フランスの保育サービスとは
モンサンミッシェル、凱旋門、ヴェルサイユ宮殿で有名なフランス。
芸術とファッションの魅力あふれるフランスでもフルタイムで働く女性は多くいます。
こうした人々のニーズにこたえるために保育サービスも充実しています。
今回はフランスを軸に、欧米の保育サービスを紹介します。
クレシュと呼ばれる保育所
フランスには、La crèche( ラ・クレシュ)と呼ばれる保育所があります。
クレシュとは、イエスキリストが馬小屋で生まれたときに入っていた家畜の藁などが入っていた秣(まぐさ)桶のことです。フランス語では「保育園」や「託児所」という意味です。
クレシュでは、幼稚園に上がる前の子どもを両親が仕事をしているあいだ預かります。保育所は3歳未満が対象です。
2002年の資料によると、クレシュには約18.2万人が入所していますが、3歳未満の人口(約227万人)に対する割合は8.0%と低いです。フランスの保育所によるサービス提供体制は十分ではないといえます。
フランスの家庭型保育サービス
フランスにはクレシュの他にも、一時託児所(Les Halte-Garderie)や2歳から入所できる保育学校(Ecole maternelle)があります。
こうした通所型の保育サービスがある一方、フランスで発達しているのが、在宅での保育サービスです。その代表が認定保育ママ(Assistantes maternelle)制度です。
34万人「認定保育ママ」とは
フランスの認定保育ママとは、自宅でサービスを行う保育者のことです。一定の要件を備えた人が保育ママの登録をしています。
県政府への登録者数は34.2万人で、このうち就業している者は25.8万人に上ります。日本の保育所で働いている保育士は、平成25年時点で約41万人なので、これはかなりの数字です。
フランスでは、この認定保育ママが現在の保育需要の約7割を担っています。システムについて簡単に説明します。
認定保育ママのシステム
認定保育ママを雇用するのは、子どもの親である利用者です。利用者は、認定保育ママの賃金や社会保険料を負担します。少しベビーシッターと似ています。
ただし、認定保育ママに支払われる費用は「乳幼児迎入れ手当」から補助されます。フランスでは6歳未満の子どもの保育費用など、税制を通じた支援も積極的に行われています。
まとめ
日本では乳幼児は保育園で養育することが当たり前ですが、海外に目を移すと景色はガラリと変わります。
フランスでは保育園よりも、認定保育ママの活躍が目立ちます。わかりやすく言うと、ベビーシッター制度を国が推進しているという感じでしょうか。たしかにマンツーマンでの養育は子供にとってもメリットが多いように思います。
日本では保育士の資格を持っていても、現場で働いていない方が多いです。結婚や出産、離職などの理由がありますが、待機児童問題解消にむけて力を借りれたら心強いです。
その方法のひとつが、フランスのような認定保育ママ制度かもしれません。子育てもひと段落した保育士資格を有する方が、子育て家庭に訪問して養育する。こうしたスタイルは子どもの愛着形成においても意義があります。
古今東西、さまざまな保育制度がありますが、既存のルールにこだわらずに「柔らかな頭」で制度を変えていくことも必要だと思います。
本日もありがとうございました。