誤嚥(ごえん)とは、声帯をこえて食べ物などが気道に入ることです。若い人でも飲み込みのときに食べ物が気管に入ってムセることがあると思います。息が詰まったような感覚は誰にでもあるかもしれません。
喉頭蓋(こうとうがい)は嚥下時に気道をふさぐ役割を行います。誤嚥を防止している部位がこの喉頭蓋です。食べ物が通る際には喉頭蓋というフタのようなもので気管の入り口が閉じられます。呼吸する際には気管に空気を通すためにこのフタは開いていますが、食べ物が通る際には肺へ落ちないようにフタをします
誤嚥性肺炎の危険性
人は通常、咀嚼(そしゃく)や嚥下する際、自然に口を閉じます。食べるとき空気を口から吸いこんでしまうと、器官に入ってしまうからです。ちなみに嚥下とは「 えんげ」と読みます。 嚥下は、食べ物を口の中で噛み、飲み込みやすい大きさに変えて口から喉、食道、胃へ飲み送り込むことです。
健康な人の場合、ムセる事で入った物を排出する事が出来ますが、嚥下機能が低下していると、排出する事が出来ずに誤嚥性肺炎になってしまう可能性があります。
誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症する疾患です。高齢者に多く、典型的な症状として発熱やせき、濃い色の痰(たん)などがあります。肺炎はときに呼吸困難に至ることもあるので注意が必要です。
摂食・嚥下の5つのプロセス
摂食・嚥下には5つのプロセスがあります。こうしたプロセスは介護福祉士の試験にも出題されます。知識として覚えておくと利用者さんに説明しやすいかもしれません。
- 先行期:これから食べ物を見ることで、食べ物の情報を引き出し、食べる準備をする時期。唾液分泌が増加します。
- 準備期:食物を口に入れて咀嚼、唾液を混ぜ合わせ食塊を作る時期。
- 口腔期:舌をつかって食塊を咽頭へ移送する時期。
- 咽頭期:食塊を飲み込み、咽頭から食道へ送る時期。
- 食道期:食道の蠕動によって食塊を胃へ送る時期。
誤嚥防止のテクニック
誤嚥がもとで誤嚥性肺炎となり、高齢であればあるほど治りにくく、死に直結する可能性もあります。誤嚥を防止する簡単なテクニックを紹介します。
・頭部をやや前傾にする。
・スプーンの一口量を少な目にする。
・食べ物を口に運ぶときは口腔手前から。
・咀嚼に集中させる。
誤嚥しやすい食品
誤嚥しやすい食品はパンなどのパサパサしたもの、こんにゃくなど噛みにくいもの、海苔など口の中に付着するものです。これとは逆に誤嚥しにくい食品には、ヨーグルトやゼリーなどがあります。適度なとろみのついたもの、柔らかいものが飲み込みやすい食品です。ゼリーは嚥下訓練などでもよく使用されます。
まとめ
今回は摂食・嚥下(えんげ)の5つのプロセスをご紹介しました。食べる行為は無意識に行っている方が多いですが、加齢とともに嚥下関連の筋量が減り、機能の低下につながるケースがあります。
嚥下機能を向上させるトレーニングには、ガムやするめなどを使用して、噛むために必要な筋肉を鍛える訓練などがあります。ほかにもさまざまなトレーニング方法がありますので、ご自身に合った訓練をして嚥下機能の向上につなげていきましょう。本日もありがとうございました。