排尿障害とは
おしっこの異常はさまざまです。高齢者の「あ〜やっちゃった」は危険のサインかもしれません。たとえば切迫性尿失禁。これは「我慢できないでもれてしまう失禁」です。不随意の膀胱収縮(膀胱が勝手に収縮する症状)をともなうこともあるので状態をしっかりと観察することが必要です。この記事では、尿意を感じても我慢できずに失禁してしまう「排尿障害」について、簡単にまとめてみました。
切迫性尿失禁の特徴と症状
切迫性尿失禁の方は、おさえきれない尿意が起こり、我慢できずに尿が漏れてしまう状態です。頻尿をともなうためトイレの回数も多いです。対処法としては薬が効果的。頻尿の場合は膀胱が小さくなっている可能性が高いです。膀胱を広げるトレーニングを行うことも対策のひとつです。
尿意は波のように寄せたり引いたりしながら強くなります。こうした尿意の波を意識して急がずにトイレに行くようにしましょう。毎日繰り返すことで、膀胱におしっこをためられるようになっていきます。
腹圧性尿失禁の特徴と対策
腹圧性尿失禁は、お腹に力が入ることで尿が漏れてしまう尿失禁です。おなかに「ぐっ」と圧力がかかったり、くしゃみで腹部に力が入ると漏れてしまう。重い荷物を持ったり運動しているときに腹部に強く圧力がかかり、尿漏れすることもあります。出産経験のある高齢の女性に多いのが特徴です。
腹圧性は女性で最も多いといわれています。切迫性の尿失禁を合併する場合もあります。検査では排尿日記を数時間記録し、尿失禁の回数や量、排尿状態を把握します。骨盤底筋群を鍛える体操は、腹圧性尿失禁の改善に効果があります。
溢流性尿失禁の特徴と症状
溢流性尿失禁は尿のコントロールがうまくできず、自分の意に反して少しづつ尿が漏れてしまう状態です。「意思とは関係なく尿が漏れる」ため、下着の汚れや匂いで周囲に不快感を与えるケースがあります。
他にも「排尿まで時間がかかる」「尿意があるのかわからない」「残尿感がある」などがあります。放置は危険です。膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して腎臓に達して、腎盂腎炎を引き起こすこともあるからです。重篤な症状を引き起こすこともあるので気をつけましょう。
反射性尿失禁の症状と対策
反射性尿失禁は中枢神経の障害や脊髄損傷で見られます。尿意を感じることができないため、尿がたまると意思とは関係なく尿が漏れます。下肢の麻痺など脊髄の障害で起こることが多く、膀胱に尿がたまると反射的におしっこがでます。
対処法は、ストレッチで膀胱の筋肉をほぐすなど。症状が軽い場合は効果的です。ただし脊髄に異常がある方は、脊髄機能を回復させる手術を受けることをおすすめします。肝臓が悪化している時は切除したり抗生物質を投与することで症状を緩和させる事ができるようです。肝臓の障害がなくなると失禁だけでなく、尿の異常も治すことができるといわれています。
完全尿失禁の特徴
完全尿失禁は膀胱に尿をためることができず常に尿が漏れている状態です。外傷や、がんが原因となることが多いです。完全尿失禁が疑われる場合は、すみやかに専門医に相談しましょう。
機能性尿失禁の特徴と対策
機能性尿失禁は、心身の障害によってトイレでの排泄行為が出来ないためにおきます。運動機能の低下や認知症などが原因で、生活環境や習慣を見直すことで改善します。残された身体機能を生かして排泄が出来る方法を考える事が先決です。
老人ホームで利用者がトイレに行く前に失禁すると、周囲に気づかれて恥かしい気分にさせてしまいます。だからといって居室で排泄介助に切り替えると、歩かなくなるため筋力は低下します。
対処法としては、トイレや廊下に手すりをつける、着脱しやすい衣服にするなど環境を整備すること。失禁を未然に防ぐためには排泄周期をチェックして、時間を見ながら定期的にトイレの声かけをする方法が効果的です。
まとめ
高齢になると排尿の異常は少なくないです。おしっこは健康状態をみるバロメーター。健康な生活は健康な排尿にあり。しっかりと対策をしながら、元気な毎日を過ごしたいですね。本日もありがとうございました。