ツナガレ介護福祉ケア

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障害児・者の食事介助で気をつけたいポイントは?食品や調理方法、簡単な誤嚥対策法~ツナガレケア

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障害のある方の食生活と留意点

障害のある方の食生活には症状に応じた配慮が必要になります。もちろん好きな物を自由に食べていただくことは大切です。その上で介助者が知っておきたいポイントがいくつかあります。

重症心身障害児

重症心身障害児とは、重度の知的障害と肢体不自由が重複している子どもをさします。原因は様々ですが、東京都の福祉保健局が出生前の原因として挙げているものには、①胎内感染症、②脳奇形、③染色体異常などがあります。また出生時や新生児期の原因としては、①分娩異常、②早産、③極低出生体重児、④超低出生体重児、⑤重症仮死、⑥低酸素、⑦脳内出血などによるものがあります。

食事介助のポイント 

重症心身障害児の食事では、摂食機能の未発達や不正咬合、まひなどによる咀しゃく、嚥下が困難である場合があります。上肢、下肢のまひや筋緊張によって食べる行為が難しいケースも多いです。咀嚼(噛み砕く機能)や嚥下(飲み込む機能)に障害がある方もいますので、きざみ食、とろみ食、ミキサー食などの介護が必要になります。

摂食機能を発達に導くためのポイントもあります。まず発達の程度に合わせた調理形態や食品の選択が重要です。食べものの硬さ、大きさ、粘性などが子どもの発達程度にあっていないと摂食機能発達の妨げとなったり、誤嚥などにつながることがあるからです。

口唇裂の特徴

口唇裂には様々な程度があります。「裂」と呼ばれる割れ目の長さによって、口唇のみの不全唇裂と、鼻孔の中まで裂のある完全裂とに分類されます。口唇裂の場合、乳汁を上手に吸うことができないために、むせたり、鼻からもれてしまいやすいです。嚥下機能に障害がある場合は、決して摂食を急がせず、おちついて食べることを心がけます。食べ物の温度に配慮することは、火傷防止につながります。

摂食や嚥下が難しい方にとって、もちや固ゆで卵、ごぼう、海苔等は食べにくい食品です。こうした食品は圧力鍋などを利用してやわらかく煮たり、ミキサーやフードプロセッサーなどを使って裏ごしやペースト状にするなどの工夫をすると、食べられる食品の幅が広がり、食体験を豊かにすることができます。

はじめにお茶や汁物

食事介助では、初めに口腔内を少量の水分で湿らせることによって、唾液分泌を促します。唾液の分泌が促進されると嚥下がしやすくなり、誤嚥を防ぐ効果もあります。その後は、利用者のペースに合わせて食事を進めていきます。特にみそ汁のような味の付いた汁物を最初に摂取すると唾液の分泌を促すので、スムーズに食事が摂れるようになります。

主菜や副菜は交互に食べる方がよいです。同じ味付けのものばかり食べ続けては、食事に飽きてしまう可能性もあります。全介助の場合は、一口ごとに飲み込みを確認します。介助中は、飲み込みなどの確認(一口ごと飲み込んでいるか)も必要なため、相手の顔が見える位置から行います。

脳性まひの食事介助

脳性まひの場合、姿勢を保持することが困難であることが少なくありません。手や指が思いどおりに動かせないため、自分で食べることが難しいです。座位保持が難しい場合は福祉用具の検討も必要かもしれません。口唇でうまくスプーンの上の食べものを取り込めない場合は、スプーンは浅いものがよく、摂食機能が高まるにつれて、だんだんと深さを増していくようにします。

 

 

座位不安定の対処法

座位が不安定で車椅子を使用している方には、誤嚥を防ぐために頭が後屈しないように配慮します。こちらも福祉用具の使用も検討します。食事中と食事後の数十分間は背もたれを動かすことのできるベッドや椅子などを使って少しでも上体を起こし、胃に入った食べものが食道に逆流することのないように気をつけます。

少し話が逸れるかもしれませんが、食事の基本には健康な歯の存在があります。歯の健康状態については、常に保護者との連携が必要です。食後の歯磨きも大切な介助です。高齢者は腸蠕動運動が低下しやすいため、便秘傾向になる可能性があります。根菜類は食物繊維が豊富ですから、積極的に取り入れて腸蠕動運動の向上につなげましょう。

体調不良のときは…

障害がなくても、子どもが体調不良になった時に気をつけたいポイントがあります。一般的に母乳栄養児の便は、軟らかく1日10回ぐらい出ることもあるとされています。離乳期の子どもの下痢が落ちついて食事を再開する場合には、子どもの様子をみながら、徐々に元の食事形態に戻すことが基本です。

また、口内炎、手足口病など口腔内に痛みがある時には、舌触りのよい滑らかなものを提供します。下痢によって脱水にならないように、嘔吐や吐き気がなければ、湯ざましやお茶などを少量(おちょこ1杯程度)ずつ、こまめに与えます。

下痢のときは…

下痢が治まるまで乳製品や食物繊維が多い食品は控え、消化の良い物(おかゆ、野菜スープ、短く刻んだ煮込みうどんなど)を少量ずつゆっくり与えるとよいです。野菜スープの上ずみ、みそ汁の上ずみ、重湯などは消化管に対する負担が少ないそうです。

肉類は消化しにくく腸を刺激するので、疾病および体調不良の状態にある子どもへは控えたほうがいいです。嘔吐がある場合には、様子を見ながらですが母乳は与えてもよいとされています。

子どもの食事に気を遣われている保護者は多いと思います。今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。本日もありがとうございました。

 

<参考>

 

・東京都福祉保健局