高齢者の便秘
高齢者の困りごとに「便秘」があります。高齢になると生理機能が低下し、便秘と便失禁が同時に起こるなど、若いときには信じられないことがたくさん起こります。また肛門括約筋が弱くなり、直腸の感覚が鈍くなる方もいます。こうした状態が続くと、便が排泄されずに大きな便の塊ができることもあります。
便秘の改善には、一般的には下剤や便秘薬などが使用されます。ただし下剤は、大きく固まった便には効果はあまりないです。むしろ、それ以外の便が緩くなります。高齢者の便秘にはいくつかの原因があります。大腸の運動低下を引き起こすものとして、運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下などがあります。この記事では比較的多い原因やおすすめの食事を紹介します。
弛緩性便秘(しかんせい・べんぴ)
弛緩性便秘とは、便が硬くなるいわゆる一般的な便秘のことを言います。大腸の蠕動運動が低下することで起こります。蠕動(ぜんどう)運動とは、腸が伸縮を繰り返し、便を肛門へと運ぶ動きのことをいいます。一般的な便秘の原因は、 この蠕動運動が弱くなっていることにあります。
大腸の蠕動運動が低下すると、便が大腸内に長時間留まります。これによって水分が多く吸収されるため便が硬くなり、便秘になります。女性、高齢者、運動不足の人に起こりやすいです。弛緩性便秘の原因には他にも「内蔵の垂れ下がりによる腸のゆるみ」「水分不足」「過度なダイエットによる筋力低下」などが考えられます。日本内科学会では便秘について「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残意感がある状態」と定義しています。
食物繊維の摂取不足
食べるモノも便秘には大きく関係しています。有名なのは植物繊維です。便の量を増やしてくれます。反対にいえば、便秘で悩んでいる方は摂取量が少なくなって、便が硬くなっていることがあります。
植物繊維は腸を刺激して、大腸の蠕動運動を活発にします。また、善玉菌のエサになり腸内環境を整えます。摂取が不足すると、弛緩性便秘に繋がる可能性もあります。食物繊維は、水溶性と不溶性の2種類に分けられ摂取した時の効果が違ってきます。
水溶性食物繊維には、リンゴ、キャベツ、ひじき、わかめなどがあります。水分を保持する特徴があり、便にうるおいをあたえます。不溶性食物繊維には、きのこ、エビ、野菜などがあります。腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を活発にし、便の量を増やします。
排便を我慢する習慣
排便をガマンする人に多いのが、直腸性便秘です。便意は、腸と脳の連係プレーが大切です。習慣的に便意を我慢しすぎると、脳から腸へのシグナルが鈍って便秘になります。便秘解消の近道は、生活習慣を整えることです。日頃から、排便のリズムをつけていくことが重要なのです。とくに朝は最も便意を感じやすい時間帯です。タイミングを逃したまま1日が過ぎないようにしましょう。
腹圧の低下
腹圧の低下によっても便秘になることがあります。お腹の力が弱くなると、うまく力めずに便秘になりやすいです。こうした腹圧がうまく上げられきめない場合は、直腸性便秘であると考えられます。腹圧の低下の場合、弛緩性便秘と直腸性便秘の両方が考えられます。高齢になると腹圧が低下する方も多いです。こうした時は、排便のポーズを工夫するのもひとつの方法です。様式トイレに座ったときに、かかとを上げたり、台を置くのも効果的です。
便秘対策「レジスタントスターチ」
腸内細菌を元気にする成分が「レジスタントスターチ」です。便秘を改善してくれる成分として注目されています。レジスタントスターチには、血中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果や、血糖値をコントロールする作用も期待できます。
食べ物の中で、レジスタントスターチがたっぷり含まれている食材のひとつが「ナガイモ」です。台湾ではシャキシャキの食感が大人気だそうです。
とろろ、ナガイモジュースがおすすめ
便秘解消のために、レジスタントスターチ取りたいなら「とろろ」や「たんざく」が良いです。ナガイモを生で食べる方が効率的です。ナガイモは皮が薄いため、皮ごと食べても大丈夫です。あまり気にならず、風味も増すので一度、試してみてください。
それでも苦手な方は、ナガイモジュースはいかがでしょう。味はともかく、便秘解消、健康増進にやってトライしてみるのも価値ありですよ!本日もありがとうございました。