ツナガレ介護福祉ケア

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生活保護の実態!意外と知られていない就労支援制度とは?

 

「生活保護なら働かなくてイイじゃん」と勘違いされる方がいます。また、人生の敗北者のようなイメージを抱く方がいますが、そうではありません。

事故や予期せぬ事態に直面し、一時的に生活保護を利用したけれど、逆境を乗り越えて社会復帰される方、「生活や体調を整えて働きたい」と考えている方は少なくありません。

いまは厳しいけれど、将来的には自立したい。こうした人に向けて、さまざまな支援が用意されています。

 

 

被保護者就労準備支援事業とは

被保護者就労準備支援事業……。

行政というのは、長ったらしくて難しい名前をつけるのが得意です。

ネーミングは置いといて、生活保護を受けている方(被保護者)の働く(就労)手伝い(準備)をするのが、この事業です。

生活が苦しくなると心身ともにダメージを受ける方は多いです。働く意欲がなくなり、なにもかもが面倒くさくなり、家に閉じ籠る。こうした状況を打破するサポート事業が、被保護者就労準備支援事業です。

この事業では、生活保護を受給されている人の中で、働く意欲が低かったり、基本的な生活習慣に問題がある人などに対して、一般就労に向けた準備を手伝います。

プランニング

対象者となるのは、日常生活の習慣を整え、働くための技能などを取得することで仕事ができると見込まれる人です。

いきなり働くのは難しいので、おおよそ1年間を基本とした計画的・集中的な支援を想定しています。以下、3つの内容が柱となっています。

①生活を整えよう

生活習慣形成のための指導・訓練(日常生活に関する支援)を行います。仕事をする上で生活環境を整えることは大切です。健康に暮らすためにも特性に合った生活のリズムをつくっていきましょう。

②技術を身につけよう

資格や技能は、仕事の武器です。例えば、生活保護を受ける前はドライバーの仕事をしていたが、事故で運転ができなくなった。しかし、就労支援事業を利用して、新しい人生を歩みだす人もいます。

こうした成功事例をもとに、就労の前段階として、必要な社会的能力の習得(社会自立に関する支援)をサポートします。

③就労体験してみよう

失業期間が長いと、働くことに不安や恐怖を抱くのも人の心です。そのため、一般雇用への就職活動に向けた技法や知識を習得した後、就労体験の場を提供します。

実施主体は、都道府県、市、福祉事務所を設置する町村(社会福祉法人、NPO法人に委託することも可能)です。

専門家によるサポート

この事業では、専門家によるサポートも用意しています。

その一人が、就労支援員です。就労支援員は、キャリアコンサルティング、履歴書の作成指導、個別求人開拓、面接対策、就労後のフォローアップをしてくれます。

また、利用者とともにハローワークにも同行するなど、応援もしてくれます。

生活保護受給者等就労自立促進事業とは

被保護者就労準備支援事業と似ている事業に、生活保護受給者等就労自立促進事業があります(これも、長ったらしい名前……😿)。

この事業の特徴は、生活保護の受給者だけではなく、さらに広い人を対象にしています。ハローワークと地方自治体の協定などによる連携を基盤としたチーム支援方式をとります。チームによって、就労による自立を促進していきます。

対象者と専門家

この事業の対象者は、生活保護受給者だけではなく、児童扶養手当受給者、住居確保給付金受給者、生活困窮者です。チーム体制で就労支援に取り組みます。

就労支援チームには、就職支援ナビゲーター、ハローワーク職員、福祉部門担当コーディネーターなどの専門家がいます。

支援内容

個別の就労支援プランを作成します。キャリアコンサルティング、職業相談、職業紹介、職業準備プログラム、トライアル雇用、公的職業訓練等による能力開発、個別求人開拓など様々なメニューから選択します。

自立支援プログラム

自立支援プログラムは、福祉事務所が生活保護を受けている人の状況や、自立を阻害している原因について類型化を図ります。

その上で、類型ごとの取り組むべき自立支援の具体的な内容や実施手順などを定めて、個々の生活保護受給者に必要な支援を組織的に行います。

プログラムの種類

自立支援は、「経済的自立」だけでなく、「社会生活自立」「日常生活自立」があります。

  1. 経済的自立プログラムは、就労による経済的自立のためのプログラムです。働ける状態を支援して、金銭的に自立できるようにします。
  2. 社会生活自立プログラムは、社会的なつながりを回復、維持して、地域社会の一員として充実した生活を送ることを目指します。金銭も大切ですが、人間は一人では暮らしてはいけません。助け合える人がいることは、何よりも心強いです。
  3. 日常生活自立プログラムは、自分で自分の健康や生活管理を行うなど、日常生活において自立した生活を送ることを目指します。

まとめ

生活保護と聞くとネガティブなイメージを抱きがちですが、人生における休息の時間と捉えることもできます。生活保護を一時的に受給しても、復活して、新しい生活をはじめる人は少なくありません。

行政機関のさまざまな支援を活用して、健康、仕事、自分らしい生活を手に入れましょう。本日もありがとうございました。