研修テキストをベースに自身のケースも加えながら書いています。

 

 

カテーテルの種類とは

 

胃ろうカテーテルにはいくつかの種類があります。

 

チューブが長くついているタイプをチューブ型、チューブがないタイプはボタン型です。今回はボタン型で解説します。

 

ボタン型は専用のチューブを介して栄養ラインをつなぎます。

 

記録を確認

 

まずは、利用者さんの前回の記録を確認します。

 

確認としては、嘔気や嘔吐、下痢、熱、意識状態などです。同時に医師や訪問看護師の指示がないかもチェックします。

 

衛生面には気を付けて、必ず手指消毒後に作業を行います。コロナ対策としても外から細菌等を持ち込まないように配慮しています。

 

流水と石鹸での手洗いですが、「アルプス一万尺」を一曲歌うくらいが良いとされていますね。

 

 

必需品

 

利用者さんによって胃ろうで準備するものは異なります。今回は自身の体験記としての手順や方法を記しています。使用する器具は以下のものです。

 

  • 注入ボトル
  • 栄養チューブ(長い)
  • 接続チューブ(長い)
  • シリンジ
  • 手袋
  • 白湯
  • 栄養剤

 

その他、常備品などが用意されています。

 

 

 

 

事前準備

 

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胃ろうの際には、利用者本人の意思や体調の確認をします。

 

僕自身は訪問した際のあいさつで声のトーンや明るさなどをチェックしています。

 

また体温や腹部症状も確認して、いつもと違う感じではないかを見ます。

 

胃ろうでは、利用者の意思と同意の確認も大切だと教わりました。現場ではついついルーティンになってしまい忘れてしまうこともあるので気をつけています。

 

それが終わると必需品の確認です。

注入ボトルは清潔であるか、乾燥しているかーなどの確認をします。

 

栄養剤は種類、量を見ます。栄養剤は常温であることが原則ですが、利用者さんの家庭のやり方に従う方が良いそうです。

 

ただし冷蔵庫から取り出したものや冷たい食品は避けなければなりません。また、好みによって湯煎する場合もあるので温度には気をつけています。

 

ここらへんは利用者さんとの話し合いで決めています。

 

体位の調整

 

利用者さんの体位を30度、または90度坐位にします。

 

車椅子やソファーに移乗するケースもあるようですが、僕が担当する利用者さんの場合は、本人の意思で体位を決めていきます。

 

注意点としては胃食道逆流、それに引き続く誤嚥予防のために体位を整えることが大事です。

 

頭を高くしたときには、顔色は蒼白になっていないかの観察をします。もし変わったことがあれば気分を聞いて、望む体位に変えるようにしています。

 

注入中しばらくは同じ体位になるので坐位の安楽には気を遣います。

 

栄養剤の目的は

 

 

注入内容を確認して、栄養剤を用意して注入ボトルにいれます。

 

チャンバー(滴下筒)には半分くらい満たして、滴下が確認できるようにします。まず注入用ボトルのチューブについているクレンメを閉めます。

 

 

空気が十分、抜けたところでクレンメを閉じます。次に指示量を確認して、不潔にならないように栄養剤を入れます。

 

注入用バッグをつるして、チャンバーを指でゆっくり押しつぶして、3分の1から2分の1程度に栄養剤を充填します。

 

チャンバー内の滴下の様子が確認できるので、速度も調整可能になります。

 

 

 

 

 

クレンメとは

 

クレンメをあけて、経管栄養セットのラインの先端まで栄養剤を満たします。そしてクレンメを閉じます。

 

これはチューブ内に残っている空気が胃袋に入らないようにするためです。その際にも、チューブ先端が不潔にならないように注意します。

 

 

チューブの注意点

 

胃ろうのチューブに破損や抜けがあってはダメです。

 

胃ろうから出ているチューブの長さに注意しながら、抜けている場合は医療関係者に連絡します。

 

胃ろう周囲の観察も大事です。

チューブの破損をはじめ、ボタン型ではストッパーが皮膚の一か所へ食い込んで圧迫がないかなどを確認します。

 

皮膚が赤くなっている場合は本人にも伝えます。

 

声かけ

 

胃ろうカテーテルをつなぐときは、利用者本人に声掛けをしながら行います。

 

その方がお互いに安心します。ただ違う話で盛り上がってしまうこともあるので注意が必要です。

 

ボタン型胃ろうカテーテルに連結した接続用チューブの栓を開けて、胃内のガスの自然な排出を促します。

 

栄養剤を所定の位置につるして、胃ろうチューブと注入用ボトルのラインを接続します。

 

 

滴下とは

 

クレンメをゆっくり緩めて滴下します。

 

滴下の所要時間は利用者さんと確認しながら、30~60分の間で行っています。エンシュア1缶に対して1時間以上だとゆっくり過ぎるかもしれません。

 

注入中は、胃ろう周辺から栄養剤の漏れがないかを確認します。

 

体位によって注入速度が変わるので体位を整えた後には必ず滴下速度を確認しています。

 

異常がないかの確認

 

注入中は異常がないかを見ています。

 

息切れや顔色、意識の変化などです。これらの症状があるときは速度を落として様子を見たり、いったん投与を中止します。

 

血圧が測定できる場合は測定して、家族や医療者に連絡を取り対処をあおぐ必要もあります。

 

食事中は話が弾みますが、できるだけリラックスできるようにして他のケアはせずに見守るようにしています。

 

これは厚労省でも推奨しています。

 

終わったら白湯

 

栄養剤の注入が終わったらクレメントを閉じて、経管栄養セット側のチューブを外します。

 

次にカテーテルチップ型シリンジで、胃ろうチューブに白湯を流します。

 

胃ろう側のチューブ内での最近増殖を予防する目的で、食酢を10倍程度に希釈して、カテーテルチップ型シリンジで胃ろう側に少量、注入する方法もあります。

 

ボタン型は、専用接続チューブをはずして栓をします。

 

注入がおわったら呼吸状態、意識、嘔吐などがないか注意します。何事もなければ後片付けをして記録をつけます。

 

以上、かんたんでしたが経管栄養(胃ろう)の手順でした。

 

経管栄養(胃ろう)は技術や手順も大事ですが、なにより利用者さんとのコミュニケーションが重要だと思っています。

 

本日もありがとうございました。

サトシでした。

 

 

 

 

 <参考>

喀痰吸引等研修テキスト・第三号研修(特定の者対象) 厚生労働省