ツナガレ介護福祉ケア

東京都指定の障害福祉サービス事業所です。高齢者・障がい児・者、子育ての現場から発信しています!

見えているようで見えない?知覚の不思議とは

 

高齢になると、身体器官の老化にともなって、ものが見えにくくなる、声や音も聞こえにくくなります。

若いころは、茶碗の汚れに気づかない、相手の言っていることを聞き取れないことは少ないでしょう。しかし、歳を重ねると、見えないもの、聞こえないことが増えてきます。

例えば、高齢者が道を渡るときに、走ってくる車の速度や距離と、自分の歩く速度を見誤って、ひかれそうになることがあります。

こうした出来事が続くことで、外出が怖くなり、出不精となる高齢者は多いです。

今回は、知覚の変化について解説します。

 

知覚の体制化

知覚の体制化とは、無秩序に存在しているものを関連付けて、 一つのまとまりのあるものとして認識する働きのことです。例えば、次の記号をご覧ください。

( ) ( ) 【 】

多くの人には、3つのカッコ記号が見えるのではないでしょうか。実は、こうしたカッコ記号も、それひとつでは意味を持ちません。

たとえば、次の記号ではどうでしょう。

 ) ) ( (  【 【
カッコの向きを変えただけで、見える景色が違うと思います。
つまり、記号をまとまりとして認知することで、意味をもつのです。

こうした本来は意味のないものを、意味のあるものとして知覚することを、知覚の体制化といいます。

視覚の明順応   

視覚の明順応とは、暗いところから明るいところに出た時、徐々に明るさに慣れる事を言います。

当たり前のように感じますが、こうした現象も視覚が順応しているのです。

一方、明るい場所から暗い場所に移動した際に徐々に見えるようになる現象は「暗順応」と言います。

高齢者になると、暗いところに目が慣れるまでに時間がかかるようになるので、車の事故にもつながりやすくなるのです。

選択的注意  

多くの情報の中から、その個人にとって重要な情報のみを選択して、注意を向けること「選択的注意」と言います。

この機能は、たくさんの情報から、今必要な情報だけを選ぶことに重要です。

選択的注意が衰えてくると、いろいろなものに反応しやすくなったり、隣の人が気になってイライラしたり、ストレスがたまります。

間仕切りをするなど、気が散る原因を取り除くことが必要です。

まとめ

知覚の体制化とは、刺激をまとまりとして知覚する働きをいいます。

明るい場所から暗い場所に移動した際、徐々に見えるようになる現象は、視覚の暗順応。逆に明順応は、暗い場所から明るい場所に移動した際に徐々に見えるようになる現象です。

選択的注意とは、たくさんの情報がある環境下で、個人の欲求や意図に応じて、ある特定の刺激だけを知覚することです。

こうした身体の変化を知ることで、高齢者の介護予防にも役立てることができます。

本日もありがとうございました。